投稿元:
レビューを見る
周太を欠いたまま、夏休みに3人でロケット打ち上げを成功させた駆たち。
秋になり、周太が戻ってきた!
種子島で、遊学生として過ごすことが出来る日々、宇宙探検隊の仲間と過ごす日々が残りわずかな事に突然気付いた駆たちは、もっと遠く、深宇宙を目指すロケットを打ち上げようと考える。
やがて、島そのものの力を合わせたロケット打ち上げを実現させるべく、島の大人たちも、少しずつ変わってゆく。
春夏編より、さらに駆たちの脱皮…羽化かと思うような成長ぶりが鮮やか。
加勢たちも、子供たちに刺激を受けて、忘れかけていた思いを思い出したり、見つめなおしたりし、それぞれの心の命じるままに、もっと遠くへ行く。
たまたま、宇宙活動法が成立した、なんてニュースが飛び込んできて、作品世界がぐっと近く感じた。
春夏編と同様、宇宙やロケットについての専門用語が続くと少しツライけれど、そこは流し読みしても平気。
登場人物それぞれの変化がまた他の人物の背中を押したり、自然や伝統が宇宙へ向かう工夫にヒントを与えたり、変化していくことに、わくわくする。
星が好きな友人は、宇宙の単位で物事を見ると、地上のチマチマした事なんてまったく気にならない、なんて言っていた。
宇宙でも、自然でも、歴史でもいい。
目の前の現実だけを見て生きるより、遠くを見る視線を忘れずにいる事で、誰でも、もっと自由に生きられるのかも。
投稿元:
レビューを見る
目的のために、一つ一つの壁をクリアしていく駆の成長が頼もしい。とはいえ、宇宙馬鹿の周太はともかく、冷静な駆だけでも、希実と萌奈美の情熱だけでもできなかったこと。周りを巻き込むこと、チームで動くことの面白さを知る。
そしてこの作者の作品に出てくる大人たちの魅力的なこと(駄目な部分も含めて)。挫折していたり、反面教師だったり、時に悪意をもって足をすくいにきたり、とさまざまだが、必ず大きく温かい目で子どもたちを見守る大人がいる。だから安心して読める。自分も子どものころ、そういう大人に出会いたかったなと思いつつ、あのときのあの人たちはそうだったのかも、と振り返れば守られてきたことを知る。そして、十分年齢を重ねたいま、自分は子どもたちにとってそんな大人たりえているのか。大人として読むとき忸怩たる思いになる。
投稿元:
レビューを見る
科学と民話的なオカルトと、成長の物語っていう、得意のパターン。ボリュームアップして、たくさんの視点が盛り込まれている割に、あっさり流されてる部分があったり。もっと長いシリーズとかに挑戦してくれても良かったのに、と思わなくもない。安定の面白さの川端ワールド。でももっとそれこそロケットのように突き抜けたお話も読んでみたいな。
投稿元:
レビューを見る
ロケット発射場のある島で1年を過ごすことになった少年を主人公とした成長物語。今より少し未来のお話ですけど、ちょっと無理がある過ぎる展開のように感じました。ジュブナイルとしてはいいのかもしれませんけど…
投稿元:
レビューを見る
宇宙遊学生の美少女が、屋根から落ちるという事故のあと、ネット記事のスキャンダル追跡という落ち込み、逆境から、子どもが中心となって、深宇宙へ向かう宇宙ヨットを打ち上げる、という後半の盛り上がりはなかなかにわくわくさせられるものがあった。前半よりは面白い。
でもやはり、前半のテーマ的なばらばらさはまだ残っている。たとえば、宇宙ヨットのマスト開発において、バイオミメティクス的なアイディアを通して、宇宙工学+生物学という融合をはかろうとするなど、いろいろ努力はなされているのだけれど、その発見のシーンの描写的な淡白さもあり、感動はじゅうぶん伝わってこなかった。たぶん作者としても、「あんまり難しいこと書いてもわかってもらえないんじゃないか」という遠慮があって、絶対伝えてやるという熱情を保てなかったのではないか。
やはり主人公たちが小学生なのが、ひとつ大きな障害になっていると思う。これが高校生だったりすれば、せめて中学生ならもっとリアルに描けたのではないか。
投稿元:
レビューを見る
春夏編と合わせて、たね島に宇宙遊学した主人公天羽駆の1年を描く。小学校6年生の主人公たちだからできること。大人を巻き込んでできること、そしてロケットを飛ばそうとする話。面白かったけど、作者の思いが、宇宙、生物、自然、神様と色々なことに飛ぶのを追いかけるのが、ちょっと大変かな。
投稿元:
レビューを見る
春夏編の続編であり完結編。SFマガジンで連載を読んでいたので結末は知っている。だけど、小学生たちが地球を飛び出して深宇宙を目指すロケットの打ち上げに邁進する姿は気持ちがよく、何度でも読んでいて応援したくなる。
大人や各種組織を巻き込んで進めたプロジェクトであり、本作品の通りに進めれば、自分たち(自分の子供たち)にも大きなことができるのではないかと期待を抱かせる。
ロケットを打ち上げた後も探査機は宇宙空間を自律的に飛んでおり、それをきっかけに天羽駆らが小学生を卒業し、中学・高校生になっても関係者とのつながっている。人が地域が地球が宇宙がつながっていることの証だろう。はやぶさ2のプロジェクトが進行中の今、改めて宇宙に目を向けるとロマンが見えてくる。