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哲学と言うのは昔の思想を勉強すると言うだけの学問かと思っていたけど、むしろ今の時代に何を考えどう生きていくのかを考える事が大事だと理解。
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哲学の現在、IT革命、宗教の章が面白かった。こういう風に全体像を一般向けに書いてくれる本はありがたい。
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リアルタイムで活躍中の哲学者、生命科学者などなどの理論の概略を理解するのに便利。引用文献も豊富ですが、まだ和訳されていない書籍も多いようです。英語で読むのはちょっと敷居が高いかな・・・。この本を手がかりに新たな知のフィールドへ探検の一歩を踏み出すのも悪くないかも。扱っている領域が広いので、各分野にそれなりの知識のある人にとっては物足りない点があるかもしれません。
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第1章は分かりやすくまとまっていて参考になりました。
それ以外はいわゆるガイダンスとして参考になるものの、哲学が指し示すものが何なのかという問いに答えるものではありませんでした。具体的には、バイオテクノロジーに対する生のあり方、資本主義社会における企業のあり方、について示唆を得たかったのですが、残念ながら解への手がかりを得ることはできませんでした。
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哲学の現況と社会の諸問題とのかかわりが簡潔かつ網羅的にまとまっていて非常に参考になった。哲学は比較的とっつきづらい分野であるが、その入門書として最適だと思われる。本書では敢えて特定の主張を控えて、各学説と社会の関係性の記述に終始している、ナビではなくマップと言った感じ。(個人的には)本書を足がかりに専門書に手を伸ばすなり、思索を深めるなりするのが哲学的な姿勢ではなかろうか(と思う)。
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今世の中で起こっている問題を、哲学者がどう捉えているのか。タイトル通りの本。
基本的にほんのさわりしか紹介しないので、この本で議題になっている話題に少しでも触れてきた場合は、物足りない。
入門書。
ピーター・バーガーの脱世俗化の話で、先進国でも宗教に入信する人は増えてきているっていう話が面白かった。
ドーキンスの「神は妄想である」が世界中で150万部のベストセラーになった一方で、アメリカでは根強くキリスト教の天地創造論を信じる人が少なくない。
科学と宗教を対立して論じない、ということを主張したグールドの見方は面白いけど、やはりそう割り切って納得できるものでもない気がする。
人間の精神との向き合い方については、やはり宗教の教えがとても身に染みることが多々あるし、そこは科学で如何ともしがたい部分だと思う。
でも宗教が世界を説明する1つの手段である以上、やはりそこは科学と対立せざるを得ないんじゃないかなあ。
ローマ教皇が科学について論じた、みたいな本もあった気がするので、「宗教と科学」というテーマで調べてみても面白そう。
なぜ、脱魔術化の時代において再魔術化が行われたのか。
特に科学的に考えるのが当たり前とされていそうな地域でも、それが行われているのが不思議だ。
拠り所を求めているのだろうか。
まあ、実際に自分は科学のほとんどを知らないのにそれを信じている、という点でそれはもう立派な科学教信者のような気もするが。
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著者の岡本裕一朗氏は、一般向けの新書も上梓している西洋近現代思想の研究家。
著者は、まず序章で、フーコーの表現を引用して、“哲学”とは「たった今進行しつつあることは何なのか、われわれの身に何が起ころうとしているのか、この世界、この時代、われわれが生きているこの瞬間はいったい何であるのか、われわれは何者なのか」を問題にすることとし、“現代(今)”というこの時代は、「歴史的に大きな転換点」、「「モダン」そのものの転換点」であるが故に哲学にとって重要なのであるという。
そして、前段で、デリダやローティをはじめとした20世紀後半のスター哲学者の多くが亡くなった後、「21世紀になって、世界の哲学はどうなっているのか」を俯瞰し、後段で、「モダンの転換」に関わる5つの重要なテーマについて、哲学者の範疇に留まらない、各領域の専門家の思想を縦横に引用・紹介している。
特に後段については、いずれも単独の主題として取り上げた書籍を読んでいるような関心の高いテーマで、非常に興味深いものであった。
なお、後段の5つのテーマでは以下のようなキーワード、キーコンセプトが取り上げられている。
1.IT革命・・・人工知能(AI)、シンギュラリティ(技術的特異点)、SNSと民主化運動、スマートフォンのドキュメント性、パノプティコンとシノプティコン
2.バイオテクノロジー革命・・・ゲノム編集、ポストヒューマン、リベラルな優生学、トランスヒューマニズム(人間超越主義)、クローンと一卵性双生児、寿命革命、脳科学研究と近代的刑罰制度
3.資本主義・・・「歴史の終わり」、ピケティ現象、格差是正と貧困救済、リベラリズムとリバタリアニズム、ネオリベラリズム(新自由主義)、グローバリゼーション、仮想通貨、フィンテック、シェアリング・エコノミー、
