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このタイトルの本に、こんなに胸を打たれるとは。
正直言って、辛い。人と身近に接することに苦手な作者がそばにいても大丈夫なただ一人の人と出会えたというのに、身体でつながることができないなんて。
いや、心がつながっていれば大丈夫、ともいうけれど本当にそうなのか。
この2人がともに過ごした年月の長さが、その「大丈夫」だと言えるまでの困難さを物語っていると思う。簡単に言えるほど「大丈夫」なものならもっと早くになんらかの結論が出せていたのじゃないか。
信頼し合い必要としあっているのに言えないことがある。一番大切な人だから一番大事なことがいえなかったりもする。そんなあれこれをようやく乗り越えたのだな、と。
これはただ単に夫のちんぽが入らない夫婦の話、ではなく自分以外の誰かをきちんとまるごと認める、もしくは共感できなくても受け入れる、その大切さを教えてくれる一冊なのだ。
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衝撃的なタイトルゆえに書店で手にするのも勇気が出ず、
図書館でリクエストを出すのにも勇気が入り、
図書館に入荷した所をすぐさま予約したのだが、手にしたのは4月末になってしまった。
夫のモノが入らないというだけにとどまらず、教育現場が抱える問題や、社会での人間関係、子供が居ないという事に対する世間の目。
わずか195ページの中に、いろいろな問題が詰め込まれていた。
私自身も実母との関係、夫との間に抱える問題、肉体的病の数々、子供の居ないことに対する世間の目など、いろいろとあり一部自分と重ねてしまい、読んでいて苦しくなった。
心を病み、死まで考え、そこからなんとか這い上がって、著者の今があるのだろう。
RPGのように「試練」を乗り越えた後のエンディングがハッピーでありますように。
「終わりよければ、すべてよし!」
辛かった日々を乗り越えて、最後に笑える人生を送れたら・・・・
そんな希望を心に持って、今日も精一杯生きていく!!
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確かにちんぽが入らないある夫婦の、性生活が成り立たない話でもあるが、いわゆる普通に働くとか普通な家族に「入らない」、いや「入れない」話でもある。
「普通」なんてものはないのだがみんなのその共同幻想みたいな形があると勝手に思い込んでいる。僕らはそこから逸脱することに外れることを恐れている。主人公であるこだまさんとその夫はそのことからある意味では逃避する。できないことはできる人やことへ代替行為に転換するしかない、そういうふたりの二十年にわたる話なのだが、読むことでなにかに悩んでたり病んでしまった、病んでいる人たちの癒しというか救いになるだろうし、その側面は間違いなくあると思う。
雪だるま式にもっと広がり売れていく一冊になると思う。読みながら『統合失調症がやってきた』を思い出したりした。
ぼくらはこうならねばいけない、世の中はそうなっているみたいなことに惑い踊らされて、冷たいナイフが知らぬまに背中に突きつけられている。だから、その枠からはみ出さないようにして自己保全に向かう。しかし、その刃先は背中に当たってるだけで差す気はないのかもしれないし、駆け出してしまえば刃先は届かないかもしれないし、やっぱり追い付かれて突き刺されるのかもしれない。それはすべてのことが関わるのでみんな同じ結果にはならないのだが。
しかし月日が経って笑える話になってもその当時は笑えないからなんとか生き延びるしかない。このタイトルが今年前半の出版界での大きなトピックになるんだろうな、普通の私小説は今年これにはもう勝てないと思う。
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夫のちんぽが入らない。
インパクトがまずすごい。
この題名を見ただけで、おそらくはこういう内容の話なのかな、と誰しも考えるが、その見当は少なからずあたっているが、はずれている。
ひとりの女性が経験した20年。
決して短い期間ではない。
決してたやすいものではない。
田舎の集落から地方都市部に進学した18歳の「私」は唐突に(ほんとうに唐突に、)ひとりの男性と知り合い、恋に落ちる。
初々しいこだまさんとのちに夫となる彼の日々が、とてもとても可愛らしい。
そして、タイトルにもなっているある問題に直面する。
ちんぽが入らないのだ。
「入らない」ことから派生してゆくあらゆる問題。
男女の関係、家庭内の問題だけにとどまらず、職場でのトラブル、親とのこじれ、体の異常、夫の不調…
いろんなことが総動員してこだまさんを苦しめる。
