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(リリース・レビュー:あぜやん)
人は自分では何もできなくなった時、
真っ暗闇の中に入った感覚になり、誰かに大声を出して助けを求めるだろう。
しかし、誰もその声に気が付かないと知ってしまった時、
普通の人は諦めて、空気の存在に慣れてしまうだろう。
その空気の存在がゴースト(幽霊)になった状態である。
この物語は、南アフリカに生まれた普通に生活していた少年マーティンが
12歳のある日を境に声も出なくなり、体も動かなくなって、未知の病にかかり、
過去の記憶が一切無い状態になってしまった。
そんなゴーストになってしまった少年マーティンは介護施設で14年間を過ごす。
その施設で過ごした14年間の生活がすごく過酷であることは、本書を読むと明らかになる。
ある介護士には「ゴミ」とか「バカ」とか人間以下の扱いを受けたり、
ある女性介護士には性的虐待を受けたり、
人間不信に陥ることが沢山ある中、家族の存在がマーティンの落ち込んだ心を救う。
母親は発病して2年間は献身的に看病した。
しかし、回復しない我が子を観て自分を責めた。
父親は、違った。
マーティンが回復すると信じていた。
母親が看病できなくなった後は父親が献身的に看病を行った。
そして、介護士ヴァーナとの出会いが暗闇から抜け出すキッカケになった。
さらに小さな頃から得意だった、パソコンで人生の飛躍につながった。
本書は323ページある長編だが、あっという間に読んでしまう。
前半は苦しい介護施設時代の話でなかなかページが進まないが、
後半残り100ページに物語の一番盛り上がる部分が訪れる。
ここで人生を変える出来事が起こるが、
あとは、読んでのお楽しみにしょう。
ブログ;沖縄面白本棚より。
http://azeyan.blog.jp/
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決して読みやすい本ではない。特に前半は読むのが苦しい。徐々に補助代替コミュニケーション(AAC)の能力を高め、ジョアナに出会ってからはラブストーリーで、安心して読めます。ゴーストボーイという言葉は、介護施設で働く私に鋭く突き刺さります。
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「潜水服は蝶の夢を見る」を昔読んで、とても感動した記憶があり、同じような経験をされている方の本だな、と思って手にとりました。
本の裏表紙をめくったところのプロフィールからとてもポジティブな人柄が伝わってきて、「潜水服」の時代よりツールも進化し、最新テクノロジーを駆使して障害なんて吹き飛ばして明るく生きる現代っ子の物語かな?なんて明るいストーリーを予想していました。
ところが予想に反し、驚くほど読むのが辛い本でした。
想像を絶するような過酷な経験がつづられていました。
目覚めてから本を書くに至るまで、非常に長い時間を要している。ゆっくりゆっくり、一歩ずつ、恐れを克服しながら、前進してこられたことが分かります。
それは、彼自身の努力はもちろんのことですが、私の目から見ると聖人か神の化身かと思えるような、素晴らしい人たちとの出会いと彼らの信念が起こした奇跡のように思います。
一方で、彼がそこにいると気づかず「モノみたいに扱った人たち」や、希望が見えない日々に疲れ、ひどい言葉を口走ってしまった母親は、もしかしたら私だったかもしれないと思わずにはいられなかったです(虐待介護士は論外ですが)。決して彼らを私は責められないです。そして、著者も責めてはいません。
虐待の経験や、暮らしていく上で感じる恐れや不満や不便などは、書くのはどんなに勇気がいったことだろうと思います。だからこそ、多くの人に読んでほしいと思います。
介護についてだけでなく、職場や家庭や人生の多くの場面で誰に対しても、あるいは動物や、あるいは植物や物にだって、自分がかかわるすべてのことに対して、敬意と愛を決して忘れてはいけないと気づかされました。
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原因不明の病気、12年の介護施設生活を経て、人生の再出発の機会を得た著者。口のきけない患者としての尊厳について考えさせられた
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人間はどこまで醜悪になれるのか、そしてどこまで愛情深くなれるのか。そんなことを考えさせられた。12歳で未知の病に倒れ意識をなくした少年。16歳で意識を取り戻すも周囲に気づかれず、約10年間「幽霊」状態に。人間の尊厳を無視された「モノ扱い」「お荷物扱い」に心が凍える。しかし、一人の介護士が彼に意識があることに気づいたおかげで、徐々に彼は人生を取り戻していく。時に失敗したり戸惑ったりしながらも。これは深い家族愛の物語であり、地獄から生還し見事に幸せをつかんだ奇跡の男の物語である。
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今夜、フジテレビ「アンビリーバボー」に著者・マーティンの奇跡の人生がとりあげられます! 12歳の時に難病発症、10年以上を植物状態で過ごした著者。しかし彼には、意識があった。世界中でベストセラー、驚異と感動の自伝!
