- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
3 件中 1 件~ 3 件を表示 |
紙の本
地方発のソフトパワーって、戦略がいるんですね。
2016/03/03 09:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
地域経済学では、地方の中核都市が新幹線や高速道路で、大都市と結ばれると、便利になる反面、人が大都市に移動してしまうストロー効果というのがあります。地方経済にとってはマイナスの経済効果ですが、ご当地アイドルには逆ストロー、つまり都市から地方に人を呼び込む力がある、と本書では力強く述べます。
今、東京の大きなライブ会場が回収時期を迎えて、首都圏でハコ不足となっています。場所の文化資本として筆者は新潟に目を向けます。NGT48です。
アイドル好きな人は未完成なものが好きで、その成長物語を消費したいのです。マイナーなアイドルほど、近い距離でゼロからの物語が共有できます。そもそも源氏物語から中年男性が若い少女をみずからの理想の女性に育てていく喜びが描かれていたという指摘は「なるほど」でして、昔からのDNAかい!ってツッコミました。デフレ下で音楽自体は下火ですが、物語消費の熱は意外と冷めていません。
アイドルの寿命が短く、一瞬の強い点滅ゆえの「はかなさ」があり、それを感じながらもその強い光に、アイドル好きは焦がれるのかもしれません。この本は、地域経済の話に留まらず、大瀧詠一さんの分母分子論という音楽論にまで話がおよび、筆者の碩学ぶりがうかがい知れます。
高年齢ファンがアイドルとの握手会で増えているという実地での指摘をされています。そして、高齢化するんだからそれは避けられないし、今後のアイドルは「あこがれの対象」から「癒しの対象」に変化し、ライブアイドルの介護士的側面が強まると予測します。
デフレ下で地方のテレビ局は低コストですむ地元アイドルを採用するケースが増えますが、「奇跡の一枚」の橋本環奈さんみたいにやはりテレビ経由のブレイク、なかでも東京でないとメジャーと認知されないので、地元と首都圏の往復の活動を行う地元アイドルが増えていきます。
意外なことに地方のアイドルは地方の人が支えてくれているという先入観があったのですが、他県からの人の方が応援が熱心だったというアイドルの証言があるように、地元だから愛されるっていうわけではないようです。地方アイドルもゆるキャラも、絶対法則ではないわけです。
ちなみにこの本、すごく地元アイドルの名前が出てきて「ややこしい」という部分があるのですが、文系が数学の面白い本を読むみたいな感じで「数式を読み飛ばしても面白かったw」みたいな読み方が援用できると思います。
私見です。難点を一つ上げるとしたら、北原里英さんと筆者との特別対談が最初に構成されているのですが、筆者の幅広い考えを知ってから北原さんの対談を読んだら、アイドルについての「フック」ができて北原さんの考えの含蓄がわかりやすかったかもしれません。
だから非アイドル好きにとっては、ボーナストラック的に最後の方がよかったかも?です。あと、地元アイドルでも必ずしも首都圏を目指したいというメジャー志向ではない「一時期だけ、この場所だけで輝きたい。そこまでメジャーになるほどガツガツしたいとは…」っていう女の子もいると思われ、そういった女性の考えにまで筆者の分析が及んでいたら、もっと面白かったかもしれませんが、やはり新書サイズですから、それは欲張り過ぎかも、ですね。
3 件中 1 件~ 3 件を表示 |