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16歳のランチ、28歳のプロポーズ前夜、34歳の結婚記念日、47歳のクリスマス、3歳のお昼寝タイム、63歳の何もない一日。リンデは「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求め続ける。密やかな孤独と後悔、それでも残るほのかな期待を丁寧に描いて、女性たちの圧倒的な共感を呼んだ第27回三島由紀夫賞受賞作。『異類婚姻譚』で2016年度芥川賞を受賞した人気作家による長編。
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リンデにちっとも共感できなくて、読むのが辛かった。
最初の16歳の話は、まあスクールカーストってこんな感じか、と思ったけど、それ以外はさっぱり。
ただ、「なぜ私はリンデに共感できないのか?」と考えながら読んでみると、自分が無意識でしている行動やその根底にある価値観が浮き彫りになったようで、興味深くはあった。
このリンデという人は、他者との関係性の中に自分の価値を見出そうとしているわりに、物事の見方があまりにも自己中心的。イライラする一方で、気の毒だなとも思う。
小説(しかも短編のようなもの)にこんな疑問持つのは野暮かもしれないけど、この人仕事してるんだよね?仕事はどんな感じでやってたのかなーとか気になる。
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16歳のリンデとスコアボード
◇ランチ。ボーリング。遠慮し合う友達。
28歳のリンデとワンピース
◇結婚前夜の旅行での諍い。試し合い。
34歳のリンデと結婚記念日
◇旅行を思い出す記念日。後悔。
47歳のリンデと百年の感覚
◇クリスマスパーティー。新しい男。配達人。
3歳のリンデとシューベルト
◇お昼寝の時間。先生とのやりとり。
63歳のリンデとドレッシング
◇一日のうちにやること。配達人。
非エキセントリックなもっちんは、どこか物足りない。
しかしこの作品では、物足りなさが含蓄となっている。
特に「47歳の」における、諦念。
後追いになるが、もっちんの新境地だと静かに興奮した。
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リンデはおそらく多くの女性の映し出す鏡のような存在だろうなと読みながら思った。だから、嫌悪もするし、こうなりたくないとも思う。でも、この日本には多くのリンデがいるのだと思う。おそらく私もその一人。まだ私はリンデのすべての年齢を超えていないけれど、年齢をとるということは孤独にも近くなるのだと思った。
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面白かった。個人的な感想になるが、昔友人が書いた戯曲はこんなことを書きたかったのだろうかと感じた。
16歳のランチ、28歳のプロポーズ前夜、34歳の結婚記念日、47歳のクリスマス、3歳のお昼寝タイム、63歳の何もない1日。主人公リンデの計6日間を切り取り、「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求め続けるリンデの密やかな孤独と後悔、それでも残るほのかな期待を描く。
3歳の時には無条件に自分のことを思ってくれる人がいた筈だった。なのに16歳の時に友人、28歳の時に恋人、34歳の時に旦那にそれを求めて挫折し、47歳で諦観が漂い、63歳の時にはもう望むべくもない。大まかに言って、そんな内容だったように思う。
著者の本はいくつか読んだことがあるが、奇抜な発想も分かりやすいカタルシスもなく、静かに始まり、静かに落ち着いていく小説だった。さらりと読めて、さらりと人生について振り返ってみたくなった。
特に書き留めておきたい章としては、16歳のランチ。世の女性はみんなこんな風に思ってるのかなと思った。
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ある年代の特別でない日を1日だけ抜き出して,主人公のそれぞれの年代の6日分だけが描かれている。けれども,その6日を読むことで主人公がどのように生きてきたかが結構はっきりわかってしまうからすごい。作者の手腕なのかな。
主人公の行動にはちょっとモヤモヤを感じでしまうけれど,自分の中にも同じようなことってあるから,同族嫌悪みたいなものなのかもしれない。リンデにモヤモヤしたところは,今なら遅くないから治せるから治したほうがいいのかもな。
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最初の『16歳』を読んでた時はよくあるティーンエイジャーのエピソードだなぁと思っていたけれど、リンデが歳を重ねていくにつれて、自己中心的で視野の狭い女だな〜、と。
精神が成長してないのね、リンデ。
1人の人間の生活に、しかも16〜63歳と長いスパンでの話なのに、リンデが1度も働いている描写がないのが、ちょっと新鮮。
人生の大半を占めるものが仕事だと思っているので、仕事を描かずしてその人の人となりを表現出来るのはすごいと思う。
再読はない。
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主人公リンデの、さまざまな年齢での1日を切り取った物語。りんでは「心から一緒にいたい人」を求め続けてるけれども、中々出会えなくて諦めて、でもどこか期待している。
自意識過剰でせっかく周りに集まってくれる人を心から受け入れられないのははっきり言って不愉快で、おばさんになった以降は当然独りでただひたすら憐れ。
