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Sound Horizonの『よだかの星』を聞いてから、気になっていたので読んでみる。
その醜い容姿から、皆の嫌われもののよだか。
ある日鷹から、明後日までに改名しないと殺すと脅される。
弟のかわせみに別れを告げ、空へ上ってゆくよだか。
太陽や星のところへ連れていってとお願いするも悉く拒否され、その度にうちのめされながらも、何度も何度も空へ上る。
ついに、渾身の力で空へ上がり、よだかの星となる。
周囲の鳥たちからひどいことを言われ、鷹からは改名を強いられ、めじろの雛を助けても感謝されず、挙げ句は盗人のように扱われ、つらいと嘆くよだかの悲しみが真っ直ぐに響く。容姿が悪いというだけでここまでひどい扱いを受けるものなのか…
そのつらさから逃げるためなのか、よだかは空を目指す。
何度も空へ上るよだか。私にはこれがよだかの生きざまに思えた。鷹に挑もうにも、爪もするどい嘴もないよだかでは歯が立たない。
ならばせめて、誰も傷つけない、自分の真っ直ぐな生き方を、皆に見せつけてやる。高い叫び声は、そう言っているような気がした。
他の作品は、返却期限が迫っていたので『カイロ団長』と『月夜のでんしんばしら』だけ読了。
『カイロ団長』は、トノサマガエルがアマガエルたちを奴隷にし、キャパオーバーな仕事を与えるが、王様の命令でその仕事がもっと大きくなってトノサマガエルに降りかかる話。因果応報、教訓的な話。悪いことはしちゃだめだね。
『月夜のでんしんばしら』は、恭一という主人公が線路を歩いていると、電信柱の兵隊と黄色いじいさんに出会う話。電信柱は歩きながら軍歌を歌い、じいさんはこの兵隊をとりまとめる。汽車が来ると、電信柱は動かないふりをして、じいさんは列車の下へ潜り込み、汽車へ電気を届ける。ディズニー映画のような、なんとも不思議な話だった。