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自身は開成を卒業後、公文国際学園の立ち上げに参画し、その後は学校カウンセラー等の職務を経験してきた著者が語る、中学受験のススメ。
なぜ、中学受験を勧めるのか?
それは、中学受験のプロセスが、子が親離れして一人の人間と育っていくために、そして同時に親が子離れしていくために、格好の装置だからである。
私立中高一貫校の教育が個性に富み、工夫されていること、厳しい受験を潜り抜けてきた学友たちと6年間を過ごすこと等は分かりやすい長所である。
それにも関わらず中学受験の世界に踏み出すのに躊躇いを感じる親はいるであろう(私がそう)。
しかし、時にハードな中学受験勉強は、その過程において子供にとって一生ものの"宝物"を身につけることができる素晴らしい体験である。
親ができることは、子供にチャレンジングな体験をさせずにかくまうことではなく、我が家・家族という子供が安心できる"安全地帯"を整備し、そこから子供の挑戦を応援することではないか。
いつまでも子供の手を握り締めていてはいけない。
著者はそう説く。
いま、目の前にいる7歳の我が子はまだまだ頼りなく見え、中学受験の世界に送り込むことに躊躇いと葛藤を覚える日々であったが、読むべき時にこの良書を読めたことに感謝したい。
悩める親の背中を押してくれる。
書店で平置きになっていたので新刊かと思い手に取ったが、よく見ると2016年の刊である。
にも拘わらず何冊もそろえて平置きしていた池袋のジュンク堂には感謝するしかない。