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ポートランド 山崎満広著
日本経済新聞 朝刊 読書 (23ページ)
2016/6/26 3:30
米国の西海岸にあるポートランドは今でいうコンパクトシティーの先進地だ。路面電車などによる公共交通優先の街づくりを進め、経済成長と温暖化ガスの抑制を両立させる都市の成長管理にも早くから取り組んできた。現在、ポートランド市開発局に勤める著者は、住民参加を特徴とする街づくり手法そのものの「輸出」に取り組んでいる。日本の都市がこの米国の街から学ぶべき点は極めて多い。(学芸出版社・2000円)
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ポートランドの開発局に勤める日本人、山崎さんの著書。お手伝いした天神明治通り街づくり協議会のフォーラムで仕事がてらお話は聞いていたけど、だいぶ時間も経ってしまったので復習も兼ねて読了。
ポートランドの街づくりについて、これまでの成り立ちと現在の街づくりの実務についての記載。
街が荒れ果ててしまうという危機感から、住民の街づくりへの参加意識が強くなり、それは今も風土として残る。行政の仕組みも、大きな視点から方向性を定めるメトロ政府と交通を司るトライメット、そして開発局と万全の体制であり、かつ住民意見をしっかりと吸い上げている。だから世界一住みたい街ができて、今もよりよくなっている。
誰かがどうにかしてくれる、、、じゃなくて、歴史がみんなの自立意識を育てた結果が今であり、未来になっていっているのがポートランド。
では福岡に活かせることってなんだろう?
制度が生まれた歴史がないままに、そっくりそのまま制度を持ってきたって、一時的にはうまくいっても根付くものにならない。
福岡の歴史の上にある仕組みってどんなものなのかなと考えてさせられた。
黒田藩、明治以降の堀を埋めたりの開発、一面ほぼ焼け野原となった戦後からの復興とその象徴のビル、そして今、直面している再開発。
ソフト面でも、お祭りなどの文化に加えてエリアマネジメントの組織。
民間と行政とそして市民の立場。
今は民間の立場であって、引っ張ってくれてるリーダーをお手伝いしている状況。
どうしたらいいのかと行き詰まることも多いけど、色々なことを学びながら今の場所でできることを精一杯やる。でもしっかり学びながら考えながら仕事をしよう!
とりあえずポートランド行きたい。笑
行ってたらまたこの本を読み返してみたいなぁ〜
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コミュニティデザインの資料としてはあまり参考にならなかったが、観光資料としてポートランドに行きたくなった。
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アメリカ、オレゴン州、ポートランドの話。ポートランドは車社会の印象が強い、とうか実際に車社会のアメリカには珍しく、公共交通を移動基盤とするコンパクトシティ。
ポートランドがコンパクトシティになった、もしくは実現できたのは、北欧系のリベラルコミュニティ、ヒッピーカルチャー故と分析している。自然を大切にし、オープンなコミュティを尊重した結果としてコンパクトシティが形成されたというストーリー。もちろん、各種プランを実行に移すための仕組みや政策は準備されているが、こちらもそもそものカルチャーあってこそ。
市民、行政、公共機関、事業者が利害関係調整のために開催するデザインワークショップ、真の市民参加を実現するネイバーフッドアソシエーション。いずれも市民が自ら行動することによって成り立つもの。今の日本には難しいのかと・・・
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短い時間しか滞在しない旅行者であってもなんとなく感じるポートランドの居心地のよさが、一朝一夕にできたのではないことを旅の最中~後に読んだ『ポートランド世界で一番住みたい街をつくる』という本で知る。行政の仕事だと、権利を主張するだけだったり、お客さんになったりせず、住人が自分たち自身で街の開発や運営に関わり、暮らしやすい街をつくっていること。そのために、市が何十年もかけてソフトやハードさまざまな側面の仕組みを作っていることなどを知り、なるほどなぁと思った。自分の利益と相手の利益、どちらかが100、どちらかが0でなく、最適なバランスを探り、譲り譲られるプロセスを経て、街がみんなの街になっていく。
