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sub :モノのインターネットと共有型経済の台頭
限界コストがゼロに近づいていくことによる資本主義の衰退。共有型経済になるか。インフラ。
集中と分散かな?
IoT(Internet of Things)
C0098
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10年以上前に「水素エコノミー」を著した未来思想家。あらゆるリソースがインターネットを介してシェアされることで実現される限界費用ゼ口の社会。
ドイツのインダストリー4.0のきっかけ?IoTの重要性を説く論説。
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ネットワーク同士を相互に接続するのものがインターネットである。今、私たちがインターネットと呼んでいるものは、コミュニケーションのためのインターネットだ。これが電力のためのエネルギーのインターネット、輸送のためのロジスティックスのインターネットに拡張する。そこでは、様々な財やサービスの限界費用はほぼゼロとなり、希少性を奪い合う経済とは異なる価値に基づく、全く新しい経済体制が作られるという。
冒頭と巻末の大文明論と、中ほどの様々な実践の事例紹介とのスケールの乖離は感じるものの、この三つの「インターネット」が実現する潤沢さにもとづく社会を構想することはとても魅力的だ。
問題は、その実現までこの世界が持つのか、ということだろう。
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限界費用がゼロとなると、資本主義においては価格を付けることができず、そこから利益も生み出せない状況になり、利益の創出を前提とする資本主義を崩壊させる可能性があるという。いわゆるシェアリング・エコノミーによる協働型社会の出現である。もちろん、シェアリング・エコノミーは一部ではすでに実現している。代表的な例では2015年になって日本でも多くの人が知ることとなったUberやAirBnBがある。著者の主張は、限界費用ゼロの経済原理はさらに広がり、2050年までには世界の大半で経済生活の大半を占める結果として、現在の資本主義社会を根本的に変えてしまうということである。それは、希少性や交換価値ではなく、潤沢さや使用価値・シェアを経済活動の中心に置くということになる。
著者はIoTインフラの専門家で、ドイツが進めるインダストリー4.0の提唱者の一人でもある。IoTへの取り組みは各地で進んでおり、巨大企業のGEのIndustorial Internet、CiscoのInternet of Everything、IBMのSmarter Planet、SiemensのSustainable Cityなどがその例だ。インフラには三つの要素 - コミュニケーション、エネルギー、輸送 - があるが、IoTはこれらのシステムと連携し単一の稼働システムとして協働させるものだという。IoTは中間業者を一掃し、このようなインフラの限界費用をほぼゼロにできるのだという。IoTを実現するための技術要素にかかる費用はどんどん低下しており、例えば無線ICタグは1年で4割価格が下がり、今ではひとつ10セントもせず、ジャイロや加速度センサ、圧力センサなどのセンサ類もこの5年で8~9割下がっているという。エネルギーについても太陽光発電により限界費用をゼロに近づけることができるという。自動運転の進化も輸送インフラに影響を与えるだろう。3Dプリンティングや、認知を得られつつあるMOOC (Massive Open Online Course)、なども製造や教育の状況を変えるであろう限界費用ゼロ社会の象徴だ。
本書では、最後に日本版のために特別に書き下ろした章がオリジナルから追加されている。「日本は、限界費用ゼロ社会へのグローバルな移行における不確定要素だ」から始まるこの章は、日本ついてのやや一般的ではあるものの、適切な批判がつづられている。「その苦境を理解するためには、日本の現状をドイツの現状と比べてみさえすればよい」とIoTなどの新しい技術に対する国家としての取り組みの差についてドイツとの比較で語られる。メルケル首相が2005年に就任したとき、著者が新しい指導者に招かれて将来社会の変革について意見を聞かれたという贔屓目を差し引いても、ドイツと日本との取り組みに差があるのはその通りだと思う。ドイツにもユーロ問題はあろうが、世界から日本がどのように見られているのかが垣間見られて暗鬱になる。
