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山中鹿之助は、講談の題材になるような英雄であるだけに、その生い立ちなどを巡って、色々と虚実入り混じって伝説めいた挿話も多く伝えられているのだというが、本作はそういう“素材”を適宜取り込んではいるらしい。が、それを「中学生位の主要な読者」という“制約”めいたモノも在りながら、作者は巧く「自然な感じ」に纏めている。
本作は、山中で育った剛勇の士が尼子家のために闘うことを誓い、何度も苦境に陥りながらも、そして無念の敗退を繰り返しながらも、飽くまでも戦い抜いたという事柄を軸に、作中人物達のドラマが展開している。そのドラマの中で、山中鹿之助を始めとする多くの武士達が勇戦する「戦国モノ」らしい雰囲気のストーリーが展開する。なかなかに愉しい!!
一寸「異色?」な感じもするが、「誰でも愉しく読める時代モノ」ということで、なかなかに好い作品だと思った。
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松本清張の幻の名作、書籍化!
解説にあるように中高生向けの雑誌に連載されていただけあって、読み口は軽い。だが、内容は時代を超えて読まれても、色褪せることはない。確かに、名作である。
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戦国時代に山陰地方を治めていた尼子家に、敵も認める武将・山中鹿之助幸盛がいた。強敵毛利元就の軍門に下って幾度も挫折を味わっても、尼子家再興を諦めない鹿之助の生涯を描く。清張歴史文学の頂点を極めた伝説の名作。
私の出身地の英雄である山中鹿之助。小学校では特別授業や関連資料が多くありました。「我に七難八苦を与えたまえ」は最初に覚えた難しい言葉かもしれない。改めて本作を読むと分かるのが、毛利元就の見事な策略とその罠にまんまと掛る尼子晴久の愚かさ。歴史はトップの器で決まってくる。