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鳥居さんの短歌はこちらにグサッと突き刺さってくる。彼女の心の痛みが咆哮と共に襲い掛かってくる。どんなに悲惨な生活を送ってきたんだろう。
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新聞の記事で、「セーラー服の歌人 鳥居さん」は母子家庭で育つが、小学5年生の時に母が目の前で自殺。児童養護施設に預けられる。しかし、虐待やいじめにあい、その経緯から学校にも通えなくなり、施設も出ることになる。その後もホームレス等、過酷な生活を余儀なくされる。拾った新聞で字を覚えていった。
という信じられないような過酷な運命に興味を持って、この本を読みました。
本書はノンフィクション伝記であり、現実は想像以上でした。
小学校3年生で不登校になってしまったため、義務教育レベルの知識が身についていない。
それが、生きていく上でどんなにか、大切な事なのか、この本を読んで初めて知りました。
彼女は生きて行く上で必要な義務教育をもう一度学びなおしたいという思いを持っている人達を代表して、あえてセーラー服を着ています。
生きていく意味がわからない彼女が短歌に出会った事で、希望を持ちます。
しかし、短歌だけでは生きていけないというのも事実なのです。
私は、虐待された子供が児童養護施設に入ったり、里親のもとに行ければ、幸せな温かい暮らしが出来ると、何も知らずに信じていました。
しかし、彼女にとっての現実はむごすぎました。
今、彼女は自分と同じような思いをしている人の為に少しでも出来る事があれば、と活動し、「辛い事は山ほどあるけど、死なないでください。」と伝えたくて、『生きづらいなら短歌を読もう』と呼びかけています。
ニュースでよく見る子供の貧困のすさまじさを知り、彼女たちに「生きて欲しい」と強く願わずにはいられませんでした。
これからも生きる予定のある人が3か月後の定期券買う
普段何気なく当たり前に定期券を買っている行為自体が、生きる予定でいるという事に、ハッと気が付かされました。
揃えられ主人の帰りを待っている飛び降りたこと知らぬ革靴
その情景が目に浮かび、胸に悲しみがじわじわわいてきました。
このように、文章の合間合間につづられている短歌は心に響きました。
いろいろな障害にさいなまれながらも、それでも短歌という助けを借りて、前向きに生きている彼女にこれからも生きて欲しいと応援したいです。
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鳥居さんのことはこの本で初めて知った。普通に学校に通っていた私には信じがたい境遇。何とかならなかったのかと思うけど、本人にとってはどうしようもなかったんだろう。鳥居さんの存在を知れたという意味では読んでよかったけど、本としては記者のメモ書きみたいな感じで、ただ淡々としていてあまり心に響いてこない。新聞記事を薄めて伸ばしたような印象。
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「セーラー服の歌人」というのをきいて、なんでコスプレ?そういうキャラクターで短歌作ってる人なのかな?と思っていたので、これを読んで誤解がとけてよかったです。
内容に関しては、手記のほうがよかったかな……。鳥居さんについてどうこうではなく、書き方がいまひとつ。何となく、子供向けの伝記みたいな雰囲気が気になってしまった。あと、電子書籍で読んだからか途中で出てくる短歌がレイアウト的に嫌だった。
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虐待、不登校、ホームレス-過酷な人生を送ってきた、鳥居氏。
彼女が紡ぐ短歌は 生々しく、胸を突き刺すようだ。
確かに、三十一文字より背景が前に出てはいけない。
それでも、この背景がなければ、この三十一文字もなかったであろう。
産み出された物と、産み出した者を、別個にすることはできないのだから。
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母親が目の前で自死し、児童養護施設に入所したもののそこでひどい虐めにあい学校も不登校になり、まともな教育を受けられないまま中学を卒業した少女が、拾った新聞で文字を覚え、図書館で歌集と出会い、短歌を詠むことで生きる支えを得た少女の話。
・・・・いろいろ衝撃的でした。
そして社会復帰を目指していく上で義務教育内容を身につけられなかった人が改めて勉強し直したくても、その場がないということに考えさせられました。
そして彼女が図書館で短歌に出会ったということに、図書館は貧しくても知識や文化に出会える場なんだなあと、改めて考えさせられました。