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人間とは、生きるとは、を問われる。
介護施設での虐待には、強い衝撃を受ける。人間はこんなにも残酷になれるのか…。
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介護者によって大きく運命が変わる。人を信じること。
無力な人間にどう向き合うかに人間性がでる。
介護の大変さ。
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両親は時々、延命装置を使ってまで生命を永らえなくて良いという旨のことを、僕ら子供に言う。10年間、意識不明の状態の祖母を支えたからこそ言える言葉だ。
お言葉には甘えさせてもらいたい思いもあるが、その状況になった時、僕は決断できないと思う。意識不明のように見えて、実は意識があるということが、無いと言いきれるのか。オカルトは信じないが、人間の可能性を信じている僕には、良く分からない。だから決断はできない。
ましてや本書の作者ように、12歳の時に難病を発症し、身体の機能が低下して意識が無くなったが、26歳の時に途切れ途切れに意識を取り戻し、どんどん機能を回復させた例を読むと、ますます迷いは深くなる。
そこに、障碍者施設の入所者を狙った大量殺人のニュースが入る。
大きな可能性が根こそぎさらわれた感覚もあるが、共生の意識も試される。
生命燃え盛る夏に、何やらいろいろなものを突き付けられている。
いまだ少ししびれる腕をかかえ、考える・・・。
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ノンフィクションの闘病記です。「脳が壊れた」という本も良かったけど、この本も相当凄いです。12歳で原因不明の病気で、植物状態になった筆者の自叙伝です。
彼の体験の中で一番すごいのは、16歳で意識を取り戻しはじめ、22歳まで、周囲の人間は彼が意識を持っているということに、気が付かなかった、というところです。意識があるから、自分の体の痛みを感知できるし、周りの人間が何をしているのかを見ることができるし、何を話しているのかもわかる。さらに何もできずに観察することしかやることがないので、仕草とか人の話す声のトーンだけで、人の心を読むことにも長けるようになる。
普通の状態で、誰かの心のなかをより深く理解できるようになれば、その気持にそって適切な言葉をかけたり、行動を起こしたりもできます。しかし、彼の場合、意識はあるし、考える力もあるんですが、全くリアクションを起こすことができない。話すどころか、指を動かすことさえ叶わないんですね。この無力感というのは、本の中でも何度も繰り返し書かれていますが、想像を絶する地獄状態だと思われます。筆者はその状態を「牢獄に閉じ込められた状態」と表現しています。そして周囲の人間にとって、彼は一人の生命として確かに存在しているというのに、いるのに、いない、つまり幽霊、ゴーストボーイのようにとらえられている。だから、この本のタイトルはゴーストボーイなんですね。
しかし、ある人との出会いが彼の運命を劇的に変えていきます。介護士の女性、ヴァーナが彼が意識を持っていることに気がつくんですね。それがきっかけで、彼はパソコンを使った意思疎通を少しずつ覚えていく。で、彼自身も幸運であったっと書いているんですが、なぜか、彼はコンピュータに関して、鋭い直感を持った才能を有していたんですね。彼自身の意思疎通のために日々コンピュータに関しての学習を繰り返していくうちに、普通の人ではメンテナンスできないトラブルも直せるようになっていく。そしてそれは彼の仕事となり、病気になって以来、初めて自分を誇らしいと思えるようになる。こんなふうに書いています。
↓
「そのとき、ある感情がわいた。それは先週始めてパソコンを修理するまで、抱いたことのない感情だった。その気持がまた、甦ってきた。それはクジャクが色とりどりのおばねを広げるような、不思議な気分だ。胸を張りたいような、イキイキとした気分。やがてそれがなんであるかに気がついた。そう、プライドだ。」p113
↑
で、つらくて切ない前半の苦悩を一気に振り払うように彼のストーリーはハッピーエンドに向かっていきます。(といっても彼はもちろん存命していますのでエンドではないのですが、この本の中でのハッピー、エンド)どんな幸せな結末が待っているのかを具体的には書きませんが、読んでて、これほど、嬉しくて、泣けるラストを迎える本はあまりないのではないでしょうか。
加えて前半の壮絶な部分にも注目です。誰もが諦めた筆者を全身全霊で介護し続けた父親が、夜中に、筆者には伝わらないだろうと思って、本音を語りかける部分があるのですが、これも忘れられません。
皆様に熱烈おすすめいたします。
2017/11/11 10:29
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ある研究では、植物状態の人の4分の1に意識があると言われている本を読んだことがあります。この本の主人公は本当に幸運であると感じました。1人の協力者が主人公の人生をこんなにも豊かなものにしていける。私自身、植物状態の人と話ができるすべを持っていますが、こんなふうに上手くはいきません。彼らは無表情で喜びや悲しみを感じています。植物状態の人に意識があることを人は奇跡と呼んでいますが、それは奇跡ではありません。奇跡なのはそれに気づける人が近くにいること、またその人の豊かな人生のために協力してくれる人がいることだと思います。そっと植物状態の人の手の上に自分の重ねて問いかけて下さい。彼らは伝えたがっています。
世界中で奇跡と言われていることが奇跡と呼ばれなくなる未来を祈るしかありません。この人生の日々を本として残して頂けて感謝します。
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本を読んだ後、2016.04.28 NHK「スーパープレゼンテーション」(TED)で放送されました。
→ URLはこちら http://www.nhk.or.jp/superpresentation/pastprogram/160428.html 『2016.04.28 マーティン・ピストリウス 』 :
How my mind came back to life ? and no one knew
僕は目覚めたのに 誰も気付かなかった
→ URLはこちら http://www.ted-ja.com/2015/11/http-www-ted-com-talks-martin-pistorius-how-my-mind-came-back-to-life-and-no-one-knew.html 『マーティン・ピストリウス: 誰も知らなかったこと―私の心はどの様にしてこの世に復活したのか? 』 :
2016/3/23
植物人間と思われていた マーティン・ピストリウスが、人生を取り戻す!
