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あまりにも素敵なお話すぎて、読み終わる直前、もったいなくていったん本を閉じて、そのくせ、やっぱり我慢できなくて、すぐに開いてしまって読了(笑)
主人公の一整が、最初のお店を去る経緯や、ほの見える彼の過去が胸に痛くて切なくて。
でも、周囲の人達の温かさが、その分、泣きたいほど嬉しい。
時々挟まれる、猫のアリス目線に、思わずにっこり。
書店員さんたちの、本に対する真摯な気持ちに、本好きの1人として、できるだけ応えていけたらいいと思う。
銀河堂も、桜風堂も、とっても素敵。こんな素敵な本屋さんが身近にあったらいいのに。
『四月の魚』できることなら、私もぜひとも読んでみたい。
スピンオフ的に、書いてくださったりしないかしら(笑)
もちろん、本編の続きも、読める日がくるのを夢見て待ちたいと思う。
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内容は言わずもがな。
優しい表現がストーリーを引き立てて、あたたかさとか、雰囲気を増しているようでした。
読んでいる途中で帯の「涙は流れるかもしれない。けれど悲しい涙ではありません」の文字を見直して、私はさらに泣きました……。
欲を言うなら、もっと透についても、蓬野氏についても、桜風堂のその後についても、というかすべての登場人物について、その一人一人のお話を読んでみたいと思いました。人物だけじゃなくて、船長やアリスについても!続編でも、スピンオフ作品でも!
卯佐美ちゃんのキャラクターがすきでしたー!
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入手してからゆっくり読みたくてずいぶんと寝かしてしまいました。なので同作者さんのコンビニたそがれ堂祝福の庭を先に読んで、こちらは初読みにしようと思って置いていました。
結論から言って、置いといてよかったです。
物語は、SNSでの身勝手な正義感からくる攻撃によって「殺された」社会人の男性が、人として回復していくなかで、色々な人に触れていくものです。村山先生がよく取り上げられる、家庭の問題も強く出ています。人は家庭で育ち、そして人格を形成していくので当然のことなのかもしれません。
以前は少女マンガでも泣けた私は、泣けると評判のコンビニたそがれ堂はもとより、どんな本でも映像でも、全く心が動かない状態になっていました。桜風堂ものがたりでも、この帯にもかかわらず泣いたりできないと思っていました。ところが所々で、涙は溢れなくても滲みました。心が動いて、ツキンツキンと染みました。誰の心にもある、どこかに、この本は触れるのかもしれません。
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ここには私たち書店員の夢が詰まっている。
こんな街で、こんな仲間たちと、こんなお店で働きたい。そんな夢がぎっしりと。
彼らの抱える問題は私たちが日々直面している現実そのもの。でも、だからこそ彼らの思いが痛いほど伝わって来る。
楽しいだけが仕事じゃない。けど楽しくなけりゃ働き続けることはできない。
とある事故で大好きな店を止めざるを得なかった一整くんの悲しみと絶望を共に感じ、新しい出会いに安堵し、そしてその先にある希望に胸を躍らせる。
大きな謎や大どんでん返しやうずくまるほどの号泣はここにはない。そのかわり、この物語には希望がある。希望と言う名の夢がある。私たちが生きて働いていくための夢がある。
(ひひひと笑うにぎやかしい九田さんに親近感を持ってしまうのはなぜでしょうw)
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確かにとても良かった。書店員さんの「この本を売りたい」という真摯な思いにぐっときたり、本を売るという尊い仕事に心が熱くなったりもした。
のだけども、都合のよいファンダジーな展開がちょっと自分の好みとはズレてしまい残念。
でも、現実に桜風堂書店があったら行ってみたいと思うし、本屋も大好き。
本作よりのあとがきの方が楽しめたかな。
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「桜風堂ものがたり」というからには、桜風堂書店で主人公が働く話なのだろうな、と思っていたら、ちょっと違った。
「わけあって退職した主人公の書店員が桜風堂書店で働くまで」が主に描かれていた。
さらに、物語の主人公は一整というより、『四月の魚』という本なのでは、と思えなくもない。『四月の魚』とその本に魅入られた人々の物語、のようでもある。
リアルな書店話かと思いきや、ファンタジーな感じも受けるなぁと思ったら、あとがきで作者も言及されていた。
まれにみる長いあとがきだったが、作者の謙虚さ、優しさ、まじめさが滲み出ていて、素敵だった。
他にも思う点は多々あったが、長くなりそうなので、あとは箇条書きで。
・表紙の絵がすごく綺麗。好み。「げみさん」
・一章の中でもいくつか視点が変わって若干読みにくく感じた。
・「星のカケス」の正体が分かったところから、読みやすくなってきた。
・情景描写が綺麗で、やさしい。
・猫がかわいい。
・一整の名前が好き。ただ真面目な優しいだけの青年かと思えば、ちょっと癖があったことに驚き。
・続きも出るとのことで、恋愛要素も楽しめるのだろうか。
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奇跡と再生の物語。
場面ごとに色彩が浮かんでくるような、色鮮やかなお話だと感じました。
基本的には、穏やかであたたかな光の中にいるような、優しい雰囲気の本。けれど、書店の現状など、リアルな部分も描かれていて。その中にあっても、様々な工夫をしながら、書店を盛り上げていこうとする書店員や他の登場人物たちが、とても素敵で魅力的でした。自分もこんな仕事がしたい!と思わせてくれるような。
そういった書店員さんたちの努力があるからこそ、書店は面白い場所なんだなとこの本を通じて改めて知ることができました。今度書店に行く時は本の並びなどもよく見てみたいです。
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待ちに待った村山早紀さんの書店員を主役にした物語。
ある事件をきっかけに書店員をやめなければいけなくなってしまった男性の物語。
でも、そのことがきっかけに、様々な縁や絆が広がり、1冊の本が仕掛けられて売れるようになっていく様子は、読んでいて胸が熱くなりました。
書店員さんの頑張りもだけれど、星野百貨店さんの行動がスマートでかっこよかった!
