投稿元:
レビューを見る
既存の福祉サービスの無力感が半端ない。淡々と紹介される彼女たちの現実に文字情報だけでは追いつけない。自己否定、愛着、性被害、どれも負の連鎖ががんじがらめにまとわりつく。社会全体の機能不全、という感。
投稿元:
レビューを見る
家族から虐待され、家の外でもいじめられている状態の10代女子達の生きざまを取り上げた新書。
巻末の、著者と漫画家沖田氏の対談が読み応えがある。発達障害で生きづらさを抱えてたが、その後世に出た沖田氏の能力が高すぎて参考にはならない。特に高校時代に援助交際でわずか3カ月で100万円貯めて学習机貯金できて安心したそうで、最近の援助交際の相場を聞いて安い、私とは全然違う、とそのあと自分の援助交際でうまくいったことを語り続け、現在のよい恋愛の話をするところが。これも最下層で援助交際に走るほかなかった元女子高生の、今も癒えてない傷を著者が聞き取っているのか、という感じもしてひやひやした。貯金できる人は強者のような気がするが、そのへんじゃない、身を売るという立場に行ってしまうことが下層なんだと思い直す。しかし、沖田氏はそれで生き抜いてきたので、良くない立場の援助交際をする他人と「私は違う」と口走ることで、自分を同じ立場にして否定的になると壊れてしまうことを防いだように読めた。
(身を売ることなく自立できれば良いと私は思う。
そしてそれはきっと、身を売らず家を出た自分を肯定するための私のエゴとも思う。わからなくなってきた。私は私の個人経験など整頓してどっかに片づけておきたいというのに混乱している)
2016/11/29
投稿元:
レビューを見る
少し飾った言い方になりますが、今の日本では何が良いことか、悪いことかという倫理感や、
こうすることが生きる上で最も大切なことだという行動規範や道徳がありません。
そして、倫理感や行動規範、道徳を、誰からも教わることも、ありません。
個人がバラバラのまま、生きています。
結果、必然的に、利己的かつ快楽だけを目的として生きる人たちが、かなりの数、出現しています。
「そういう者」たちが、どんどん増殖する構造が、日本社会にあり、それが最近鮮明になったと思います。
そういう者たちが、犯罪を起こすまで(子供の虐待を含めて)、
今の日本社会は、「そういう者」たちを野放しにしています。
この点で、日本社会は、とことん劣化していると思います。
「この問題」に対して、対策や解決策を打ち出す上で、
私たちの社会は、圧倒的に人も資源そして社会的関心も圧倒的に不足しています。
親が自分の娘を犯して妊娠させる、1か月間、子供に何も食べさせない、
熱湯を子供にぶっかけて、それを「しつけ」という。子供に教育を一切与えず、
20歳過ぎても、自分の名前や住所さえ書くことができない人がいる。
親がお腹が空いたからと言って、子供に万引きしてこいと強制する、
お前なんか産まなきゃよかったと言う。どれも、犯罪です。
耳を疑うようなことばかりですが、これは、このルポタージュを読む限り、
現在進行形で日本で発生している事実です。
この本で紹介されている女性達の親には、
もちろん他人を思いやるという感情はありません。
あるのは、徹底的な利己的で快楽的かつ刹那、
そして弱者をターゲットとして、虐待やいじめることで、
「ちょっとすっきりする」感覚だけです。
これが、彼らの「精神安定剤」かもしれません。
病的と言っていいと思います。
そういう親たちを容赦なく罰し、
そういう親たちの元で育った子たちを保護をすることは、
誰でも思いつく「対策」ですが、現状、その対策も講じられていません。
こういうのを絶望的な状況と言うのでしょう。
言葉になりません。
投稿元:
レビューを見る
いくつかの実例が紹介され、最後は漫画家の沖田 ×華氏との対談。実例は何とも言えず悲惨な話ばかりで読んでいて落ち込む。子供の親に責任があるわけだが、世の中にはどうしようもない親がかなりいるということか。
投稿元:
レビューを見る
親からの精神的・性的虐待や貧困、イジメなどを受けた少女、女性の「最下層」の境遇を紹介する本。
副題の「無関心社会の罪」が目に止まった。私は著者のいう「無関心な人間」の一人として、こうした現実があることを知っておくぐらいはと、本書のようなルポ、ノンフィクションを定期的に読むようにしている。
その上で批判を承知で書くが、残念ながら本書では私の「無関心」はあまり改善されなかった。
紹介される事例がどれも特殊なこともあり、どこまでがその人の人生でどこからが社会問題なのかが分からない感覚というか、有り体に言えば「ふーん、こんなに大変な目に遭っている人がいるのか」という冷めた感想を持ってしまった。
公的扶助は確かに不十分だとは思うが、こんな社会間違っている、といった考えに至る訳でももなく、私自身のアンテナの弱さにがっかりするばかり。
あえて書評として書くならば、私のような読者をターゲットとしてその「無関心」を打ち破るための本としては構成・内容共に淡白が過ぎたのではないか、というくらいか。
とはいえ私とてセンセーショナルさを求めてこういう本を手に取るほど無関心ではないつもりなのだが…何故か没入できなかった。色々な意味でモヤモヤの残る本。