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ファンタジー性の強い小説を予想していたら、ゴリゴリの科学小説だった。カーラチャクラには子供はできないのかな。「君」の正体は彼だったのか。カーラチャクラが存在する限り、同じ人生を何度も繰り返すのはリニアも同じ。記憶や意識があるかないかの違いだけ。人類にとって良い結末をもたらさないと知りながら、科学の歴史を改変するヴィンセントの真意がよくわからない。創造主の目を得ることなんて、そんなに価値のあることなのか。魂だけ生まれ変わって、時を進むならともかく、同じ時代を繰り返し生きるなんて、ちょっとうんざり。
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「リプレイ」によく似た内容だが、世界の終わりを回避するための戦いという点でハラハラ感が全く違っていた。でも途中少し気持ちがだれてしまった。語りの時間軸が割としょっちゅう変わるので、その点が難点だけど後半のハリーとヴィンセントとのさぐり合い?めいた展開はとても面白く読んだ。
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持って回った比喩とか翻訳小説特有の読みにくさがあったが設定の面白さで何とか最後まで読み切ったという感じ。もうちょっとすっきりした文章ならもっと楽しめたかな。
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死んでも過去にさかのぼってまた人生を繰り返すという設定は、「リプレイ」や映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」で知ってるけど、これは「こんなこと思い付く?」という次元の違うアイディアがキモ。途中ダレて苦労したけど、人の想像力ってすごいなあと心の底から感心しました。
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実に壮大! SFのリプレイものとしては前例を見ない斬新さがあり、緻密な作り込みと、物語の積み上げが英国小説の系譜を踏まえた重厚さを具え、どっしりした読み応えがあった。
・・・が、実はかなり消化不良。面白さに気づいたのが中盤以降、後半になってから。もう少し最初のうちから、登場人物、エピソードに注意を払って読んでおけばよかった。きっと抜け漏れ、伏線回収に気づいてない点など多々ありそう。
これはいつか再読だな。
人生を「リプレイ」する体質を持った主人公たちが、とある科学技術の発展によってもたらされる「世界の終わり」を防ごうとするお話。
こう書いてしまうと、少年漫画の域を出ない話の筋のようだけど、我々が興味を持って学び、そして過ごした20世紀の歴史を、1919年に生まれたハリー・オーガストが、死んでからも再び生まれ変わる(というか同じ本人にとして)誕生し、その時、過去の記憶全て持ったまま次の人生を送ることができる(という体質)。 そうした同じ体質の年代の違う仲間と知り合い、何回も人生を繰り返すうちに、過去も未来の情報もどんどんと蓄積されていくという点がミソ!
復生者を扱った平野啓一郎の『空白を埋めなさい』的な趣きもありつつ、『進撃の巨人』的な記憶の継承があったりと、近年の興味ある作品と似たテイストで面白かった。
本作は、さらに同じ本人としての人生を活きるが、生まれ変わるたびに違う人生を歩んでいくところが、これまた面白い(が、○回目の人生、というのが前後しながら登場してくるので、ややこしくてしょうがない)。
中盤くらいまで、このギミックの面白さ、同じ体質の仲間との交流で過去、未来の情報が知れることが理解できるのに時間がかかってしまって、なかなか物語に入っていけなかった点が「1回目」の反省点だ。
なーに、ハリーですら、その特異体質を理解し受け入れたのは3回目の人生でだ、その後何回も人生を繰り返し、11回目の人生で自分の運命(使命?)を知ることになり、15回目の人生に向けて奮闘がはじまるのだ。1回目の読書がなんだ!(と、理解が完全ではなかったことを棚に上げて言っておこう)。
20世紀の歴史、ロシアが舞台になるクダリなど、なかなか興味深い1冊だ。また時間があるときに、ゆっくり、でも、今度はできるだけ一気呵成に読み通したい。
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哲学的でありサイエンティフィックでありリアリティある作品
ぜひ映画化されてほしい!