でも自分にそんな一面がないといえば嘘で、共感があるからこその不愉快さやこの本の面白さなのだと思う。リンデにならないように、縁があった人を大事にしよう。
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芥川賞作家の本谷有希子の作品。デビュー作などいくつか読んだが、いまのところ一番良かった。これまでの作品はやや狙いが鼻に付く感じがあったが、本作では肩の力が抜けた感がある。作品の内容も軽快、自由でよい。
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タイトルとあらすじから明るい話ではないのは予想していたが、暗い気持ちになっただけという感じでどうも消化不良の感がある。自分を好きになる方法は結局何だったのか。主人公が反面教師になっているのは分かるが、そこから言えるのは妥協することとかそもそも理想を知らなければよいこととかであって、漠然としすぎているように思う。より適切な理想の求め方や上手い妥協の仕方が多くの人は分からないのであって、このタイトルならもう少し具体的にそこを突いて欲しかった気持ちがぬぐえない。
(ここまで書いて、こういう姿勢がだめなのかなという気持ちがふとよぎった。自分が始めに折れる姿勢がないところというか。主人公も私も。うわ、そうかもしれん……。)
最後の数ページの、被害妄想と自分に対するごまかしを考えることに意識を支配されてしまった様が哀しい。あまり他人事ではないように感じた。一つの人生シミュレーションとして頭の片隅に入れておきたい。
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読書習慣復活・・・の意気込みが、やっとこの読み終わり・・・
もっと時間を有効に使わねば!反省反省。
ちょいと前から本谷有希子が気になっていたので、その時平積みになっていたこちらを購入した。タイトルも気になったし。
他にかまけている時間要因はさておき、タイトルに惹かれたにも関わらず、なかなか読み進められない・・・ちょっと合わないな〜という感じ。こういう感じが年々増えてきたように思う。
おそらく自分の人生がうまく行ってない時、どうもうまく行かない感じの時だったら、共感度も高くなる作品だと思う。今は自分がかなり前向きなので(笑)・・・共感しないというよりは、主人公のリンデや登場人物に嫌悪感を抱いてしまう感じ。しかし、嫌悪感を抱いてしまうのは、自分はそういった状況や感情を理解できるからである・・・こういったところを、本編後の解説で、瀧井朝世というライターが、ばっちり説明してくれている。
『嵐のピクニック』とか、他の作品も気になっていたけど、しばらくお預けかな〜。
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一人の女性の一生を、3歳、16歳、28歳、34歳、47歳、63歳のそれぞれ一日を描いた6編を連ねて構成する長編小説。
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タイトルと帯に惹かれて読んだけれど、
「自分を好きになる方法」は結局わからなくて
期待とのギャップが大きかった。
本谷さんらしい切り取り方なのかもしれないけれど
ベタな啓発を求めて読むものではなかった。
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なんとなく違和感があるのにその人と一緒にいるのはだめなんだ。きっと長い人生の中で後悔する。わかるようになるには、時間がかかるのかな。
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リンデという女性の、16歳、28歳、34歳、47歳、3歳、63歳。それぞれのたった1日を切り取っただけで、リンデがどのような思考の持ち主か、どうやって生きてきた(いく)のかが浮かび上がってくる。
クラスでお弁当を食べるグループを天秤にかける。海外旅行先で渡すチップごときに、うだうだ言う。第三者の目からみて絶対に合わない相手と結婚する。クリスマスパーティのために買った15mの電飾ごときでその場の空気を悪くする。宅急便の配達員にくだらない見栄を張る。ほんとにしょーーーーもないことばっかりなんやけど、このリンデにイライラしてしまうのは自分にも似た部分があるからなのかもしれない。
「自分を好きになる方法」というタイトルに勝手に期待して、勝手に期待外れだと言う人は多そう。自分を好きになるどころか、自分の器の小ささを思い知ることになると思う。
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年代ごとに切り取られる”ある女性”の日常とその感情。
自分の言いたいことを言えるようになる瞬間
目の前の人間が本当に一緒にいたい人ではないと確認する瞬間
人にしてもらいたいことをしてもらえた経験と
それを求めるようになったきっかけ
リンデという登場人物の素顔。
それはどんな女性にも当てはまるものではないかもしれない。
ただ、その抱える不安や痛みには
どこか人間として絶対的な何かを内包しているようにも思える。
個人的にはジョウさんとの関係の中で出てくる47歳のリンデと
郵便配達人を待つ63歳のリンデに魅せられる。
それは共感とも違う、けど、何だか理解の中にある感情。
僕はまだ47歳でも63歳にもなっていないけど、
彼女の日常に対するイラつきと平安、
そして、何か絶対的な物語を求める欲と
一方で何も起こらないという確信に哀愁を感じる。
人の人生とは”ジャネーの法則”の積み重ね。
3歳のリンデには1年は人生の1/3だが
63歳のリンデには1年は人生の1/62なのだ。
それでも、待てない15分はあるし、ただ過ぎていく1年もある。
歳をとるのも悪くない、とは簡単には言いたくないもんだ
ほし3つ。