4.脱宗教化・・・「世俗化」と「ポスト世俗化」、「文明の衝突」、多文化主義モデルと社会統合モデル、グールドのNOMA原理とドーキンスのNOMA原理批判、創造説とネオ無神論
5.環境問題・・・地球温暖化問題、人間中心主義、ディープ・エコロジー、環境倫理学、環境プラグマティズム、生態系サービス、リスク社会論
歴史の転換点に生きる我々が考えるべき根本的なテーマについて、現代の知性たちの多様な主張をヒントに、自らの考えを掘り下げることができる、有用な一冊と思う。
(2016年10月了)
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ポストモダンの哲学がその勢いをずいぶんと昔に削がれた後にもまだ「哲学者」がいるのか、いるのであればそういう人たちはどういう問題意識をもっているのか、ということに興味を持って読み始めた。
ヘーゲルの有名な言葉「ミネルバの梟は黄昏とともに飛び立つ」をひいて、哲学とは「自分の生きている時代を概念的に把握する」ものだと著者は定義する。その問題意識は、かつて「哲学者」が抱いていたそれとは時代認識が違っているからこそ当然にして異なっている。そのために著者は、
①哲学は現在、私たちに何を解明しているのか?
②IT革命は、私たちに何をもたらすのか?
③バイオテクノロジーは、私たちをどこに導くか?
④資本主義制度に、私たちはどう向き合えばいいか?
⑤宗教は、私たちの心や行動にどう影響をおよぼすか?
⑥私たちを取り巻く環境は、どうなっているか?
という現代に即したテーマに関して哲学的論考を進めていく。
①の議論では、言語から意識への自然主義的転回、ジョン・サールなどの意識の問題について考察する。自分の感覚では、本章がすべての章の中でもっとも「哲学」らしい。著者がこの章を初めに置いたのもそこに理由があるのではないだろうか。
②のIT革命に関しては、フーコーのパノプティコンや「1984年」のビッグブラザーに言及しつつ、ジグモンド・バウマン、ダニエル・デネット、レイ・カーツワイル、などを紹介。
③のバイオではクローンなど遺伝子技術に関連して、リチャード・ドーキンス、マイケル・ガザニカ、ピーター・シンガー、アントニオ・ダマシオ、ジョシュア・グリーン、オリバー・グッドナイフ、などの生物学者や脳科学者を紹介。この領域は今後も大きく進展していくだろうし、いわゆる哲学の領域にも浸食していくだろう。
④の資本主義社会については、トマ・ピケティ、ロバート・ライシュ、ジョン・ロールズ、ロバート・ノージック、ハイエク、ミルトン・フリードマン、アントニオ・ネグリ、マイケル・ハート、アマルティア・セン、エマニュエル・トッド、ジャック・アタリ、ダニ・ロドリック、ジェレミー・リフキン、ヨーゼフ・シュムペーター、などを幅広く紹介。道徳と倫理といったことが論じられている。
⑤では多様化する社会と地域紛争を取り上げて、チャールズ・テイラー、サミュエル・ハンチントン、ユルゲン・ハーバーマス、ミシェル・ウェルベック、ジル・ケベル、スティーブン・グールド、マルクス・ガブリエル、などを紹介。
⑥では環境問題として、地球温暖化、種の多様性、などスケールの大きな問題について扱い、ブライアン・ノートン、ベアード・キャリコット、ウルリッヒ・ベック、ビョルン・ロンボルグを紹介。
IT技術やバイオ技術が世界や倫理に与える影響について検討が必要であることは間違いない。経済についてもグローバリズムや格差の問題となると倫理の問題につながる。現在の「世界」を考える上では、宗教を含めた文化の多様性についての議論は避けることはできない。環境問題については冷静な議論のための理論構築が必要だ。これらの諸問題をめぐる言論をまとめるという意図ではこの本は成功していると思う。ちょうどよいくらいに専門的で知らない内容がまぶされていて面白かった。
およそ本書で紹介されている知識人の多くはおそらくは自分自身のことを「哲学者」だとは思っていないだろう。
世界の哲学者がどのようなことを考えているかを書いたと言いながら、哲学者がかつて占めていた場所の多くを別の分野の学者が占めていることが明らかにされたようにも思う。ただ、それも含めて「哲学」と呼んでもよいのではないかというのが著者の言いたいことであるのだが。その世代の問題意識によって必要とされる「哲学」は変わってくるのだから。
まずまずに知識欲が刺激されて読んでいて楽しかった。
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今の時代の変化について、考えていることは伝わるのだが、哲学者は言葉でまとめようとし過ぎ。本質の部分が分からなくなってしまうように感じました。
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17世紀以降は、意識を研究する認識論的展開
20世紀以降は、言語論的展開
ドイツのマルクス主義→フランクフルト学派、解釈学
フランスの実存主義→現象学、構造主義→ポスト構造主義
英米の分析哲学
21世紀のポストモダン的展開
自然主義的。メディア・技術的。実在論的展開。
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西洋現代思想・哲学(特に20世紀以降)の入門書として読める。少し丁寧すぎるくらい分かりやすい。時おり筆者自身による批判も論じられている。
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未来について考える、哲学シリーズ3冊読了。
人類はどこへ向かうのか?より良い未来とは?