素敵な物語でした。
風早の街で事件が起こってしまったことは残念だったかな。
守られている街というイメージがあったので。
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書店員を天職とし、銀河堂書店に勤める月原一整。多くを語らないが、文芸担当として、他にも認められている人物だ。しかし、万引きをしようとした少年を追いかけ交通事故に合わせてしまったことにより、SNS で批判を浴び、天職だった銀河堂書店を辞めてしまう。初版が少くなく、出版社のプロモーションも大々的ではないが名作だと思っている『四月の魚(ポワンダブリル)』を店頭に並べることができず去ったことが唯一の後悔であった。そんな失意のなかにいた一整はSNS 上でやりとりしていた田舎町の桜風堂書店に足を向けていく。
優しい時間が流れていると感じた小説。書店員のお仕事を垣間見れると共に、アナログ(本)とデジタル(SNS)を上手く融合させているように感じた。
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舞台、背景が素敵。桜に包まれた過疎の町の本屋さんに、駅前の老朽化した古いデパートの本屋さん。そして登場人物の痛みや寂しさ、辛さが救われる話になっているのがよかった。書店員さんもマイペースだったり、ちょっと変わってたりしていても悪い人はいない感じがなんかリアルでよいな。そして本屋さんの本を世にだして広めたいという情熱がものすごく伝わってきた。一整と苑絵の関係が何にも進展なく終わってしまったことだけがちょっと残念。
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一つの物語が、見出され、愛され、広まっていく。
本を愛する人たちの思いが詰まっていて、温かすぎるけれど、そうあってほしい物語。つらく、厳しい現実を知っている人からの、傷つきながらも前を向いて歩こうというメッセージを感じる。
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優しくて柔らかくて、キラキラしたお話。悪い人が出てこない、実に温かなストーリーでした。
いつも出かける書店の書店員の方を見る目が変わりました。
この作品で村山さんのトークショーとサイン会に参加しました。村山さんはふんわりした素敵な方でした。四月の魚読みたいです!と言ったら、私も、とのお返事でした。
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万引きした男の子の逃げた時の気持ち、万引きの理由が胸に迫ってたまらない気持になり泣けてくる。このシーンばかりやたらと思い出す。
桜風堂の店主の孫の話しも切ない。この話の男の子が皆(主人公の一整も含めて)健気だ。
あとがきによると、続編も書けそうだとの事、期待して待ちたい。
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あぁ~、好きだ!と感じる本。
心に響く、心にしみわたる。
ほっこりする、ほんわかする。
考えさせられる、目をそむけたくなるのに目が離せない。
意表をつかれる、想像していたものと違う結末。
胸を鷲掴みにされる…
いろんな”好き”があるけれど…
この本は、”今”の私にピタッと寄り添ってくれるような本でした。
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★2016年12月4日読了『桜風堂ものがたり』村山早紀著 評価A
表紙が乙女チックなので、あまり期待せずに図書館で手に取った本でしたが、私には大当たり!こういう事があるから図書館通いはやめられない!!
ちょっと青くさい青春小説っぽいところもあるので、しっかりカッチリした文学作品をお求めの方にはNG。しかし、読み終わってちょっと良かったなとホロリするホッコリタイプの読み物がお好きなら是非一読をお勧めします。
アマゾンとインターネット全盛のこの時代にあって、衰退激しい出版、書店業界ですが、そこに働く本が好きな書店員達の熱い思いがさり気なく伝わる筋書き。また、本によって生きる力を与えられる人たちの話も自然で良い感じです。作品の中で語られる新刊本【四月の魚】があるのなら是非読んでみたいと強く思いました。また、作品に出てくる桜風堂がある桜野町は、私が住むこの長崎県、佐賀県のこの辺りにそっくり。作者の村山さんが長崎県出身なので、モデルはこの地域かもと思ってしまいました。笑
早速村山早紀さんの他の作品も追いかけてみようと思います。
主人公は、老舗の銀河堂書店の文庫本コーナーを担当する10年選手の月原一整。彼は生い立ちの不幸もあって、本をこよなく愛するがあまり、人と深く関わり合わない書店員だった。ある日発生した不幸な事件が引き金となり、不本意ながら退職を余儀なくされる。その後、インターネットでの知り合いだった田舎町の温泉保養地である桜野町に桜風堂書店を構える店主に会いに行く。
そこでたまたま遭遇する自分をまさに必要とされる事態への展開。また、出会う店主の孫の透は、小さな頃の自分にそっくりでかつ境遇も似かよっており、一整は桜風堂書店の手伝いを決意する。
ちょうどその時期、前職の時に一整が力を入れて世に知らしめたいと思っていた元有名シナリオライターの初小説作品【四月の魚】の発売が迫っていた。一整が去った後の銀河堂書店の 仲間達は、何とか一整肝いりのその新作を自分たちなりにサポートしようとしていたのだった。
P287
一瞬の時の 中に永遠があるということ
もし、世界に魔法や神様が存在せずに肉体の終わりとともに魂も消えてしまうのだとしても、記憶や思い出は 無にならない。ひとつの命がこの地上に存在し、笑い泣いていた日々があったという事実は、死によってもしても、ぬぐい去ることができないことなのだと。