投稿元:
レビューを見る
冒険小説サバイバル部門の傑作。
ストーリー以外の感想、発見。
原題は僅かなドイツ語知識でも「荒野の決闘」と読める。なるほどね。
作者の経歴の方に興味が湧く。
作者はナチス時代の外交官。ということはリッベントロップやモロトフと握手をしたり、ヒトラーやスターリンともあっているかも。東京の独大使館勤務もある。
さらに東部戦線でソ連との戦いにも加わっている。
小説より劇的じゃないか。
父親についてWikiが出来ている。
投稿元:
レビューを見る
原書名:ALATNA DUELL IN DER WILDNIS
著者:ハンス=オットー・マイスナー(Meissner, Hans Otto, 1909-1992、フランス、外交官)
訳者:松谷健二(1928-1998、大田区、ドイツ文学)
投稿元:
レビューを見る
ハンス・オットー・マイスナーが描く異色の冒険譚。物語は、1942年にアッツ島に進出した日本軍は、この地に長距離爆撃によりアメリカ本土を可能にすべく飛行場の建設に着手したところから始まる。同時に気候が安定しないアラスカ深部の気候情報を得るために支援のない敵地の未開の奥地に日高少佐をはじめ11名の精鋭を降下させ、気候情報を無線で送り始めた。一方、アメリカ側もアラスカ奥地から定時に発信される謎の電波を受信し、日本軍の活動と看破し対抗のために自然監視員のアラン・マックルイアのもとスカウトのメンバーを厳選し、アラスカ奥深くに送り込み、お互いに大自然の中に存在を消しながら死闘を繰り広げる。アラスカの大自然を舞台にお互いの全霊をかけたマンハントが繰り広げられる。色濃い自然の詳細な描写は、現場でなければ書けないシズルが溢れてでてハンターの機微に引き込まれていく。原題のALATKAは、逃避行の果てに出会い日高の嫁になる原住民族の娘の名前であり、壮大で孤独な闘いに色を添える。
投稿元:
レビューを見る
第二次世界大戦中、アラスカで特殊な任務を命ぜられた日高。その作戦に気がついたアランが日高を追跡する。極寒の厳しい気候の中、極端な緊張感に包まれた殺し合いが始まる。お互いの兵士は死に追い詰められ、日高とアランの一騎討ちとなる。最後は衝撃的だ。とにかく本作品は、日本兵と米国兵の隠密だがピリピリした戦いをドイツの作家が描くというのが異質だ。だからなのか、一方的に日本人を悪くすることもないし、米国人を悪く言うこともない。また、日本人の戦時中における言動などは、日本人が書いたのと錯覚するくらい、正確に描かれている。翻訳家がかなりの部分を補ったのだろうか。改めて冒険小説の緊張感あるストーリーテリングを面白く感じた。
投稿元:
レビューを見る
任務を果たさんとする日本軍、追跡するスカウト達、アラスカの自然、襲いかかる野獣、謎に包まれた部族、そしてロマンス。感動のラスト。あぁ。。なんでもっと早くに読んでおかなかったんだろう。。いままで読んだ冒険小説の中でも屈指の傑作ではないだろうか。。全然色褪せていない訳文のまま2016年1月に新装版として刊行。読みやすかったです。
投稿元:
レビューを見る
登場人物の会話には「ジャッ〇」「〇ンキー」「インディア〇」と、今ではとても使えない単語がスラスラと。
この本は1970年頃に日本語翻訳された戦争冒険小説。
すると、すぐに、アメリカ人の美男子が「卑劣な敵(ドイツ・日本)」の目をかいくぐり危険な作戦を成功に導くという、第二次大戦を題材とした冒険小説や映画のストーリーが浮かぶ。
この作者はドイツ人。
厳しい自然を舞台に次々と変わる局面のなか、逃げる日本兵も追うアメリカ兵も等しく差別用語を使い等しく使命感と憎しみ怒り不安の感情を表していて、ストーリー上の善悪の区別はない。
戦争であることから「冒険」の陰には、「やられていく」人たちが存在し、冒険の一言では片づけることはできない……そういったことも、差別用語や当時の日本の考え方がそのまま読者に伝えられていることで、ストレートに「時代の愚かさ」を感じるという効果が生まれている。
日本人にとって「アッツ島」は「玉砕の島」である。
この「玉砕」という言葉もまた、置き換えにより事実を見えにくくしている。
実態は、自ら選択して「全滅」したことで、生命の原理に反する行為。
もちろん全滅した人たちの問題ではなく、せざるを得ない「時代の悪意」である。
そんな島から物語が始まることも、象徴的であるようだ。
ラストは、過酷なアラスカの大自然が「悪意」から主人公たちを守ったのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
これは思わぬ拾い物。
少し甘めだが☆5つ!
太平洋戦争秘話とも言うべき物語。
日本とアメリカの密命を帯びた部隊が追いつ追われつの闘いを繰り広げる。
陰惨なシーンもあるのだが、ハッピーエンドで終わるので読後感は良い。極限状況で闘う男と男の友情だけでなく、ヌナミウト族の娘との交流も話に色を添えている。
作者がドイツの外交官として日本勤務の経験があるとの事で、外国人が描く日本人としては至極真っ当で、偏見のない人間として描かれているのが好ましい。
投稿元:
レビューを見る
★3.5
アラスカ山中で戦う日本とアメリカの男たちの過酷なサバイバル戦。作者はドイツ人。第二次世界大戦の時代なのは良いですが、何故、日本とアメリカの戦いにしたのでしょうね?
フィクションです。なので、設定に微妙に妙に感じるところがあります。特に、日本人の設定。とはいえ、通り一遍のステレオタイプの描き方よりは、かなり勉強したようで、変ではあるが、まぁギリギリ許容範囲という感じです。
話としては、過酷なアラスカで、死力を尽くして戦うという話なので、結構面白いです。上記の妙な設定がちょっと残念。