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森博嗣の最新作。
元々、シリーズによって作風を変えるタイプの作家だが、本書は既存のどのシリーズとも似ておらず、逆にそれが新鮮だった。
現代的なゴシック小説、とでも言えばいいのだろうか。現実感の無さが逆に官能的でもある。
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夢のことを語るのに、順序立てて前置きをしているから、読めるのだろう。
境界をなくし、区別がつかないように、真実がどちらなのかわからないように上手く書かれている。
読後に何か残っているが、それが何なのかわからない。
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足元がおぼつかない世界。
シリーズとしてはスカイ・クロラやヴォイド・シェイパの流れを汲んでるのかな? 装丁がそうだしなぁ。でもなんか、このままシリーズが続くようには思えない内容。
女のひとが主人公なんだけど、主人公の名前、出てきてないな、そういえば。ほかのひとの名前はいくつか出てきたけど、主人公とその旦那様の名前はなかったなぁ。
どこまでが現実でどこまでが彼女の妄想だったのか。最後まで読んだあと、もしかしたら最初から全部、彼女の夢の中というか、妄想の中の出来事だったんじゃないかって思いました。
ハモニカの少年は妄想だよなぁ。線引きが難しいし、線引きをすることに意味があるのかどうかも分からないし。
なんだろう、今ふと思ったけど、この彼女は作中には書かれていないけれど、自分の回りで起こっている出来事はすべて理解していて、交わされていた会話もちゃんと聞いて理解していて、それでもなお、見ない振り、聞こえない振りをしていたのかもしれない。だから全体的にとても曖昧で、薄い膜が何層も重なった中にいるような感覚があるのかもしれない。
抜粋。
「(略)この世は、すべて幻なのです。現実なんてものはない。ただ、映っている影だけが見える。そうではありませんか?」
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虐待を受けて育った少女,若くして結婚してもその呪縛から逃れられず.精神が浮遊して現実との区分,境界があやふやになってしまう.生きるということの意味を,あるいは限界を,問いかけるような小説.
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ミステリーではないですが、文章は森節が効いています。面白く読めましたが、プロローグとエピローグはいらなかったように感じました。
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装丁が素敵。白い世界。主人公の女性の周りでどんどん人が死んでいく。彼女は少しづつ壊れていき、生と死の境が曖昧になる。「考えなければ、そもそもなにもない。したがって、生きていても、死んでいても、本当のところ、違いは何もないんだよ」森さんの小説によく出てくる死生観。
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一番怖かったのが、窓に映る女の顔。
装丁のように真っ白な印象。
初めて谷崎の文章に興味を持ちました。
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読んだ後、いろいろ考えさせられる良い本です。
始めは「多重人格の話かな〜」とか考えて読んでいたのですが、後半になるにつれて本書のテーマがはっきりしていきます。
(タイトルの段階で気付ける人が大半でしょうが、いかんせん無知なもので・・・)
読み終わってから、現実とは何か、自己とは何かとうことを考えました。
・『ホログラフィック宇宙論』物理学者ファン・マルダセナ
・『世界五分前仮説』哲学者ラッセル
・『胡蝶の夢』思想家 壮子
など。
とにかく、『プラトンのイデア論』を知る良いきっかけになりました。
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なんか訳がわからない話しだなぁって思いながら読んでた
川端康成の小説を思い出した
抽象的でぼんやりとした描写
でも最後に来て言いたいことがわかった
やはり森さんは僕と同じようなことを考えるのだと
どうして自分が自分だと言えるのか
時間をどうして長く感じたり短く感じるのか
たぶん昔の僕が読んだら泣いていただろう
神様に命を返す
この解釈はすごく好きだ
森さんは少しずつ返しているんだろうか
それともまだ返しはじめていないのか
僕はあとどれくらい返せるのか
どれくらい残っているのか
生きてるからわからない
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繊細な印象の幻想小説。生と死を巡る物語。谷崎潤一郎は未読なので、あまりよくわからないのですが。おそらくそういうテイストの物語なのでしょうか。
雰囲気は綺麗。なんともいえず寂しくて、哀しい物語。なのだけれど暖かいような気もして、不思議な読み心地でした。一歩離れたところから死生観を見つめているような印象かな。
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イデアとは実体であり、事物の完璧な姿。しかし現実世界では肉体や時間・空間などの様々な制限を受けており、不完全な存在としてしか表象しえない。認識においても我々はイデアそのものではなく洞窟の壁に写る影を見ているに過ぎない。だからこの物語もゆらゆらしている。
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生きていることは狂気あるいは死といつだって隣り合わせなのだ。
少しずつ神様に命をお返しすること。
彼女は周りの人の死を見据えながら、そして自分の死を感じながら生きてきました。
美しい本でした。
再読したい。
谷崎の「細雪」の随所の引用文を見るにつけ、かつてのあの読書体験を思い出しほぅ~とうっとりしてしまう。「細雪」は私にとって生涯五本の指に入る小説だったので。
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美しい、絵画を見ているようでした。命の話が印象に残った。読み終えた後の、タイトルと装丁に感嘆の溜息。
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うわぁ、どうなのこれは?
解釈をしろと言ってるわけ?それとも感じるままにってことかしら。
綺麗すぎる世界、いつもみはられてるような不安定感。
好みの小説ではなかった(´・_・`)
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正直よく解らなかった。
で、「イデアって何だろう」と思って調べて、
読む前に調べれば、もっと違う読み方が出来たかもって思った。
イデア:
「見えているもの,姿,形」の意
イデア論:
プラトンの思想
人が見ている現実は、イデア界の影に過ぎない。
だから「イデアの影」だったのね・・・
今更ながら納得。