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何やら誤解を招きそうな表紙だけど、単純に鳥居さんの短歌にはハッとさせられる。言葉がぐさっとくるけど、優しい。
大変な苦労をしてきたようだが、彼女はそんな風に言われるのは嬉しくないだろうから、感想は書きづらいなあ。
一度、読んでみて、という感じです。
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以前、記事か何かでこの歌人のことを知り、ずっと気になっていた。
かなり壮絶な体験の持ち主。解離性障害を負っているというほどの過酷さである。よくぞここまで生きていたとすら感じる。
彼女自身の体験から紡ぎだされた短歌は、平易な表現でありながらとても心を揺さぶられる。彼女最初の作品集『キリンの子』も一緒に借りたので読んでみるつもり。
ただ惜しいのは、どうにも本書のノンフィクションとしての仕上がりが今一つなこと。新聞連載をまとめて加筆修正したことがその原因なのか、一冊の本としての読みごたえに不満がのこる。
構成のせいなのか、エピソードの掘り下げ不足なのか、敬体であるせいなのか、はたまた単に文章力のせいなのか、ここが、とうまく言えないのがもどかしいが、何とも中途半端な感じが否めず残念。
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セーラー服の歌人鳥居 岩岡千景 KADOKAWA
教師であった両親と裕福ながらしつけの厳しい中で
父親に性的迫害を受け良妻賢母の母にも突き放されて
家出同然のシングルマザーであった母の服毒自殺に
11歳の少女は学校からの帰宅で出合い
死んだ振りをしているのだと思い
のり弁を水で飲ませようとしたりしながら成すすべもなく何日かを過ごす
保健室の先生に話したその後は
やる気のない行政官とイジメの蔓延した養護施設においての日々の虐待
そこでの楽しみは読み古しの新聞紙で漢字を覚えることぐらい
その後も補助金付きの小間使い目当ての里親や駆け込み寺のDVセンターや
同じように女中扱いでしかない祖母の家に暮らし
八百屋などでアルバイトしながら痴呆になった祖母の垂れ流しの世話をし
祖母が入院した後は
財産を狙う親戚に脅され追い出され
昼間はデパートのトイレで洗濯したりウトウトして
危険な夜は早足に町外れを歩き回るというホームレスになる
そんな中で新聞に載った和歌と出合い自己流で真似事を始め
様々な作家と作品に出合う中で食えない創作に励む
この本の著者は東京新聞の記者であり「作家が生まれるとき」の取材中に
鳥居と出合いその付き合いの中で鳥居の
「キリンの子鳥居歌集」の出版へと流れていく
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今年1番に魂を揺さぶられました。僕のような文章弱者は本作のように鳥居さんの生い立ちを辿りながら、感情移入しながら、作品(短歌)を読む事で理解し、感動する。
鳥居さんの作品を手に取ろう。そして鳥居さんが幸せに暮らせることを東京の端より願います。
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過酷な子供時代を過ごした彼女が、短歌に出会ったことで生きる望みを見出し、歌人として活動する話。
鳥居氏のことは、Twitterのフォローはしているものの「セーラー服着たサブカルっぽい雰囲気の歌人」くらいにしか認知していなかったが、この本で彼女の半生を知り、もっと早くこの本に出会いたかったと後悔した。
言葉で命を繋ぎ、また彼女自身も言葉の力で誰かの命を救いたいと活動する姿に感動した。芸術はお腹が膨れるものでも、お金が儲かるものでもないけど、死の境地に立つくらい悩み苦しんでいる人の灯火になる。
彼女の以下の言葉が突き刺さった。
「"自殺したいと思ってしまった人"を踏みとどまらせるには、力づくで生の側へ引き戻すのではなく、死の世界まで一緒に潜って一緒に戻ってくるという手続きを踏まないといけないと思う」
友人が目の前で自殺したという彼女にとって、自死をどうすれば踏みとどまらせるのかは大きな課題だという。
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私自身、17歳の頃に短歌を詠んでました。
久しぶりに歌集を読みたいと思って、図書館の歌集のコーナーを見てたら、この本に出会いました。
過酷な子供時代を生き抜いて、歌人として活動している「鳥居」さんのお話。
御本人も語る通り、インタビュー等でも過酷な子供時代がクローズアップされがちだというけど、彼女の歌を読んで、人生の絶望の中に見出した感傷のようなものを捉える、感性を感じました。
それから、御本人が語るお母様の言葉が聞き覚えのあるテンションで、自分の子供時代を思い返してなんだか切なくもなりましたが…それでも母なりの愛情を注いでくれていたんだ、と認識できる彼女はすごいなって思いました。
歌集「キリンの子」もチェックします。