もちろん日本に向けたメッセージなので、日本の持つ潜在能力についても言及してもらっている。二十世紀に成し遂げた成果、超高速インターネット接続インフラ、再生可能エネルギー源(太陽光、風、地熱)はどこにも負けていない。このままだと二流国に落ちぶれるが、日本のもつ力をIoTを活用した明日の限界費用ゼロ社会に振り向けることができれば、世界を導くことに十分貢献できるだろう、というどっちの���果になっても間違いがない言葉で終わらせているのはご愛敬だ。
夢中になって読んだかと言われるとそうでもない。どちらかというとコンサル的にきれいに(楽観的かつ空想的に)まとめすぎのような気がする。たくさん数字が出てきて興味深いのだが、何かごまかされている感じがするのはそのせいかもしれない。それでも、こういう社会の認識の変化には備えないといけないのだろうなと思う。20年前にインターネットや携帯ネットワーク・端末が今あるように進化をして、世界を変えるということは想像しなかったし、GoogleやFacebook、Amazonといった企業がここまで台頭して生活を変えるということを想像してみることもできなかった。そういう意味では、エネルギーや輸送インフラの将来像については丸ごと信じるわけではないが、大きく変わるということと、その大きな方向性については同意する。そういった数十年かつグローバルな世界の変化について考えを巡らせるきっかけになるということにはなるのかと思う。
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資本主義では、新しい技術により生産性を上げ、売り手が前より安い単価でより多くの財を生産することを可能にし、より多くの財が供給されれば、それに対する需要が生まれる。その過程で、競争者は独自の技術を発明して生産性を上げ、自らの財をさらに安く販売し、顧客を取り戻すか、新たな顧客を惹きつけるか、をせざるを得なくなり、この過程全体が永久機関のように稼動する。
この競争過程の結果としてこれ以上ないというほどの「極限生産性」になるとすれば、無駄を極限までそぎ落とす技術を導入し、生産性を最適状態まで押し上げ、「限界費用」すなわち財を一単位追加で生産したり、ザービスを一ユニット増やしたりするのにかかる費用はほぼゼロに近づくことを意味する。財やサービスの生産量を増加させるコストが実質的にゼロになれば、その製品やサービスがほとんど無料となる。
IoTは、この無駄を極限までそぎ落とす技術となる可能性がある。すでに、3Dプリンティング、MOOC,再生可能エネルギーによる発電、自動車の自動運転など、その兆候が現れ始めている。IoTの要は、コミュニケーション、エネルギー、輸送の3つのインターネットを、緊密に連携した稼動プラットフォームにまとめ、連携していくことである。これらの流れの中で、生産性が上がり、限界費用がゼロとなり、商品サービスがほとんど無料となることで、資本主義が縮小していく。資本主義拡大のための生産性の向上が、逆に資本主義を縮小させることになるのである。
資本主義の縮小に伴い、分散型、協働型、水平展開型といったインターネットの特徴を活かした、協働型コモンズが台頭する。コモンズは、封建社会の崩壊と近代的な市場経済の台頭、資本主義体制への移行で終止符を打ったかに見られたが、何百万もの自主管理組織や慈善団体、協同組合、信用組合など、シェアというその精神は細々と生き伸びていた。現在、自動車や宿泊施設、患者主導の医療情報ネットワークなど、共有型経済ともいえるコモンズが台頭してきている。これは、いろいろな方面で、ますます伸びていくであろう。
日本は、諸外国と比べてIoTへの対応が遅れている。特に、エネルギーは、原発事故後、諸外国が原子力発電所を縮小に向かわせているにも関わらず、近年再稼動の動きが見られ、化石燃料への依存度が高く、再生可能エネルギーへの転換が遅れている。日本は今、歴史上の岐路に立たされている。日本が、企業家の才能を発揮し、技術を動員し、潤沢な文化的資産を活かせれば、限界費用ゼロ社会と、より平等主義的で豊かで、生態学的に持続可能な時代へと、世界を導くことに、十分貢献できる。
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IoTでコミュニケーション、エネルギー、交通などが限りなく無料に近付き中央集権型の資本主義から分散型の共有経済へ移行するのがデジタル革命の本質であると、資本主義の歴史を含め、様々な事例を持ち出して説明する。Twitterの黎明期にもお金だけではなく信頼をウッフィーで表現するなど共生経済的な話が盛り上がりましたが、あまり持続しませんでした。SNSだけの情報のやりとりでは無理があったのが、IoTで現実味を帯びてきたということでしょうか、とても興味深く読みました。
