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まさか異世界が舞台のファンタジー小説で、現代の少年法問題によく似た事件が発生するとは思いませんでした。
「両親の仇」ということで決闘を挑んできた美少女を返り討ちにした用務員・蔵人さんですが。命を狙われること自体が不幸ですが、そもそも美少女の両親を殺したのは蔵人さんじゃないってところがさらに不幸。
少女の両親が殺されたのは、王様の命令を破って蔵人さんを闇討ちしようとした両親が、王様にバレて粛清されたってのが理由ですからね。お門違いも甚だしい。百歩譲って復讐の矛先が王様に行くのなら理解できますが、それが蔵人さんに向けられたのはただの八つ当たりにしか思えないです。
でも、そんな少女を周りの保護者達は全力で庇うのですよね。保護者としての責任を棚上げして。いくら年端もいかない美少女とはいえ、殺人未遂どころか殺人まで犯しておいてそりゃないんじゃないの? って展開が続きましたが、最終的に蔵人さんがきっちり物理的にとどめを刺してくれたので溜飲が少し下がりました。
ただ、彼が失ったものは大きかったですし、少女を手にかける、という終わり方の読後感は悪かったです。それがこの作品らしいといえばそうなのですけれど。
4巻から初登場の新しい癒しキャラ―飛竜の子ども・アズロナがいなければ救われなかったですね。アズロナかわいいよアズロナ。同じ子どもでもエラい違いだなと思いました。
雪白(豹)だったりアズロナ(竜)だったりジーバ(骨)だったり、蔵人さんの人間には好かれないけど人外にはとことん好かれるところがいいですねぇ。