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かの『ドン・キホーテ』にも大きな影響を与えた、騎士道文学の傑作。
そして、文学史上の価値だけでなく、読んでみても納得の大傑作。ダンテの『神曲』の約3倍ほどの分量があるにもかかわらず、最後まで飽きずに読めたという時点で間違いなく面白かった。
題材はシャルル・マーニュ伝説であり、主人公のオルランドは『ロランの歌』のロランのイタリア語読みである。
しかしこの作品、オルランドは主人公ながら出番はあまり数多くない(下巻ではほとんど狂ってるし)。それ以上に個性豊かな多数の登場人物が、それぞれに愉快痛快な冒険・決闘・戦闘・恋愛を繰り広げる。手に汗握る迫真の戦闘シーンがあるかと思えば、大事なものを取り返しに天馬に乗って月へ行く騎士がいたりと、ホントさまざまな挿話があり飽きさせない。
また、それぞれの話が連続してずっと語られることはなく、ちょうど盛り上がってきたところで「さりながら、その前に語るべき事、いろいろあれば、アンジェリカのことについてはひとまず措いて(中略)・・・この騎士の艱難、苦難の数々を話すとしよう」といった感じに、別の人物のエピソードに次々と話が飛ぶので、とにかく先が気になって読者はぐいぐい作品に引きつけてられる。
表現・言い回しも、何とも上手で面白いんだ。
唯一の欠点は、この作品がルネサンス期のイタリアの作品であるということで、パトロンのエステ家への賛辞がところどころに挿入されている点である。が、そんな話に無関係のところは軽く読み流せばいいだけの話で、この作品はそれでも余りあるほどの魅力を持っているといえる。
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ルネサンス期の定番ベストセラー。ただ定型詩で書かれているので現代人としてはなかなか入り込みづらい。オイディプスの『変身物語』とかダンテの『神曲』あたりを先に読んで抵抗力をつけてから読むといいかも。
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800ページを越える大著
1500年代の作品という古い作品
散文ではなく八行連詩という形の韻文
韻文であるが故か過剰な美辞麗句
出版のパトロンであるエステ家へのおべんちゃら
という様々な難点があるのにもかかわらず十分楽しむことが
できた騎士文学。読み始めた当初は難儀したが、次第に読み
飛ばすコツを覚え(笑)すらすらと読み進めることが出来る
ようになっていった。基本的な物語はキリスト教国対外敵の
争いであり、それに絡む騎士達の武勇伝であり、騎士と乙女
の恋愛模様であるが、ファンタジー読みにも楽しめる要素は
たくさんある。
・数々のマジックアイテムと魔法使い、幾振りもの業物と
名馬たちの存在
・ヒッポグリフを始めとする魔物達の登場
・アストルフォの地獄世界・月世界旅行
実は次に読む予定のハロルド・シェイシリーズの三巻が、
この狂えるオルランドの世界を舞台としているらしいのだ。
読みたい本にリストアップしてあったので、予習を兼ねて
読んだ次第である。