紙の本
想像力の爆発
2017/12/14 22:14
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔から、頭の中の空想を形にしていく人っているんですね。
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ボスは去年、上野の東京都美術館で開催中のボイマンス美術館所蔵ブリューゲル「バベルの塔」展で展示されていた16世紀ネーデルランドの画家です。
ボスは数々の不思議な怪物を描いています。
そんな中、今回の本はボスによって生み出された葯90体のモンスターをキャラクター化して「モンスター図鑑」にしたものです。
見ていてこんなのがいたら楽しいなあ、いない方が世のため人のためといった具合に人間社会同様いろいろいます。見ていて楽しくなります。
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ヒエロニムス・ボスはルネサンス期に活躍したフランドルの画家だが、特異な世界観で幻想的な作品を残し、シュールレアリズムの先駆とも評される。今年2016年はボスの没後500年であり、生誕の地オランダや「快楽の園」を所蔵するマドリッドのプラド美術館では大々的な回顧展が開かれたそうだ。
そんなことを知るはずもない小学5年生の次男がとある美術館のショップで見つけた本だ。ポケモンも鬼太郎もとうに卒業式した彼だが、生来の怪物好きは健在らしい。他愛もない子供向けの絵本だが、これが中々よくできていて大人も十分楽しめる。ボスの絵に細かく描きこまれた数々の「モンスター」を拡大して、勝手気儘な「解説」を付していく。もちろん美術史的に何の根拠もないが、それにしかめ面をするのは野暮というもの。兎にも角にもボスの描く怪物たちは魅惑的なのだ。おぞましくもあるが実にユーモラスである。絵の中に隠された寓意的意図を探るのも一つの鑑賞だが、自由奔放に空想を膨らませることにきっとボスも反対しないはずだ。
大人的に言えば、タイトルからして当然そうなのだが「快楽の園」には明らかに性的なイメージが溢れている。さすがに子供向けのこの本では言及を避けているが、そもそも幻想世界において性的欲望とそれ以外の欲望に明瞭な境界はない。あらゆるものに性的なメタファーを読み込むフロイトの片棒を担ぐわけではないが、子供達もポケモンや妖怪に密やかなエロス(今時なら「萌え」と言うのだろうか?)を楽しんでいるのかも知れない。
本書でボスに興味を持たれた読者は美術史家による『 謎解き ヒエロニムス・ボス (とんぼの本) 』や『 「快楽の園」―ボスが描いた天国と地獄 (ビジュアル選書) 』を手に取られるとよい。こちらはもう少し「お勉強モード」の本だ。