この本を読み終えて、マーティンが仕事と家庭を持ち、幸せになったことに感動しました。
何も感じないと思われ「もの」のように扱われていたマーティンに、話しかけその反応に気づく介護士のヴァーナは、救世主のような存在です。
両親はもちろん愛情深く毎日世話をしているけれど、そのことに気付かなかった。
また、ヴァーナの気付きがすぐに画期的な進展になるわけではなく、検査を受けてコミュニケーションをとる方法が工夫されるまでに長い時間がかかり 歯痒い思いをしました。
本書は、文章が上手くとても読みやすいせいか いつの間にかマーティンの身近なところにいるような気にさせてくれます。
だから、介護施設で想像を絶する虐待にあっていたことを知った時は、恐ろしかった。
世の中にはそういうことが横行していて虐待される側がそれを誰にも伝えられない・・・。 時折心痛むニュースになります。
読み進めば、本書の後半は、マーティンの恋人との熱々の話です。(*^_^*)♪
最初の頃の、やっと意思を伝えられるようになった時から思えば、ずいぶんと元気になり パソコンで自分を伝えるだけではなく、料理にも挑戦するマーティンの健闘ぶりに驚かされます。
病気自体の原因や効果的な治療法については書かれていないですが、同じような症状の人は勇気づけられることでしょう。
2016/01/20 予約 2016/03/10 借りる。3/20 読み始める。 3/23 読み終わる。
内容と目次・著者は
内容 : ISBN 978-4-569-82709-4
植物状態。医師はあきらめ、両親は泣いた。
誰も知らなかったのは、マーティンの心はゆっくりと目覚めていったこと。
彼は、自分の身体の中に閉じ込められた囚人だった…。
10年の沈黙を経て、人生を取り戻した少年の自伝。
1988年、12歳のマーティン・ピストリウスは原因不明の病気になった。18ヵ月後には口もきけず、車椅子に座らされていた。
医師たちは両親に告げた。退行性の未知の病で、彼の心は赤ん坊に戻ってしまった、と。誰も知らなかったのは、身体こそ無反応だったけれど、マーティンの心はゆっくりと目覚めていたこと。でも、それを伝えるすべがなかったこと。
10年たった頃、あるセラピストが気づいた。マーティンの一部が目覚めていると。そして両親も、息子の知性が少しも損なわれていないと知った。病に倒れる前の記憶がないマーティンは、車椅子に座り、話すこともできない。
しかし、コンピューター分野で素晴らしい才能を発揮。あらゆる困難を乗り越えて恋に落ち、結婚し、ウェブデザイン事業を立ち上げる。『ゴースト・ボーイ』は、再生と愛の力を描いた、深く胸を打つ実話。彼の途方もない物語は、私たちに、人生を大切にすることを教えてくれる。
目次 :
時間を数える
暗闇の迷子
意識が戻った瞬間
箱に閉じ込められるということ
介護士のヴァーナ
ゴースト・ボーイの覚醒
両親のけんかの原因は…
変化
介護士たち
日課〔ほか〕
著者 : マーティン・ピストリウス
1975年南アフリカ生まれ。12歳のとき未知の病にかかり車椅子生活に。介護施設で14年間過ごす。
パソコンでコミュニケーションが取れるようになり人生が変わる。
2010年起業を果たす。
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植物状態と思いきや意識が戻ってしまった。なのに誰も気づいてくれない。
今の医学なら意識があることは気付けるのかな。
そんな昔でもないし、放置されてたことが恐ろしい。
彼の事を気付いてくれた介護士と会っていなかったら…!と考えると恐ろしい。
主人公の虐待の話が悲しかった。
どの国もあるんだよね。。
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帯の言葉通り、『とてつもない自叙伝』だ。
植物状態だったが、あるときから意識が目覚めた。
しかし、意識があることを伝える術がなかった。
それに気づいた人がいた。
意識が戻ると信じ続けた人がいた。
しかし、彼の意識がないと思い込んで行動していた人たちが、実は彼は意識があってみんなわかっていた、ということを知ったときの恐怖は愕然とするほどだ。
払ってもいい金額:1,800円
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自伝なのに
ラストは本当に?って思ってしまう
自分が主人公ならば
どうなっていただろうか?
人間は凄い!としか言えない!
また主人公のような凄さは出来ないが
主人公のような人をサポートしたりしたいし
失礼な態度をとらないようにしなければと
深く思った