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初指揮に張り切るものの、全然うまくいかない楊戩がかわいい。
妖怪であることをカミングアウトしてから、楊戩にはかなり人間味が出てきた。
史記では、周の軍隊が攻め込んできた時に殷の軍は喜んで彼らを通したとあったのに、メンチ城の張ケイは周側の仙人や道士を殺す気で出迎えているので、どうなるんだろうと読んでいたら、なんとも心温まる展開になった。封神台は封神されていない仙人や道士なら出入り自由なの?
聞仲と張ケイの対話の演出がとても好きだ。
前巻で手に入れたスーパー宝貝太極図を使って、妲己のテンプテーションを無効化し、洗脳の解けた殷の兵士たちを周の武王が説得して武器を降ろさせ無血勝利するというのが太公望の作戦だったけど、太公望のスーパー宝貝と妲己のスーパー宝貝の力が拮抗して難航する。
この作品で最初から謎めいた最強キャラとして君臨し続けてきた妲己に冷や汗をかかせて、「大きくなった」と言わしめた太公望の成長はすごいな。少年漫画的な成長とは違うけど、たしかに一巻から比べるとものすごい成長ぶりだ。
呂邑姜(りょ ゆうきょう)が兵を率いて再登場するまで忘れていたけど、そう言えば羌族は殷周革命時に周側について戦ったんだっけ。
誰より強いけど、ジャンプ編集長には勝てなくて、力を出しきれない妲己がかわいい。酒池肉林とかハンバーグとか、読者にいろんなトラウマを植え付けてきた妲己だけれど、ここにきて初めてかわいく思えた。でも、直後に出てきた紂王の怪物ぶりを見て、気の所為だったとわかった。
妲己に改造されて子どもになった紂王は、息子たちにそっくりだな…史実的に仕方ないんだけど、最初から最後まで痛々しいキャラだった。