人類とテクノロジーは切っても切り離せない。テクノロジーは問題も引き起こすが、良いことをもたらすことのほうが少しだけ多い。これまでもそのようにして発展して来た。(中世の王様より、現代の我々一般市民は確実に良い生活環境を授かっている)
このようにしてテクノロジーの進化を促す目に見えない流れをテクニウムと呼ぶ。
しかし、そのようにして発展して来たのは、必然なのか?それとも、我々自身の意思によってなのか?人間には自由意志はあるのか??我々は初めから決められたレールの上を走っているだけなのか?
自由意志に関する現在のコモンセンスは「自由意志はない」ということらしい。しかし、「あると思いたい」。なぜなら、自ら熟慮し、判断し、選択することが「より良い未来」を作るはずだから。そしてまだまだ劣勢ながら「自由意志はある」という勢力が増して来ているらしい。
より良い未来のためには、テクノロジーを活用しながら、生命や宗教といった多様性を容認していかねばならない。
そのためにも、もっと人間を理解しなければならない。これからの人類において、間違いなく脳科学はキーテクノロジーだろう。
なーんてことを学び、考えたのでした。
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いつまでも「哲学=人生論」と考えているのは日本人だけ!
というオビのアジテーションに「なるほどなぁ」と思い手にとった。
現代の著名な哲学者とその研究分野について、IT,バイオ、資本主義、環境などの実践的な切り口で概説する。
全体像の説明として、20世紀の哲学を言語論的転回(言語を分析するもの。分析哲学、構造主義、解釈学)として整理し、21世紀の哲学を、その先にあるポスト言語論的転回(実存論的、自然主義的、メディア技術論的)と説明するのはイメージしやすい。
結局の所、扱うテーマがプラグマティックになると、学際的にならざるを得ない。本書でも、例えば経済分野だとピケティ、アトキンソン、ライシュの名前が出てくるが、いずれも経済学者、政治学者として知られている人々だろう。経済活動、生物学、ITといった現代的な論点にアプローチ出来ない「哲学者研究者」が講義を持つことが多いことが、日本で哲学の浮世離れしたイメージが今でも根強い理由だと感じる。
ジョシュアグリーンのモラルトライブズや、ダニエル・デネット、ダマシオあたりを知れたのは良かったと思う。
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哲学というと、ソクラテスだ、ヘーゲルだ、カントだと、古典のお勉強を連想しがち。それはそれで悪くないのでしょうが、元来は社会問題全般を扱う役割を担っていたはずの哲学には、もっと現実的な、現代社会の問題へのアプローチを期待したいし、現代の哲学者といわれる人たちの体温を感じることができる取組みを紹介してもらえないものだろうか、と思ってました。
本書では、現代の哲学者たちが、AIなどのIT、バイオテクノロジー、人口問題、宗教、環境問題といった、我々にとって身近な問題をどのように捉え、それに対する考え方を提示しているかが、概略ではあるものの、非常にわかりやすく解説されています。こういう本が読みたかった。
歴史の流れの中で問題を位置付けると、こういう考え方も出てくるのか、とか、具体的事実をベースに考えると、普段、マスコミやネットで喧伝されている批評とは一味違う切り口の発想が出てくるのか等々、なるほどね、と頷く内容も多かったです。
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「現代の哲学は何を問題にしているのか」という枠組みから丁寧に説明されていて、また各哲学者たちの主張がすっきりまとめられていて、非常に分かりやすかったです。