たまに時系列が飛んだり,ふとした時に前に登場した人物が出てきて混乱することもあったw
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この小説の何が怖いって、冒頭から身も蓋も無い真実語っちゃうところよね。
------以下抜粋------------------------
女の子はにっこりし 、私が言わんとするところを理解すると耳元に口をよせた 。 「世界の終わりは世の常よ 。でも世界が終わる日が早くなっているんです。 」
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そう、初めから「世界は終わる」前提。
ハリーがヴィンセントから、量子ミラーの完成から世界を救おうとも、恐怖の大王はいづれ現れる。
これ読んでる間、ずっと「シンギュラリティ」について考えてた。AIが人類の知能を超えるXデイについて。
「シンギュラリタリアン」と呼ばれる人々は、私の悲観を何をか況やと一笑に付すだけだろうけど。賢い人たちが何を思って、未来に向けて何をやろうとしてるのかなんて、私にはわかりっこないんだけどさ。
ミヒャエル・エンデが存命だったならば、かつてお金や時間について私たちに語ってくれたように、AIについて、シンギュラリティについて、何を語ってくれただろう。
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人生をやり直せたら。
生まれ変わったら、あんな過ちを犯しはしないのに。
ハリー・オーガストは死んだ次の瞬間に生まれ変わる。
生まれた時は意識も朦朧としているのだが、3歳ころには前世の記憶が甦る。
同じ時、同じ親、同じ場所から始める人生は、しかしただの繰り返しではない。
歴史を変えるような大きな出来事には介入できないとして、個人の人生における小さな選択はちょいちょい変わっている。敢えて変えている。
カーラチャクラと言われるハリーのような人は時折現れる。
だから、彼らは「クロノス・クラブ」を作り、歴史を知りすぎているが故の失敗を犯さないよう、上手く子ども時代をやり過ごし、生きていくすべを互いに手ほどきする。
古今東西片っ端からの宗教にすがる人生。
学問に、冒険に、農業に…。
何度も生まれ変わるから、なんにでもなれる。
そんなハリーは、ヴィンセントと出会う。
同じ種類の頭の良さをもつハリーとヴィンセントは、あっという間に親友となったのだが、ただ1点どうしても相容れないものがあった。
歴史に干渉しないことを旨とするクロノス・クラブに所属するハリーに対して、ヴィンセントはこの世の秘密の全てを知るために、人生を何度も繰り返しながら少しずつ歴史を前倒しにして、結果的に世界の終わりを早めていく。
親友であり敵同士でもあるハリーとヴィンセントの戦いがはじまる。
これは、面白かったですよ。
純粋に、どちらが勝つのか、世界はどうなっていくのかが気になって、ぐいぐい読んでしまいました。
しかし面白いだけではなく、生きるとは、時間とは、愛情とは、憎しみとはなどを考えさせられ、何を差し置いても知りたいという欲望、時とともに変わっていく気持ち、薄れゆく記憶など、いろんなことを考えながら、私も濃密な時間を過ごした。
ただ、歴史に干渉しない生き方なんてできるだろうか。
だとしたら、生まれてきた意味は何だ?
同じ時間に生まれても、死ぬときは同じとは限らない。
ハリーのような人が何人もいて、違う人生を送っているのなら、つねに時間の流れは流動的になるのではないか。
だとしたら彼らは同じ時間を繰り返し生きるのではなく、無限にあるパラレルワールドを移動しているだけだと言えないか。
同じ時間を何度も生きる彼らは、肉体年齢と、繰り返し生きた通算の年齢の2本立てで人生を考えるが、一方通行の時間ではなくループした時間の中で生きるということは、通算ではない数え方をする方が自然ではないか。
3次元の次の4次元の思考。
ストーリーが面白かっただけではなく、いろんなことを考えながら読む楽しさ。
頭が活性化したような気がします。(あくまで個人の感想です)
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読メでの評判が良いので読んでみた。凄い面白いじゃないの!読んで良かったよぉ!”ループもの”と聞いて頭がこんがらがるのでは?とビビッたけど、大丈夫でした。
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今まで読んだタイムループ小説の中で一番面白かった。あり得ないほどスケールが大きい物語なのに、人間の中にある矮小な醜悪さが見事に描写されている。
通常、タイムループものと言えばある時代を起点に時が戻る設定が多いけれど、今作では主人公は赤ん坊として生まれてくるところから再スタートする。前回の記憶も徐々に戻ってくるため、文字通り強くてニューゲーム状態になっている。
※寺田心くんは主人公と同じ体質だと思われる
タイムループを体験できる人間を確実に殺すにはどうすれば良いのか?異なる時代へ生きる人間にメッセージを伝えるにはどうすれば良いのか?など、設定の1つ1つがとにかく斬新で面白い。読んだことがない人は、すぐに読んでほしい。
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20191208
同じとき、同じ場所に生まれ、何度も生死を繰り返すハリー。同じように繰り返しを生きるカーラチャクラたちの集団、クロノス・クラブの面々と連絡をとっていたハリーは、未来から滅びのメッセージを受けとる。未来を変えているのは、カーラチャクラの誰かなのか。ハリーはそれを止められるのか。
ループものSFだが、単純なループではなく、大きな歴史は変わらないが、個人の行動は少しずつ変わる。死んでもまた生まれるカーラチャクラを殺すには、その精神を殺し記憶を消すか、生まれる前に殺すこと。設定だけでも引き込まれるものがあるが、頭脳戦、心理戦、拷問、殺人、密入国、すべてを使った駆け引きが凄い。未来や過去との連絡の取り方も面白い。
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静かに、着実に、巻頭言に収束していく快感。
ページをめくりながら、物語が前進する轟音が聞こえるよう。
『はてしない物語』なみに没入できる、いい読書体験でした。
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前半がなかなか読み進められなかったけど、終盤は一気に読めた。後半おもしろかった。ヴィンセントにとって、この結末はある種の救いになるのかもしれないと思った。16回目以降のハリーはどうなるんだろう。何百回目かの人生で、ヴィンセントみたいになる可能性もなくはないかも。