もちろん、本にあるようにうまくいくことばかりでないだろうと想像するけれど、ここは私の街だ、居場所だと思える場所をつくるには、たくさんの工夫と、地道な取り組みが必要なんだなぁと。そして、そういう大人の話し合いができる市民や、話し合いを仕切れるファシリテーターがいることにうらやましいような気持ちになった。
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近年、経済成長と環境を両立させた再開発に成功し、世界的に注目を集めるポートランド。その成功要因や街づくりのシステムを、同市の開発局に勤務する著者が、日本人向けに説明してくれる一冊。
面白いポイントは幾つかあるが、開発局内部の人間である著者ならではの内容としては、再開発には欠かせない資金調達をどのように行うかの詳細であろう。ここでは、TIF(Tax Increment Financing)とBID(Business Improvement District)の2つの方法論が解説されるが、特に前者は固定資産税の増収額を担保とした資金調達ということで、このような都市部の再開発に適した方法だということが理解できる。これは、再開発前の税収をベースに、再開発によって土地の価値があがり、固定資産税や法人税の増収分で負債を返済する(そして完済後は当然増額分が市に入ってくる)スキームである。
最終章では、このポートランドの都市開発ノウハウを輸出という形で展開する事例として、千葉県の柏の葉スマートシティでの取り組みも紹介されており、面白い。ますます、ポートランドへの興味が高まった。
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街の中心部は、通りをたくさんの人々が行き交うことで賑わいが生まれる。アメリカのような車社会でも、歩くことが楽しい通り、歩きたくなる通りは人気が集まり、そこに住みたいという評価も高まる。人があるきたくなる街は、徒歩や自転車でおよそ20分圏内の区画で考える。人はそれ以上の距離は歩きたくないし、それ以下の距離だとつまらなく感じるから。twenty-minute community
1階はなるべく窓ガラスを入れて視界を遮る壁を少なくし、飲食店や小売店をテナントに入れる。賑わいが感じられ、安全性も上がる。
neighborhood associationという近隣活動組織。町内会は非公式の自主組織はこれは市に認められた唯一の公式近隣組織。活動予算と支援ももらう。町内会は家族単位での自動的参加だが、これは個人単位の志願参加。
Fail harder:ただ失敗するな。どうせ失敗するなら馬鹿でかい失敗をして多くを学べ(W+K)
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ポートランドの都市計画について取材した本。道路や建築物を作りたがる日本の役所の方々に読んでいただきたい。
予算をいかに使うかという視点ではなく、そこに住む人の快適な生活を都市が演出するのかの視点を持つことでこんなにも地方都市は魅力的になるという好例。
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ポートランドはいいところですね。という本。
日本にたいしての具体的な提起はないし、できないと思われる。
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ポートランドで実際にまちづくりに携わっている方の本。
ポートランドがなぜ人気のエリアなのかがよく分かりました。
日本が高度経済成長に沸いているなかで
古くから培われてきた文化的なまちづくりが
今、良い方向に進んでいる具体例がたくさん書かれています。
企業を誘致するのに優遇するのではなく、
地元に根ざした企業だけを受け入れる。
それがブランドを生みだし
都市の価値を高める。
ポートランドも数多くの失敗を経験して
今の形になっていることも
他の都市でも十分実現可能な施策なんだなと思いました。
Fail Harder
W+K (Wieden & Kennedy)のスローガン
どうせ失敗するなら馬鹿でかい失敗をして多くを学べ!
