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ブータンに雪男を探す目的で行ったのだが、いつの間にかブータンという国を明らかにしようとしていたのは面白いなと感じた。
ブータンに伝わる雪男の話から、ブータンという国を理解するように行動が変わっていったという。
高野秀行は元々未確認生命体を探検していたが、どんどんテーマが大きくなりいつの間にか国家をテーマにするようになったと思われる。
ミスチルの桜井が歌う内容が「個人的な恋愛→精神→世界について」と変遷したのと似た感じがする。
人は探求を続けていくうちに、テーマが大きくなっていくものなのだろうか。
あと、高野秀行は豊富な知識から国について明らかにするのが得意なようだ。ただ国を観察するだけでなく、他の国の事例や歴史的背景を踏まえて国の全貌を明らかにしようとしている。
一見、ふざけたような行動からは想像できないほどの緻密さが彼の書く文に表れていると思う。
「中等教育が伝統を壊す」という発言が、この著書に書かれていた。この考え方は、社会科学について精通していなければ生まれることはないだろう。
観察と知識の二つを武器にして生まれる彼の説明はいつも感心するものがある。
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『未来国家ブータン』という書名だが、内容はブータン訪問記。
有用植物と伝統医療、伝承、雪男、ブータンの社会構造といったテーマが混在していて、内容が散漫な印象を受けた。若干流し読みになってしまった。一番興味が出たのは、ブータンの人が「自由であることに苦しまない」という点。正確に言うと、自由であることに苦しまなくて済む社会。この部分は、最後にすごくわかりやすく簡潔にまとめられている。これをふくらませてテーマの中心に据えて書いてほしかった。ただ、自由に生きている(ように見える)高野さんが、不自由であることの幸福を掘り下げて書くのは違う気もする。
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未確認動物探索家と聞くと世界の果てまでイッテQというテレビ番組を連想するが、まさに、その活字版という雰囲気の旅番組もとい紀行文。高野秀行の良い感じに肩の力を抜いた現地体験と、しかし、実はゾンカ語を習得せんとする努力と体当たりの行動力が、一緒に旅しているかのような臨場感を与えてくれる。で、ミステリーハンターの今回のターゲットはブータンの雪男である。
雪男に会えるかどうかは感想には書かないが、この雪男はブータンではミゲと呼ばれているらしく、インターネットで検索しても、この高野秀行の本に辿り着く位で広がりが無い。つまり、ミゲを日本に詳しく伝えた第一人者(正確には違うが)のようで、まさに冒険家の本分であろう。会えるか会えないか、どうせ駄目だろうなーという脱力した感じが楽しい。
ところで、そもそものブータン行きの目的はニムラ・ジェネティック・ソリューションズの顧問としての出張である。本人は任務をよく理解していなかったようだが、同社は、ブータン原産の八角から取れるタミフルの原料となるシキミ酸や、シャネルと香料植物の共同研究なども行っている。これらの生物多様性調査をミッションにされた訳ではなく、ある種の現地調査や関係構築が任務だという事で、充分な成果を上げたわけだ。
旅を楽しみたければ、高野秀行を読めば良い。ソマリランドに続いて、そう感じた一冊だ。
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「未来国家」というタイトルに納得。日本も舵取りによっては別の未来があったかも……の部分は読んでいて感慨深かった。
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お気に入りの高野さん。著者の辺境ルポタージュを読む度に思う。もう “冒険者” と言ってもいいのではないかと…。
本書を読むまで恥ずかしながらブータンという国について全くの無知でして、興味深く読みました。
ブータン「国立生物多様性センター」と政府公式プロジェクトとしての生物資源調査の様子を綴った本作品。
…ですが、著者には「雪男」調査という大きな目的があり「むしろそっちがメイン?」と思えた。
中盤までは「雪男(ミゲ)」について。過酷なわりになかなか収穫がなくて何だかちょっと気の毒になってきた…。生物資源調査も然り。
世界の秘境を訪れ多数著書を出されてますが、こんなに過酷で身体は本当に大丈夫なのかと心配になりました。
高野さん、身体張りすぎでは?
ブータンと言っても多民族でそれぞれの暮らしや言語、習慣があっておもしろい。「ゾンカ語」も初耳。あと、おもてなしの酒量が異常すぎる。
東京都八王子市ほどの国土面積、信仰や行政も興味深かった。
動物関連や植物関連の書籍もたまに読むのですが、本書を読んで生物資源開発観点から見たブータンの持つ大きな可能性も感じました。
ただ、本書はどちらかというと「雪男」についての熱量の方がより大きかったなぁという印象。
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うーん…
いつもの高野さんと違って、キレがない。深みも足りない。
ミャンマーやソマリランドと違って、他人にお膳立てされた旅だからなのか。それとも、ブータンのガードが硬すぎるからなのか。
表玄関から入るより、お勝手や縁側から入った方が、そこに住む人の顔がよく見えるということなんだろう。
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掴みどころのない内容だった。
今回は調査に苦戦している様子だったので、収穫が薄かったのか?
雪男を探しに行くのか、二村さんの手伝いで行くのか、どっちつかずな印象。
それでも、現地で生の声を聞いて本にしてくれるのは、ブータンに行けない私にはありがたい。
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新婚旅行で行ったブータンだったので、読んでいて景色が浮かんだのと、あの頃あまり調べずに行ったブータンの文化の裏側がわかった。未来国家、というとらえ方が斬新で、また行きたいと思った。
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世界一幸せな国とも言われるブータンに行った話。いつも通り高野節で面白い。ただ、ブータンの国の在り方はとても興味を持った。日本や西欧とは根本的に異なり、庶民とインテリの純粋さに差がないという。確かに、勉強をすると、経済的に余裕が出る一方、悪どいことを考えて精神的には良くない人が増える。ただブータンでは国単位として、自由に見せた方向性が決められており、苦心する必要がない。なかなか勉強になる。
いつも高野氏の行動力には驚かされる。そもそもどうやってコミュニケーションを取っているのか、疑問に思う。飽くなき好奇心は自分も持っていたい、
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ブータンという国が現世に存在していることの奇跡を感じました。国王やエリートが純心で、国のことを常に最優先で考えていること、国民に仏教の教えが根付いており、殺生を嫌う(小さな虫であっても)ゆえに、生物の多様性が守られていること、割と伝統文化が重んじられ、実質は多民族国家であるということなどが印象的でした。
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高野さんの本は何でかわかんないけど、急に笑ってしまうようなユーモラスな時がありつつ、その後のブータン考はすごく考えさせられるような文章でこの人の本以外ではとれない栄養素があるよなといつも思ってる。
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面白いんだけど、他の氏の著作に比べてちょっと印象に残りにくい作品。
固有名詞が分かりにくいからか??