紙の本
濃姫好きには
2016/08/31 22:19
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投稿者:kanako - この投稿者のレビュー一覧を見る
濃姫好きな人には消化不良
濃姫が不細工という設定は斬新だけど、濃姫好きからするとやっぱりしっくりこない。
何よりあまりにも濃姫の扱い、結末が…
濃姫に特に思い入れのない人なら面白いのかも
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えええええ!?
帰蝶さんの容貌の設定にびっくら。
ん~随所でね、男のひとが書いた女ってのが臭ってね、なんかこう、しっくり来ないと言うか…。
湧きあがる「コレジャナイ」感。
どの人にも感情移入がしづらくてキャラ読み派の私にはちょっとキツい上巻でした。
お話自体は面白いんで、下巻に期待。
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信長の妻、帰蝶が前半の主役。
後半は、元主人の家系に対する忠誠心と信長の下での平和の実現との間で葛藤する明智光秀がメイン。
歴史好きなので、どこかの寺で帰蝶のらしき出産記録があると聞いたことがあるので、それに基づいているのかな?とも思う。
その他には複数の奇抜な設定をしかけてくる。帰蝶が不細工という設定は大分と新鮮だった。その帰蝶が信長に恋心を抱く前半部分は少女漫画の様でかわいらしい。また、その不器量さゆえに、将としても育てられた帰蝶を頼りにする若き日の信長もかわいい。
そんな幸せな日は長く続かない。
兄との家督争いを演じる信長の弟に目を付けられ、不義密通してしまう帰蝶。待望の信長の子を授かるが、謀反による弟の惨殺の今際にそれを知り、帰蝶を虐待死させてしまう。
この帰蝶の死後、実は容姿端麗の双子の弟がいること、出生直後にやはり容姿端麗な母が弟を救い、帰蝶を棄てるところを間違えたことなどが発覚し、その弟、帰蝶の忠実なる乳母であり光秀の妻でもある煕子と光秀の信長への復讐劇が始まる。
途中から残虐になり、移り気すぎて(最愛の吉乃が亡くなった後、すぐ他の女に夢中になるとか史実より薄情な気がする)魅力が失せてしまった信長。才気あふれて闊達とした帰蝶も亡くなってしまう。そうすると、物語を明るい方向へひっぱってくれるキャラクターがいなくなってしまい、魅力的な前半からの失速感が否めない。閉塞感だけが漂ってしまっている。
そして、ドナ・ビボラとは蝮の意味で、それを名乗るのは双子の弟なのだけれど、タイトルの爪の意味がいまいちピンとこずかな。
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一風変わった、といっても変化球ではない、独特の着眼点、執拗なまでに細かな気持ちのひだまでも一つ残らず描き伝えようという姿勢がある作家さんとして、いつも読むのが楽しみな宮本昌孝氏の作品。今回の主人公は織田信長の最初の正妻、斉藤道三の娘、帰蝶。なんと言っても、この帰蝶の描かれようがいい。明智光秀の妻である、傅役の煕子との絆も、いよっ!と声をかけてかけたくなるほどに気持ちいい。織田信長の言動なども、いろんな作品で描かれた信長よりも、真に近いような気にさせられるほど。上巻読み終わって、下巻を読み始めると、なるほど、この作品は下巻が肝だなと思わせられるわけだけど、さりとて上巻の帰蝶の青春譚ともいう物語のドラマには、それだけでも成り立つ、満足度の高い読後感が残るはずだ。
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剣豪将軍義輝から気が付いたら20作品目。最近はその前のデビューからの作品の購入を考えてはいるがどうも触手が湧いてこない。正直、次の作品を心待ちにしようかと!
「ドナ・ヒボラの爪」
今まで書かなかった人が不思議なくらいというか新しい信長像と評されるが正室である帰蝶からの視線の信長像なので新しいというよりもテーマのつかみどころをうまくとったといった感じでしょう。ただし織田家を主題にとった作品は宮本先生の中では初めてなのではないかな?ただ、信長に関していえば山本先生の火天の城の信長が一番好きかもしれない。
まぁ~、それよりも諸田先生の帰蝶も購入予定にしているのですが、信長の正室でありながら子をなさなかった帰蝶の資料自体が少ないようにも感じる本能事変後も生きたとされてはいるものの、その後は今一つ掴めない。最後まで考えさせられる面白い作品です。
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一昨年の大河ドラマを始め、様々な女優さん方が演じてきた帰蝶。信長の妹・お市の方と並ぶほど美女だと勝手にイメージしていたのだが、この作品での帰蝶は父親・斎藤道三に容貌も気性もそっくりだという設定になっている。
『この顔の造作は、武門の男子なら申し分なくとも、女子となると事情は一変する。(中略)このままでは醜女というべきであった』
帰蝶のこのコンプレックスは終始彼女を苦しめる。
生母の小見の方からは疎まれ、父・道三は帰蝶を女武者に育て上げようと武芸を教え込む。初恋が儚く散った時(それは容貌のせいではなく身分違いのためだったのだが)、文字通り号泣する彼女の姿は痛々しい。
もう一つ、この作品ならではの設定は帰蝶の傳役(もりやく)が明智光秀の妻・熙子であるということ。彼女もまた顔の半面とはいえ疱瘡の痕がある。
熙子は夫である光秀と長く離れ、その間帰蝶の傳役として時に母として姉として友として支えることになる。
この上巻での帰蝶の物語は浮沈の連続。
容貌に対するコンプレックス、周囲からの嘲笑、生母との確執、逆に道三の側室で斎藤義龍の母・深芳野とは心を通わせる。
女武者として生きるはずが織田信長との縁談が持ち上がり、誰が見ても政略婚だと思われたのに信長は帰蝶を見初めたと言い帰蝶を舞い上がらせる。
だがその一方で信長は次々と側女を作り子供も作る。帰蝶は輿入れから八年経っても懐妊の兆しはない。
道三と信長との関係が良好なのは帰蝶の心を落ち着かせるが、信長周辺では謀反が次々起こり、ついに道三も息子・義龍の裏切りに遭う。道三が義龍に敗れたとき、帰蝶は信長にどう扱われるのか…。
この作品で描かれる信長も帰蝶も素直な性格だ。
癇性ではあるし様々な敵に対しての駆け引きはあるが、基本的に分かりやすい。その点では似た者同士の夫婦かも知れない。だが帰蝶は傷付きやすく、特に異性に対する疑いを知らない。そのことが終盤の危うさを招いてしまう。
何という人生。実際の帰蝶の人生がどうだったのかは分からない。史実としての帰蝶は道三の死後、その記述がほとんどないために生死も分からないらしい。だからこそ作家さんとしても料理のし甲斐があるというものだろう。
この設定をもって上巻を読むと、下巻に描かれるであろう本能寺の変が全く違って見える。一体どのように持っていくのだろうか。
上巻ではまだ光秀は信長の家臣ですらない。道三が敗れた後、熙子は道三と帰蝶の命で傳役を解かれ光秀とともに逼塞している。
そして肝心の帰蝶は…何というところで上巻が終了するのか。これでは下巻を早く読みたくて仕方ない。
またこの上巻ではタイトルの『ドナ・ビボラ』の言葉すら出てこない。どういう意味なのだろう。しかし先に調べたりせず先入観なしに読んだ方が良さそうだ。