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ボクシングと大東亜 東洋選手権と戦後アジア外交 みんなのレビュー
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紙の本
布引丸事件に続くアジア主義者たちの行動。
2019/04/18 09:24
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書を読み解くには、少なくとも宮崎滔天の『三十三年の夢』を読了しておかねばならない。単純に、プロ・ボクシングと興行という観点で書かれたものではないからだ。アジア、そして、アジア主義者たちの歴史を理解した上で書かれた本だからだ。
さらには、スペイン、ポルトガルの世界を二分した覇権主義の動き。コロンブスの新大陸発見から始まる、北米アメリカの歴史も叩き込んでおかねばならない。キューバをめぐるスペインとアメリカの戦い。そこから誕生したアメリカの植民地フィリッピン。
このスペインとアメリカとの戦いから、近代における日本とフィリッピンの関係は始まる。前述の滔天の著書にも出てくる「布引丸事件」だ。政治的には犬養毅、財政的には玄洋社の平岡浩太郎。さらに、平岡の甥である内田良平が関係する。行動に移ったのが玄洋社の末永節。同じ筑前福岡の平山周、福本日南など。この関係は、その後の孫文の中国革命に続く。
しかし、大東亜戦争後、日本の敗北によりアジア主義者たちは歴史の襞に封印されてしまった。日本とフィリッピンの関係でいえば、日本軍の戦争犯罪行為を裁く戦争裁判だけが注目される。しかしながら、水面下でボクシングを通じ、アジア主義者たちが結びついていたことに驚きを禁じ得ない。玄洋社の頭山満の薫陶を受けた岩田愛之助は、インドネシア独立運動の若手を育成した人として認識していた。それだけに、フィリッピンとの関係は意外だった。
ドゥテルテ大統領がフィリッピンという国名を変更したいという事が小さなニュースになった。果たして、この意味が現代日本で即座にわかる人はどれほどいるだろうか。
500年ほどアジアの歴史を遡り、本書を読むと重い真実が隠れていることが見えてくるだろう。単に、戦後の日本のプロ・ボクシングの裏話として読むと、二番煎じにしか見えない。要注意の一書だ。
紙の本
昭和拳闘秘史
2017/04/29 18:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:角佳広 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大戦末期、日米比の軍民問わず多大なる被害を出した戦闘により、我が国とフィリピンとの外交関係が最悪だった時代。
賠償問題や国交正常化交渉は言うまでもなく難航し、政治の側から打開することは至難の業と思われていた。
しかしそこへ財界、興行師たち、マスコミとつながる元国粋主義者、そしてボクサーが割って入ると、
仕掛け人たちの思惑がうまい具合に一致して、奇跡的な両国関係の改善をもたらしていく…。
効果を生み出していくというスポーツと政治、ボクサーの証言と短い伝記、
「科学」を通じた戦後大衆ナショナリズムと多くのテーマを1冊につめこみながらも、
すがすがしいほど一本筋が通って面白い戦後秘史を描くことに成功している。
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