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チャルディー連合王国の島国の一つスカアに、賢女である叔母と暮らす12歳の少女エイリーンは、通過儀礼(賢女になるための儀式)に失敗して落ち込んでいたところ、大王の命を受けて王子救出の旅に出る叔母に同行することになった。
急かされるようにして船出をした一行だったが、王女が用意した荷物の中の薬も服に挟んだ香草も毒のあるもので、旅費にと渡された財布には石ころが詰まっていた。
困難を切りぬけながら旅を続ける彼らの元に、仲間と守護獣が加わっていく。
ところが、叔母さんが呪いをかけられてしまい……。
「魔法使いハウをルと火の悪魔」で有名なダイアナ・ウィン・ジョーンズの絶筆を妹アーシュラが完成させた作品。
とてもしっかりした世界を持つファンタジー。物語の世界に安心して浸れる。
作中の4つの島に英国の4つの国が似せられていて、その表現を探すのも楽しい。
邦題(原題はThe Islands of Chaldea)と、王室がらみの話なのに、会話文がくだけすぎている点(翻訳のせいか?)と、表紙と挿絵がマンガ的すぎて興醒めな点が残念。
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ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんの、本当に最後のファンタジー。何となくイギリスっぽい四つの島を巡りながら主人公の女の子とそのおばさん、その他一行が問題解決に向けて色々冒険する、安定のDWJ節。最後がちょっと尺足らずかな?という感じはしたけど、それ以外に違和感もなく、楽しみながら読み終えて…読み終わった後が、とても寂しい。
今までたくさんの楽しく幸せな読書体験を下さって、本当にありがとうございました。と、もうとっくに遅いけど、しかも日本語だけど、どうしても言わずにはいられない。
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エイリーンは、賢女になるための通過儀礼に失敗、スカア島一の賢女である叔母さんに比べて才能のない自分に落ち込んでいた。そんな時、大王の命で魔法の障壁に囲まれたログラ島に、囚われの王子を救いに行くことになったのだが、旅の初めからトラブル続出で…。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズの絶筆を妹アーシュラが書き上げた本作は、ダイアナらしいはちゃめちゃさはないが、どこから作者が変わった変わったわからないぐらいよく出来ている。大団円の満足感もいつもの如くで、もう新作が読めないことが信じられない。
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久々の、そして、間違いなく最後の、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの新作。手にした時はちょっと泣きそうでした。この人の本とともに大きくなった気がします。
ダイアナの本は、どーしよーもない大人とか、根性ひん曲がった王子とか、子供の夢を叩き壊すような人物も出てきますけど、だいたいみんなに事情があったりして、最後は登場人物を好きになれるから、好きですね。
あと、最後の30ページくらいで、広げた風呂敷をバサッと一気に畳み掛けるとこも好きです。取りこぼしなし、すっきり救われて終わります。
もちろん、問題もあったり、誰もが幸せになれるわけではないエンディングな時もあります。でも、それが人生です。
子供だけど、周りに恵まれなくて、さっさと大人になってく子供とかもいます。かわいそうかもしれないけど、実際の世の中には、そういう子もいるのです。
自分が今どういう状態なのか、どうしてこうなっているのか、ジョーンズの主人公たちは大抵賢明で、はたと気づくシーンがあります。
人生においても、そういうことってあります。一つ大人になったとも言えるでしょう。
子供の時に、彼女の本に出会って、私も自分の現状に目を向けるようになりました。
私の成長の一助を担ってくれた本を、たくさん生み出してくれたダイアナに心から感謝を。ご冥福をお祈りします。
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未完の原稿を妹さんが引き継いだとのことだったけど、最後までダイアナ・ウィン・ジョーンズらしいわいわいドタバタの魔法の旅。
どこから書き手が変わったのか正確に当てられたことはないと、あとがきにあったけど、たしかに違和感なく続いているので知らなかったらなにもわからないと思う。知っていても、なんとなく雰囲気が変わるこのあたりかな?とは思うけど、物語上のトーンの変化なのか、書き手による変化なのかわからない。未完だった物語は、とてもきれいにまとめられていると思う。
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原題は「チャルディーの島々」なのね。
日本語版のタイトルはすごく合ってる。神秘的な雰囲気。
寂しい。これで本当に、ダイアナの小説は終わりなんだ。寂しい。いつかひょこっと未発表の作品が出てきたりしないだろうか。
佐竹さんの絵が可愛いなあ。オゴがアイヴァー王子よりイケメンに見えて、なるほどなるほど、と読み進めるうちに合点がいった。
オゴ=鬼子、という訳は難しかっただろうなあ。原文はオーガ、とかだったのだろうか。
相変わらず、女の子が強くて男の子がちょっと情けなくて。スカッとする話ですね。
でもやっぱりオチが弱いような気がするし、余韻ももっと欲しかったし、最後までダイアナが書いてたらどうなったのかな、と悔しい気持ちもなくはない。でも、こんな作品に仕上げてくださった妹さんにも感謝いたします。訳者さんにも。
ダイアナ最後の作品をありがとう。
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現実の英国のエッセンスが混じる世界観、わくわくするような魔法、個性的な登場人物たちの成長、それからハッピーエンド。いつもの、それでいてちょっと特別な、DWJ作品だ…ありがとうアーシュラさん。
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王子さまはもうちょっと大人になった方がいいと思うよ。
最後まで成長が見られない感じだったのは残念かな。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズの未完の作品を、妹のアーシュラ・ジョーンズが引き継いで完成させた作品です。
ラストがバタバタした印象があるのはそのせいかな?
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9割書き上げたところで遺作になってしまった作品を実妹が完成させたもの。ダイアナ・ウィン・ジョーンズらしいメッセージはしっかり伝わってくる結末。賢女が途中で呪いにかけられて、賢女見習いの姪が代わりに一行を率いるという設定(ネタバレっぽいけど、カバーに書いてあった)も、物語の結末を妹に託した作者の気持ちのように深読みしてしまう。寄せ集めの一行のドタバタぶりも楽しくて、この本が無事に出版されたことに感謝。