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あるマンションを舞台にした叙述ミステリ。
ラストの『エピローグ』がなかなか怖いw
最近『〜者』シリーズの文庫化ばかりだったので、久しぶりにいつもの折原一を読めて良かった。個人的にはまた『教室』シリーズみたいなものを読みたい。
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ブレない人だなと思う。デビュー作以来殆どの作品を読んでいると思うのだが、叙述トリックを書き続けるということで一貫している。これだけ続けているとネタが尽きそうなものだけれど、本作を読むと、ますますさえわたっているという印象を受ける。建物を使ったトリックは筆者がよく使うパターンだと思うのだが、発想が変わっていて新しさがある。もっと有名になってもおかしくない人だと思うのだけれど。
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この人の作品を読むのはこれが初めてです。
どんな話を書く人なのかなどの前知識なしに読んだので、最初は油断してぼ~~っと気楽に読み始めてしまったんですが、そうすると時系列や整合性がこんがらがってしまって、あ、これは心して読もうと、途中で姿勢を正して一気に読みました。
うまいこと出来てるなと感心しきり。
ゾワっとしてむむーっと唸ってハっと気付いてまたハテナ?となって…と、振り回されるのを楽しめた1冊でした。
連作小説であり長編小説です。
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「グランドマンション一番館」には、元「名ばかり管理職」の男、元公務員、三世代同居の女所帯から独居老人、謎の若者、はてはかなり変わった管理人までと、アクの強い人たちが住んでいる。騒音問題、ストーカー、詐欺、空き巣―次々に住人が引き起こすトラブル。そして、最後に待ち受けていた大どんでん返しとは…。
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厚さのわりには読みやすく、内容もわかりやすかったですが、どれも風が通りすぎるような結末で後に残る驚きや面白さには欠ける印象です。
『手紙』の方が面白かったなぁ。
堅苦しい長編小説の合間に読むには良いのかも。
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短編のお話がいくつかあり
個人的にはどれも楽しめました。
話の最後に「そうだったんだ。」と思わず
つぶやいてしまうくらいには騙されました(笑)
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マンションの部屋で起きる出来事が、それぞれミステリ小編になりつつ、全体で一つのストーリーにもなっているスタイル。叙述トリックっぽい内容が続いて、面白いのだけで頭の中がちょっとごちゃごちゃになってしまいました。
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あるマンションの複数の住人がそれぞれの立場で起こすハプニング短編物語。ストーリーは、関連性がないように思えるが、場面場面では相互に繋がってる。まるで幕の内弁当のような味わいのあるまとまった作品。叙述トリックでそれぞれアッと驚くエンディング。登場人物の関係性が脳裏にある間に時間をかけずにいっきに読む事をおすすめ。
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ここまで訳ありな人達がひとつのマンションに集まるとは思えないけど、近所付き合いも程々がいいかもしれないし、ちゃんとしていないといけないのかもしれないし、他人を信用してもいけないし、信用してもいいのかもしれない。難しい。
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マンションを舞台にした短編連作。前の短編に出てた人がその後も登場したり、群像劇的な作り。
マンションを舞台にしつつ、登場人物の大半は高齢者という設定は現代社会っぽい。高齢者だからこそのトリックもあって、それなりのミステリーだと言える。ただ、出てくるトリックが個人的にあまり好きにはなれなかった。
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お年寄りが多く住む「グランドマンション」での短編集
短編集ですが全ての話が繋がっています。
最初の話でグッと掴まれ、この人はこうであの人はこうと最後まで集中して読み終わりました。
しかし、ここまで曲者が集まるマンションなんて住みにくい!
独居老人が多いのは時代の流れに沿っている。
折原さんの昔の本読みたいのですが、本屋にあまり種類が置いてない。特にブックオフなんかには。気長に探して読んでみよう。
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グランドマンションに住む人々を書いた短編(だが、連作)
登場人物に老人が多いため、高齢化の社会問題が多く、その他、子供の虐待、ストーカー…とにかくいろいろあり、飽きさせない。欲張りな内容となっているため、分かり辛い(連作な為)所もあったが、概ね面白く読めた。初読の作家さんだが、他のものも読みたくなった。
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過去と現在が入り混じって書かれていたりするので、ちょっと頭が混乱します。
折原一さん、初読みなんですが「叙述トリックの名手」と呼ばれている方なんですね~
「叙述トリック」って、頭が混乱するものなの???
