投稿元:
レビューを見る
小説の力、物語の力。確かに、あの小説がベストセラーになるのに、あの作家が人気あるのに、なぜ世の中はこうなのだろう、と首を傾げることは多い。それでも小説を読む人は少数派だから、と思えればいいのだけれど、時に、同じ小説、同じ作家を好きだと言っている人たちの、他者への攻撃性を見て哀しくなることもある。そこにはたぶん、嫉妬があるのだろう。人を見下げる形でしか自尊心を満足させられない、そうならないように、自戒。
投稿元:
レビューを見る
作者の心の内を、主人公が代弁して叫んでいるように思えました。インターネットで誰でも簡単に文章を綴ることが出来、また本離れが進むといわれる現在、少しずつ環境も変化していくなかで、必死に小説に向き合う血を吐くような作家の苦しみに一読者として、少し触れることが出来た気がしました。これだけの苦しみの上で作られた作品を、娯楽として楽しむことが出来ているのですね。売上に固執する主人公の苦しみは環境もあるかと思いますが、若さ故とはいえやっぱり少し苛々してしまいました。これで40代とか50代の作家が主人公だとしたら、更に重たい話になりそうですね。
投稿元:
レビューを見る
売れない作家と売れっ子作家が共作をする話。主人公の鬱屈とした言葉や考え方はたしかにイラつきますが、とても共感できました。痛くて厳しい辛辣な言葉が胸を抉ります。ヒロインは綺麗事だけを言ってるように見えるけれど、悲痛な言葉が必死で、胸が痛くなります。だれも自分の思い通りの人生を歩んでるわけじゃない。人生はハードモードだ、と思いました。小説家の厳しい現実も見えて、胸を痛めるばかりですが、それでも、希望の光が見えて心があたたかくなりました。著者の相変わらずの思春期の少年少女が持つ甘酸っぱい関係もとても好きでした。ワンパターンではありますが。美少女が好きなんだろうなといつも思ってます。
投稿元:
レビューを見る
主人公は小説家の高校生。自分の「伝えたい」物語を書くも、デビュー作も鳴かず飛ばず。
そんな彼のクラスに美少女が転校してきた。そして彼女は売れっ子作家だった…
互いに悩みを抱えているものの、悪意ある読者レビューにこころを折られる主人公と、気丈に小説の力を信じる彼女。
そんな2人が共同で作品を執筆することに。
小説を書くことの辛さをしっかりと描いている作品。
読後感もしっかりしているし、心理描写も緻密。
ただ、少し重い、というか主人公の葛藤にこちらも苦しくなる時がありました。
投稿元:
レビューを見る
物の作り手として読み手に受け入れられるために必死にいろいろ考え、言葉を紡ごうとする主人公の姿に感動かつ共感しました。
彼、千谷一也は日陰の人生は誰も憧れず、求められていないと否定します。読者が求めるのは日向で輝く憧れの存在であると。
そういう人物が登場する人気作も多いので、確かにそれは一理あるかと思います。
けれど日を浴びてなくても、必死に苦難に耐え、諦めず、抗い、それを乗り越えようとする姿が人を感動させることだってあるはずです。むしろ、私はこのような人物に感情移入するタイプだったりします。
それ故、私は一也本人がそうする姿に感動したのだと思います。
ヒロイン小余綾の存在については少々出来過ぎの感があり(作中の言葉を借りれば「人間が書けてなさすぎ」)、感情移入が難しいタイプでした。後半、彼女が抱える苦悩が明らかになりますが、理解はできるけど同情するまではいたらず。
ただ、一也と彼女の相互補完的な関係が、途中崩れつつありながらもなんとか立ち直り、お互いを支え合う形で着地した流れは良かったと思います。
そして…本作のMVPは一也の友人、九ノ里君だと断言したいです。彼がいなければ不動詩凪と千谷一夜の共作は実現できなかったわけですし、何よりクライマックスで彼が一也に一夜の本を紹介する場面は本作屈指の名場面で、久々に本を読んで涙が出そうになったほどでした。