自分自身もこうありたいなと思います。
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著者の山崎満広氏は、1975年茨城県に生まれ、1995年に渡米し、南ミシシッピ大学院を修了後、米国の建設会社勤務、コンサルタント、政府系経済開発などに従事し、2012年からポートランド市開発局で国際事業開発等に携わっている。
ポートランド市は、米国西海岸のオレゴン州の北西部、シアトルとサンフランシスコの間、太平洋からは100㎞ほど内陸に位置する街である。人口は約62万人(船橋市や鹿児島市とほぼ同じ)、周辺都市を含む都市圏人口は235万人で全米24番目の規模である。
そして、「全米で住みたい街No.1」の座を過去10年間キープする街として、そのサステイナブルなコンパクト・シティというコンセプト、リベラルでカジュアルなパシフィック・ノースウェストの文化(アート、ファッション、音楽、フード等々)とともに、今では日本でも注目を集めるようになっている。
ポートランド市の特筆すべき点は、サステイナブルな生活をベンチマークとしている都市(サンフランシスコ、シアトル、ボストンなど)の中でも一番規模が小さいが、単に街が小さいのではなく、「街を小さく保とうとする政策を推進してきた」ことである。それでいて、同規模の他の都市より都会的なダウンタウンがあり、交通インフラが整い、環境にやさしい建物、歩いていて楽しい街路が人びとを引き付ける。更に、この地に引き付けられた人びとが生み出すカルチャーは、いつしか世界中の人びとの注目を集めるようになった。
私が本書を読んで驚いたのは、ポートランド市も1960年代までは米国の多くの都市と変わらない、環境に特段の配慮をすることなく工業化を進める都市だったということである。その頃に「サステイナブル」などというコンセプトがなかったことは、少し考えればわかることなのだが、他の都市と変わらなかったポートランド市が、ヴィジョンをもったリーダーのもと、多くの市民や企業が協働することによって現在のような街に生まれ変わったことは、とても興味深いし、日本においても、人びとの意識と行動により魅力ある街づくりは可能であることを改めて感じたのである。
更に、そのような魅力的な街には、魅力的な人びとや企業が集まり、一層魅力的なものを作り出していく。。。
ジャーナリストのようなライターではなく、現役のポートランド市開発局担当者が、街づくりの専門的・実務的な部分に踏み込んで書いているため、一般向けの書籍とはやや趣を異にするが、そういう意味では、実際に都市開発・再生に従事する人びとにとっても大いに参考になるように思う。
ポートランドに行ってみたい、そして、自分たちの住む街もそんな素敵な街にしてみたい、と思わせる一冊である。
(2019年11月了)
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2020.17
・ポートランドに移住してくる若者は仕事を選んでくるわけではなく、ライフスタイルに魅かれてくる。
・住民自治が主体的になるように、権限と予算が適切に移譲されている。
・起業文化が、複数の施策を組み合わせる事で形作られている。
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前に、経済同友会のツアーでポートランドに視察に行った時はまだこの本は出ていなかった。これを読んでから現地に行くととても良い勉強になっただろう。
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街はそこで暮らす人々とともに成長し、変容していく。
東京の西部に広がる多摩丘陵、そこにニュータウンが誕生したのは半世紀前になる。
行政を中心とした街づくりの中、車社会、職住分離、核家族といった時間とともに変容する生活様式に、街は次第に魅力を失い多くの課題を抱えるようになっている。
都市計画(アーバンデザイン)、街の再生にはどのようなアプローチが可能か。
ポートランド”世界で一番住みたい街をつくる”という表題に魅かれて本書を読み進めました。
アメリは西海岸、オレゴン州ポートランドは今では自然豊かなコンパクトな街づくり、持続的発展可能(サステイナブル)な街づくりを目指し、多くのクリエイティブな人を魅了しているそうです。
ポートランドも例外ではなく60年代の急速な車社会、工業の発展で豊かな自然は荒廃し、市街地の住環境も悪化していました。街の再生プロセスで興味深いのは、州政府の下に置かれた複数の都市をまとめるメトロ政府とトライメットという組織。ここで数十年先のマスターコンセプトを作るのですが、再開発に伴う利害関係者(行政、市民、事業者)で長期にわたるワークショップを開催しコンセプトを煮詰めていくプロセスがあります。
現在では日本でも市民参加の説明会等もありますが、やはりマスタープランの説明会というイメージが強い。参加する市民の意識も高くないと、利害対立を超えた住みやすい街づくりコンセプトはできないのですかね。
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ポートランド開発局で働いていた山﨑さんの書いた本。
5−6年前からポートランドのことを雑誌などで見ていたけれど、何となく敬遠していたのだが、本書を読んでやはり学ぶべきことは多い、と思った。日本にいると気づかないが、都市というのは作り出せす、作り直せるるものなんだ、ということが分かる。気づきに感謝。