しかし、ここまで犯罪者の多いマンションとは・・・・
住みたくない(笑)
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「グランドマンション一番館」で暮らす住民たちは個性の強い人間ばかりで、様々なトラブルが巣くっていた。
「二番館」建設の話が進行し始め、ある住民が「一夜でマンションが消えた」と騒ぎ始めるが......。
マンションを舞台にした連作短編集。
2016年11月6日読了。
「騙された!」となれなかったのが残念でした。
作品全体を一言で表現するなら、すっきりしなくて不気味。
ただ、その不気味さは作者が狙ったもののような気がします。
好き嫌い、分かれる作品ですね。私は、どちらかというと苦手に感じました。
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〇 概要
グランドマンション1番館には,元「名ばかり管理職」の男,元公務員,三世代同居の女所帯から,独居老人まで,さまざまなアクの強い人達が住んでいる。騒音問題,ストーカー,詐欺,空き巣―グランドマンション1番館の住人達が引き起こすトラブル。そして最後に用意されているのは,どんでん返し。折原一らしさ満点の連作短編集
〇 総合評価 ★★★☆☆
「グランドマンション1番館」の住人にトラブルが相次ぎ,住人がどんどん減っていく「そして誰もいなくなった」テイストの味付けがされているのは面白い。民生委員の高田が出てくるまでの作品,「音の正体」と「304号室の女」の段階では,最後の部分までのアウトラインはできていなかったように思えるが,高田が登場してからの作品は,より,連作としてのつながりが強い。
登場人物が全体的に高齢であり,後半の作品は,やや悪ふざけが感じられるが,叙述トリックの名手らしく,個々の作品でちょっとした驚きが用意されていて,そこそこ楽しめる。折原一の文体,作風が嫌いな人だと,嫌悪感を感じてしまいそうな描写があるが,折原一が好きならそれなりに楽しめる佳作だろう。時制トリック,人物誤認トリックなど,いろいろな叙述トリックが楽しめる。★3かな。
〇 メモ
〇 音の正体 ★★★☆☆
202号室に住む「沢村」という男が主人公。37歳,無職。かつては居酒屋チェーン店の店長をしていたが,「名ばかり管理職」として過酷な労働をさせらてた上で退職している。上の階である302号室の子どもの足音などの騒音に悩み注意をするが,302号室の子どもの母親は育児放棄をしているように見える。子どもが死んでいると思い,管理人を連れて踏み込むが…。
実は,沢村は離婚を求めてきた妻を殺害し,自分の部屋の風呂に死体を置いていた。102号室の住人がその死体を発見し,警察を呼ばれるところで終わる。折原一らしい叙述トリックが用意されており,沢村達が302号室に入るシーンと102号室の住人が202号室に入るシーンが誤解されるように描かれている。
折原一らしいえぐさが垣間見える佳作。
〇 304号室の女 ★★★☆☆
303号室に住む「松島有香」という女が主人公。グランドマンション1番館の隣にできるグランドマンション2番館のモデルルームで勤務している。まるで,グランドマンション2番館の304号室に住み始めたように見える「牧野麻子」の手記が挿入される。麻子は,夫が有香と不倫していると思って,罠を仕掛けるが…。
実は,麻子達は,グランドマンション2号館の304号室ではなく,モデルルームに住んでいたというオチ。叙述トリックが仕掛けられており,最後の場面で,どうしてモデルルーム勤務の店長である大田原浩平が,麻子を拘束できるのか,混乱してしまう。
これも,めちゃくちゃな話だが,折原一らしいえぐさがある。
〇 善意の第三者 ★★★★☆
206号室の,元公務員の高田英司が主人公。高田は退職後,地域の民生委員をしている。高田は,306号室に住む久保田綾香が会社の同僚と結婚しようと��ていたとき,たまたま結婚相手がほかの女とホテルに入ろうとしているシーンに出くわし,写真を撮って綾香に送ることで,結婚をさせなかった。
高田は,高齢者の所在不明が社会問題になっていることから,グランドマンション1号館内の老人の様子を見て回る。そこで,306号室の綾香の祖母のミヨが,既に死んでいるのではないかと疑問を抱く。年金の不正受給をしているのではないかと。
高田は,306号室に忍び込む決心をする。306号室に忍び込んだ高田が見たのは,既に死亡しており,ミイラの姿になった久保田ミヨ…ではなく,高田の母,高田筆子だった。筆子は,高田英司に手を上げられたショックで,306号室に逃げていたのだ。また,綾香はミイラのような姿になって生きていた。綾香の結婚が破断になったのは30年前の話だったのだ(ここで,時制の叙述トリックが仕掛けられている。)。
