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本読んで泣くのは久しぶりかも。それくらい泣いた。書いてる今も泣いてます。
小説すばる新人賞受賞作の名も無き世界のエンドロールも良かったが、わたしはこっちの方が好き。同時受賞された櫛木理宇さんはたくさん本出してるのにとちょっとばかり心配していましたが杞憂でしたね。素晴らしかった。
普通の青春物語かと思いきや、まさかの麻薬どん底ストーリー。海斗とミツル、そして成瀬の出会いから最期までが本当に哀しくて哀しくて哀しくて…とくに終盤の海斗の最期、卑怯だよ。あの海斗が薬漬けで取り返しのつかないことになってたなんて本当に悔しかった。嫌われ者のミツル握手したら一生友達契約も。トモダチをイワシに例えるセンスも、切迫した銃を構えにらみ合う中でイワシイワシうるさいと成瀬が吠えるセンスも好きです笑。
成瀬の容姿すごい想像つく。成瀬だけでなく、ミツルも海斗も、みんなの顔が頭に浮かびやすかった。実写化向きだな。
登場人物が多いので序盤はページをめくる手が遅く、何度も行ったりきたり、時代設定もイマイチわからなかったりしたのですが、からくりがわかれば一気読み。
伊坂幸太郎っぽすぎたデビュー作より、本人の色が出はじめたのでは。11月に刊行される新刊も楽しみです。
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ほろニガ系青春小説かと思いきや!いや、青春小説ではあるのだけど、ほろニガなんてレベルじゃないっての!
ヤクは乱舞するわ人は死ぬわ。なのに、一番の根っこにあるのは「トモダチ」って。
まぁ、友達とトモダチの違いに翻弄される彼らの姿が芯の部分で分かるからこそ、このニガニガ系青春小説が自分と地続きだと思えるのですけど。
誰かの一番でありたい、と思うその純粋さと、そのためには手段を選ばない冷徹さのアンバランスさ加減。そこに言い知れぬ恐怖を感じる。感じるけど拒否できない何かがある。
それにしても、ミツル、カッコよすぎるよな。見かけはアレだけど。
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感動した。本当に素晴らしかった。前作「名も無き世界のエンドロール」の出来栄えとその志向性に心酔し共感し、次作に出会えるこの日を待ちわびていた。そして、予想し期待していた以上のものを読ませてもらった。本当にありがとう。
章ごとに時制を前後させて物語に独特の奥行きを持たせる手法は前作同様で目新しさはないかもしれない。でもその完成度は格段に洗練されているし、それがゆえに劇的な効果を成功させてもいる。全編を貫くやるせなさと静かな熱い想いに惹きつけられるし、ただの寂寥感に終わることのない、明日につながるラストまで、まさに読むのをやめられない面白さだった。読後感は最高。
印象をわかりやすく言えば、浦沢直樹の原作を伊坂幸太郎が味付けした、みたいな(笑)。ミツルのキャラは伊坂さんの「砂漠」の主人公とかぶってたな。
それにしても人間はみな弱くて悲しい。魚偏に弱いと書いて「イワシ」なら、人偏に弱いと書いたらなんと読むのだろう?そもそも人は弱いものだからそんな漢字がないのかもしれないけれど。
さすがはモノノフ作家。絶対お薦め!ぜひたくさんの人に読んでもらいたいです。
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傑作「名も無き世界のエンドロール」から3年ぶりの新作。本作も時系列が前後するという苦手なパターンでありながら、一気読み必至のエンタテインメント性は健在です。美しくも切ない、友情の物語。
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薬物製造〜販売までの舞台設定にはかなり無理があるが、この辺を気にせず読めば友情劇として楽しめるんじゃないでしょうか
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どう言ったらいいか…、「乱暴」な小説なんだけど、読ませるんだよねえ。これはデビュー作(だったよね?)の「名も無き世界のエンドロール」でも感じたことだ。どういうタイプの話なのかなと思って読んでいくと、え?え?と思いもかけない方向にどんどん転がっていって、いくらなんでもそりゃないよと思いつつ、ページをめくる手が止められないという、独特の勢いがある。
時間が前後する語り方や、子どもの頃の関係性がキモであることとか、「名も無き~」との共通点が多い。作者のこだわりどころなんだろう。この筆力で、また違った形のものを書いてほしいと思った。
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人間関係がはっきりする後半から急に面白くなった。トモダチが後者の屋上から飛び降りるところを、上から見た人気者と、下から見た嫌われ者。対立する二人にあるのは正義ではなく、信念である。
半端に情報をぼかす、ミステリ風味の作りの小説は多いけれど、それで面白くなるものは、あんまり読んだことないなと思う。好みの問題かもしれないけれど。
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人気者の高校生が泥沼にはまるスピードがすごい。友情、ドラッグ、市長選、談合など盛りだくさん。わりと不快な内容が続くので途中でやめてもいいかとも思ったけど、最後まで読ませる文章。
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トモダチ、イワシ。成瀬の気持ちはわかる。ミツルみたいには生きられない。なんのためにがんばってるんだろうなっていう海斗の父親のむなしさがなぜかささった。
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「友達」とは?誰かの「一番」になるって大変ってお話。
薬物と学校と死と、いろんなものが重なってた。
ミッちゃんが、なぜ嫌われキャラなのか?微妙に納得できなかったけど、漫画の主人公みたいなキャラだからだろうか。だとしたら、その視点は面白いな、と思った。小説の中の人なら、非常に好きになれるけど、現実にいたら確かにウザったいかも。
海斗くんの死の真相は、なんともやりきれない。自分が親なら、絶対許せないけどね、関わった奴ら。
個人的には馬場の最後の捨てセリフが好き。成瀬の一番の友達は自分だという、馬場くんは、いじらしい。そういう存在を大事できれば成瀬も、もう少し違った人生があったのでは、とか思う。そういうすれ違いが面白いのだけど。
自分にとって一番の相手にも、一番になってもらえるって、とても貴重なことなんだな、と改めて思った。
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終盤は涙目になりながらの一気読み。
そんな中でクスっと笑ったのは以下のところ。サブキャラ含めてみんないい味出してるのもよかった。
「あ、いや、それじゃ、本格的にマスオじゃん、と思って」
佳乃が思い切り吹き出し、いいじゃん、増尾になっちゃいなよ、と笑った。
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私が誰かのために何かするとき、そこには相手によく見られたいだとか、“誰かを助ける自分”に価値を見出したいというような気持ちが、少なからずある。相手に嫌われないために、相手に鬱陶しがられそうな注意はしない。だから、この話の中で、ただ純粋に“相手のため“に注意したり、助けることができるミツルの姿がすごくかっこよく思えた。