作中で未完の事柄——雛子の病気や成瀬さんの作品がどうなるか、何より今後の一也と小余綾の関係——はとても気になるところで、続きがどうなるか読んでみたいですが、この状態で完結していることが最も美しい形なのではと思うと非常に悩ましいところ。勝手に妄想して満足することとします。
投稿元:
レビューを見る
ネガティブでいちいち面倒くさい男子にイライラとした。
私の好みでないほうの相沢さんだった。
しかし、ストーリーは興味深かった。
小説家と名乗るのは自由だけれど、小説を書いて生活できる人は少ない。
昨今の出版業界の抱える問題もあるけれど、
それでも、本が出版され続けることを望んでいる読む側の私の
思いも、多くの小説家に届けばいいなと思う。
投稿元:
レビューを見る
初作家さん。小説家が書く小説家のお話しということで、これは作者自身のことかな?という考えがチラついて集中できなかったり。
投稿元:
レビューを見る
一応、ワシも物語を綴る人間だ。アマチュアにも届かないが小説を書くことはあるし、仕事も(小説というワケではないが)「物語」を創ることが大事だったりする。そんな人なら一度は陥るであろう「スランプ」と「モノを創る意義」を、極限まで掘り下げた秀作。
中学生デビューした高校生作家、という設定さえ受け入れてしまえば、その苦しみを表す言葉や発作的な行動は、過剰ではあるが嘘ではない。それでも受け入れられない悔しさも。
ある種、舞台裏を見せてしまった感はあるが、創作者という生き物の生き様を生々しく感じられるのではないだろうか。
余談だけど。ワシはある芸術学部の文芸学科にいたが、周りに創作者がおり、自分のアプローチ(文章)以外のアプローチでの表現者(映画、写真、デザインetc)とまみえたのは、とても幸運だったと思う。ある部分で、何かを創るときの支えになっている。それでも、創っていて最後に残るのは孤独なのよね。
投稿元:
レビューを見る
こんな高校生は、まぁいないだろうが楽し。 2016.10.1
投稿元:
レビューを見る
売れない学生作家、千夜一也と転校してきた人気作家、小余綾詩凪が合作を書きながら成長する話。
前半、確かに、作者が投影されすぎて、自分を卑下しまくる主人公が好きになれなかった。しかし、読んでいく内に、ここまで作者が投影されていたからこそ書けた作品なんだと思った。
在り来たりな話ではあるのかもしれないが、ページを捲る手が止まらなかったし「物語の断絶」についての作者の強い思いが伝わってきたように思う。
投稿元:
レビューを見る
売れない作家の心の叫びがちょっとうざいし、そんなマンガみたいな都合のよいヒロインいる訳ないだろうと、あえて星一つ付けてやろうかという意地悪な気持ちも湧きそうになるが、すっきりと読めたので星三つ。
投稿元:
レビューを見る
後半は勢いと叫びに手が止められなかった。
売れる売れないという現実的な問題はあるけれど、とりあえずこうして色んな作品が今も本屋に溢れてるってことは作者さんたちが綴り続けてくれてるってことで。
そこに感謝したくなる。
そして売れてるのも売れてないのもジャンルも問わず、いろんな作品を手にして読み続けたいなぁと思った。
投稿元:
レビューを見る
大事なものは、ちゃんと入ってる、と思う。高校生くらいなら全力で揺さぶられてしまったかも。ずいぶん冷静に読んでしまったのは大人になったのかな。それはそれで少し残念だなと思う。
投稿元:
レビューを見る
「好き」だけでは、どうにもならないときが、いつか来てしまう。愛情を注ぐほどに、執着するほどに、痛いほど思い知らされる。
「才能」という言葉で逃げ出したくなる想い、けれど本当は…諦めきることもできない。
それはなぜなんだろう。
等身大の登場人物が愛しくなる一冊でした
投稿元:
レビューを見る
起承転結が分かりやす過ぎてまるで小説の教科書のような感じ。つまり、現実感がなく作り物のようで感情移入することはなかった。