高田は責任を取り,綾香と結婚する。久保田家は,実際に年金の不正受給をしていたが,そのことは見逃し,高田筆子は久保田が面倒を見るということになった。
叙述トリックの冴えは,この短編集の中でも随一。まさか結婚の破断が30年前のこととは思わなかった。オチも強烈。折原一らしい,えぐい話である。
〇 時の穴 ★★☆☆☆
203号室の瀬沼富男が主人公。瀬沼は家賃を滞納している。瀬沼は,かなりのミステリマニアで,多数のミステリの稀覯本を持っている。
瀬沼は,204号室の老人,佐久田芳子が多額のタンス預金をしていることを知る。瀬沼は佐久田の行動を監視する。また,地震により,203号室と204号室の間の壁に抜け穴ができたことに気付く。そこで,密室を利用し,金を奪うことを計画するが…。
実際は,瀬沼が密室で殺害される。容疑者として逮捕されたのはグランドマンション1号館の管理人。凶器は,ロバート・エイディーの「Locked Room Murders」という稀覯本だった。
その後,204号室の佐久田が心臓発作で死ぬ。瀬沼を殺害した犯人は佐久田だった。佐久田は,瀬沼が204号室に忍び込んでいたことなどを知り,用意していた合鍵などを使って瀬沼を殺害し,その後,殺害したときのショックなどで,心臓発作で死んでしまった。瀬沼が殺害をしたような導入部分であり,管理人を瀬沼と思わせる叙述トリックがある。また,密室を扱うという本格ミステリのパロディっぽいつくりというところも折原一らしい。とはいえ,トリックらしいトリックはない(地震でできた,抜け穴とは…。)。平凡なデキ。
〇 懐かしい声 ★★★☆☆
301号室の独居老人,塚本ハルが主人公。オレオレ詐欺がテーマ。105号室の多賀稲子は500万円をだまし取られる。また,106号室の塩崎俊夫が,200万円をだまし取られる。301号室の塚本ハルのところにも,オレオレ詐欺らしい電話があるが,塚本ハルは,だまされない。民生委員の高田は,104号室の岡安亮太が怪しいと疑う。
真相は,301号室の塚本ハルがオレオレ詐欺の犯人だったというもの。104号室の岡安は,そのことに気付き,逆に,塚本をだまそうとしていた。塚本は,娘の夫の借金を返すために,この騒動を起こしていた。
塚本ハルもオレオレ詐欺��被害者だと誤認させる叙述トリックが仕掛けられている佳作。そこそこ。
〇 心の旅路 ★★★☆☆
103号室の武藤留子が主人公。留子は,グランドマンション1号館の老人会の世話役を頼まれる。留子のところに謎の訪問者がやってきて,留子が返り討ちにするシーンが描かれる。
訪問者のバックから零れ落ちた手記には,ある少女が,父親のもとを出て,状況する話が描かれていた。
実際は,その少女は留子だった。留子は,グランドマンション1号館の8階に住む立花百合子の娘で,母親達に会いに状況したのだが,自堕落な生活をしていた母親達には愛想を尽かし,武藤ヨシの養女になっていた。
今回訪問してきたのは石垣晋太郎。立花百合子の夫であり,留子の父だった。
これも叙述トリックを駆使して描かれている。まるで,少女が今,状況してきて,103号室を訪れたように錯覚させている。話自体はむちゃくちゃな上に,ミステリ的な要素はなし。叙述トリックだけの話
〇 リセット ★★★☆☆
105号室の多賀稲子が主人公。謎の犯罪者の視点が挿入される。多賀稲子は,建設されていた「グランドマンション2番館」が無くなっていると騒ぐ。
多賀稲子は痴呆が始まっており,他の住民と話がかみ合わない。そんな中,高田が年金の不正受給で逮捕される。
また,106号室の塩崎も事故に遭う。
周囲の人の言動と,多賀稲子の言動がかみ合わない。稲子は「事件」の犯人が管理人だと言っていたとのことだが,管理人にはアリバイがあるという。
「事件」とは,放火。実はグランドマンション1番館は火事で焼失し,多賀稲子達は,グランドマンション2番館に移っていたのだ。
放火の犯人は,かつてのグランドマンション1番館の管理人だった。グランドマンション2番館の管理人は石垣晋太郎。前の管理人は職を失っていた。
ここまでの作品で管理人の名前を出さず,管理人を誤認させる叙述トリックと,グランドマンション1番館と2番館を誤認させる叙述トリックが仕込まれている。
〇 エピローグ
再び松島有香が主人公。新しくなったグランドマンション1番館を売りに出している。大田原浩平と松嶋有香は,どんな汚い手を使ってもいいから,グランドマンション1番館から住人を追い出せと言われていた。前の管理人を陰で操ったのは松島有香だったのか…。