ちなみにタラハント氏がその著書「ツイッターのミクス」と使った「ウッフィー」はコリィ・ドクトロウ氏の著書であるSF小説「マジック・キングダムで落ちぶれて」からの引用で、この小説は各自の脳が直接ネットに繋がっていたり、肉体が死んでも意識のバックアップから再生できるなど、究極にデジタライズされたIoE世界です。
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IoTとは何か?を求めてたどり着いた本です。著者には見えている明日、それが明確な分だけ、見えてない自分には戸惑いを感じさせます。だけど、きっとそんな明日はきっと来る、という確信も芽生えます。ドイツのインダストリー4.0の意味もなんとなくわかったような気がします。インターネットが創り出す社会の変わり方ってこれからなんですね。それにしてもこういう大きな視点でテクノロジーを語ること、日本でも盛り上がるといいな、と思いました。
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コミュニケーション、エネルギー、輸送という3つの分野でのイノベーションが経済的発展に寄与してきたという筆者のフレームワークは新鮮で、首肯すべきものであった。
特に近年、インターネットの普及により、電力、輸送、製造のコストが劇的に低下するというシナリオにも同意できる。
しかし、市場経済を「悪」と見なし、現在のイノベーションが市場経済を駆逐し、筆者が「善」と考えるコモンズが取って代わるという予想には同意できない。
筆者は博識かつ洞察は鋭いと思うが、それらをすべて、この予測の牽強付会の材料にし、押し付けがましく感じた。
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情報・エネルギー・ロジスティックスの三分野におけるネットワーク構築論を軸に、現在様々な局面で起こっているシフトチェンジを幅広くカバーした大著。資本主義経済が現在の陣容をもはや保てないことを鋭く指摘した上、ローカルコモンズの水平的連帯による新たな社会の到来を予言している。ユーフォリアの匂いは嗅ぎ取れないではないが、少なくとも完全に閉塞しきった現代金融資本主義の次に来るべき社会についてポジティブに考える材料を豊富に提供してくれている。「利益を出すことが企業の社会貢献」であるとする戦後日本経済を支えてきたクリシェは、ひょっとしたら時代遅れになるのかもと考えさせられた。なお終章の日本への賞賛と警告は必読。政府は官製相場で既存の大企業を甘やかしている場合ではない。
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私自身、この本を読んでかなり夢が広がりました。この資本主義社会に飛び込み、新社会人として働いていくことに絶望しか感じていませんでしたが、この本のおかげで4月から仕事をすることに少し希望を見出せました(たまたまこれに関与できそうな仕事でよかったです)。
http://yuhbook.hatenablog.com/entry/1051654651
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事象を多元的に検証しながらの文章なので、繰り返し感が多い。
が、内容は示唆に富んでいて、加えて最終章で日本に向けた提言もありお得感高し。
コミュニケーション・インターネット、エネルギー・インターネット、ロジスティクス・インターネット。この三者は単一の稼働システムとして協働する。
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シェアリングエコノミー、IoT、3Dプリンタが経済の形を変える!とコンセプトは意外と目新しさが無いと感じたけれど、それはそういった世界が現実になりつつあるという認識が既に当たり前になっている証拠なんだと、少し落ち着いて振り返れた点は良かった。
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FREE以来の衝撃だった。
資本主義の競争の原理により、製造コストは下がり続ける。一時的に寡占企業がその流れを阻止しようとも、大局的には、製造コスト=限界費用は限りなくゼロに近づく。それは、すでに資本主義を看破したアダム・スミスの予測するところでもあった。
