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インターネットは匿名性の強い世界だ。
そこで語られるものが真実なのか、嘘なのか。
当事者たちはともかく、第三者にとってはそれは重要なことではない。
「他人の不幸は密の味」
面白ければ、盛り上がれれば、ただそれだけでいいのだ。
鬱憤晴らしの場になっていくのはある意味仕方のないことかもしれない。
自分という個は隠したまま、感情のままに好き勝手なことを話しても誰にも非難されないのだから。
いつも冷静な転校生のサツキが物語の狂言回しの役を担っている。
後半になってからマユリから批判されるサツキの性格も、転校ばかりが続くサツキなりの処世術だったのだろう。
他人との絶妙な距離感・・・今の世の中でもっとも必要とされるスキルなのかもしれない。
サツキは冷静にわかっているデータを分析し、クラスメイトの言葉の裏にある心理を読み取っていく。
物語を読み終わったときの後味はとても悪い。
すっきりしない。納得できない。微妙すぎる。
でも、それがこの物語のテーマそのものだと思う。
答えなんて簡単にでるようなものではない。
何が正しいのか、何が間違っているのか。
きっとクラスメイト全員がわかってはいたと思う。
それでも、裏サイトの書き込みは止まらなかった。
楽で面白い方へと人は流される。
まして、誰が誰ともわからない匿名の世界では特に。
狂気に支配された人間が撒いた小さな種が、やがてはクラス全体を覆うようすが怖かった。
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人は匿名だとどこまでも別人になれるんだな、と思った。
私が現在高校生、ということもあってリアルな描写が多いと感じた。最後はどうやって終わるんだろう、と考えて読んでいたら結構予想外な終わり方だった。
とても面白い本だった。本を読むのが苦手な私でも2時間弱で読める本で、読みやすかった。おすすめです。
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二宮作品14冊目の読了です。
これも積読期間ながかったぁ〜(苦笑)
サクッと読める学園ミステリーですが、なかなか恐ろしい。
インターネットの世界、もはや当たり前。
しかし、秘匿性が高いからこそ現実世界の表の顔ではなく、裏の顔が現れる。
Description
内容(「BOOK」データベースより)
新しい高校に転校し、クラスメイトから温かく迎えられたサツキ。朗らかで優しい彼らとの学校生活は、サツキにとって楽しいものになるはずだった。だがある日、そんな彼女のもとにクラスの裏サイトのアドレスが送られてくる。送信者は不明。それをきっかけに、全てが変貌してしまう。裏サイトでは「伝道師」を名乗る者が、クラスメイトの秘密を次々と晒していった。過去の整形、援助交際疑惑、中学時代のいじめ…。やがて、クラスメイトは人間不信に陥り、クラスは崩壊の一途を辿る―「!」シリーズの二宮敦人が贈る学園ホラーミステリー、待望の文庫化!
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
二宮/敦人
1985年、東京生誕。一橋大学経済学部卒。WEB上でも小説を展開中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)