という刺激的な論考により始まる本書、IoTありソフトウェアあり、シェアエコノミーありと、この数年来からの市場のある一面を理解するのにとても最適な書。
ただし、それはインフラ投資という巨額が必要な部分については、すでになされている、あるいはオプティミスティックに生協方式などで構築できるだろうというスタンスを取っているのが、少々納得感にかける。
しかしながら、里山資本主義や社会貢献型の企業など、オープンイノベーションなどの流れやairbnbなどに代表されるシェアエコノミーの確実な発展をみると、少なくとも、無意識ではいられないことを感じさせる。
やはり、ハブアンドスポークのような形態になるのか、それとも多重世界のような形態になるのか。市場経済が消えることも、シェアエコノミーが発展せずに四散することも起こり得ないとするなら、その経済活動の間でどのような事態が起こるのか。それとも、過去に起きた囲い込みが違う形で起きるのか。それとも、なにも新しい経済活動ではなく旧来から存在していた地域社会における経済活動がただインターネットという媒介を介して広く広く延びていくだけなのか。興味は尽きない。
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近年のインターネットの急速な普及を主たる背景に、かつては相当の対価を払って得ていたサーヴィスが驚くほど安価になっている…、という経験には誰しもが思い当たることだろう。
また、Webから離れても、例えばカーシェアリングというシステムが特に若年層を中心にこれほど受け入れられるとは、団塊ジュニア世代の私としてはちょっと不思議だったりもする。
本書で著者のジェレミー・リフキン氏が指摘している通り、車に限らずミレニアル世代のシェアリング傾向が高まっていることは間違いない。
先進国のみならず途上国においても、現代の経済構造を大きく変革するパラダイムシフトがまさに起きている最中であることは否定しようがない。
著者はその大きなうねりに対して、多角的にスポットを当てて、主観を交えながら現状を解説してくれていて、現在進行形のグローバルな動きを知っておくという点において、とても意義のある一冊だ。
既に急激に下落しつつある、データの流通における限界費用が今後ますますゼロに近づいていく、という予測はほぼ間違いないとして、ではそれにまつわるイニシャルコストや、過程で必要な知的労働の対価等は誰がどうやって負担するのか、という問いに対する答えとしては、公共税として国民から広く徴収する、というものしか結局ないのだろうか?
どう読んでも著者のポリシーの背骨となっているのはある種のコミュニズムなわけだが、これから実現させるべき世の中の仕組みを、瓦解して久しい共産主義社会と一体どう差別化していくのか、そしてそれは本当に持続可能なシステムなのか、そのあたりの疑問は依然拭えない。
そして当然IoTに関してはセキュリティの問題もあり、いくらミレニアル世代の価値観が我々と異なっているとしても、ビッグデータを取り扱う人間側の欠陥をまったくのゼロにしてしまうのは不可能である、という不可避な事実があるわけだから、IoT化が進むほどに深刻なトラブルがどんどん露見するだろう…、と悲観的な予想をしてしまうのも仕方がない。
畢竟、ガンガン進化を遂げていくソフトウェアを動かさねばならないハードウェア、つまり我々人間がいかにヴァージョンをアップデートすることができるか、ということにかかっているような気がする。
巻末に特別章として収められた日本に関する著者の考察については、実はそれほど期待はしていなかったのだが、読んでみると現状分析は非常に的確で、説得力に満ちている。
まさに、中途半端、という言葉が見事に日本経済の針路を言い表している。
他、本書の全体的な感想として、あらゆる考察を詰め込み過ぎてヴォリュームが過多であるように思った。
枝葉をもっとシェイプしても著者のフィロソフィーは充分伝わるし、その方が読み易くもなるだろう。
通読するのにここまで時間が掛かった本は初めてかも。
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膨大な資料と参考文献からまとめられた考察された本。分厚いのでざっと読み。
協働型コモンズ。
コミュニケーション、エネルギー、ロジスティック。
IoT 3Dプリンティング MOCC教育、プロシューマー。
自主管理、フリーソフトウェア、インテリジェントインフラ バーチャルスペースの独占企業
所有からアクセス、クラウドファンディング。