それでもひとつだけ揺るがない、夫との生活。
夫と生きる。すべてを隠しながら、夫の秘密をこっそり確認しながら、ふたりは一緒に生きていく。
わたしは、こだまさんの自筆のあとがきに書かれた、今際の際に家族にこの本を差し出すという決意を、いつも強い気持ちを出せないで苦しんでいたこださまんの底知れぬ強い意志を、全力で応援したい。
もしかしたら、ご主人は知っているかもしれない。と、一読者のわたしは考える。
ポイントカードをみて、いつ指名サービスを受けられるか把握している妻のように、密やかに更新されるブログや、東京での活動、この本が発売されるまでの、そして発売されてからの動向すべてをもしかしたら、知っているかもしれない。
知らないでいてほしい。そしてまんがいちのときは、お互いに知っているということをずっと知らないでいてほしい。
神様がなぜこのような試練をふたりに与えたのか、誰にもわからない。
わからないけれど、20年。
一緒にいることは、入るより、むつかしいかもしれない。
ご主人がこだまさんに時々渡す言葉の端々に愛情があって、こださまんもきちんとそれを受け取っていて、ふたりの結びつき、関係性がとても素敵だとおもう。
こんなに心の純粋な夫婦のかたちを目撃できたことを誇りにおもいます。
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題名を見て、冷やかしでもいいから手にとってみて欲しい。
世の中の『当たり前』が当たり前ではないこと。
わたし自身が、野生のゴリラの寿命を超えたこと。
ジョンソンベビーオイルの万能さ。
色んなことを思う一冊だった。
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「なし水」に寄稿された原作には綴られていなかったこだまさんと旦那さんの半生、思いを、ここまで深く書いてくれて、ここまでの本にしてくださってありがとうございます。
こだまさん、あの時ガードレールを乗り越えないでいてくれてありがとうございます。
私はきっと、旦那さんのご両親や、母親である同僚たちや、保険外交員と同じ。自覚なしに人をたくさん傷つけてきた。絶対。
こだまさん、こんな人間にもこだまさんの思いは届いてますよ。こだまさんの心の叫びを胸に刻んで生きます。
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タイトルが強烈なだけに、ちょっと期待しすぎた。出オチ。深刻なテーマなのに、そんなに重くならずに読めたのはところどころユーモアな文章があるからかな。
好きな人のモノだけ入らないなんて不思議だけど、単純になんで入らないのか気になる。キングのサイズがでかいからなのか?
自分はやっぱり好きな相手としたいし、子供も欲しいけど、精神的な結び付きが強い夫婦には憧れる。
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強烈なタイトルがずっと気になっていて読んだ。性交渉の出来ない夫婦の壮絶な20年を書いた実話。あまりにも痛々しく読んでいて辛くなった。誰にも言えない夫婦の20年を晒し、心を客観的に文章にしたことで、著者の心が少しでも救われたと願いたい。色々な形の夫婦がいるということ、色々な形でいいということ、それから夫婦にとっていつまでも性は重要なことなのだとも思った。
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軽妙なストーリーで、面白おかしく進んでいくと思いきや、意外な展開。どんどん引き込まれていく。ますます深刻になっていき、「私」に入り込んで泣いてしまったところで、思いきり笑わせてくれる。読み終わりたくないと思いました。面白いです。
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ブクログランキングで知って、タイトルに驚いて、扶桑社サイトで冒頭だけ立ち読み。「坊ちゃん」を思わせるリズムの良さに引き込まれて早速注文。届くのが楽しみ。
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うん、おもしろい。
なんでちんぽが入らないのだろうという興味から読み進めて、エピソードも文章もおもしろくてすぐ読んでしまった。
いろんな夫婦の形ってあるんだなぁと。
あとはまさかちんぽが入らないことから、そのほかに死にたいエピソードもあるなんて...人生いろいろだな。
それでも何十年も一緒にいる夫婦ってなんだろうなぁと...すごいなぁ...。
私を含め結婚イコール子供を作るって考えの人多いだろけど、子供を作らないと決めて楽になる人もいるんだなと。入らないしねぇ。
深刻な内容なのにおもしろく読めた一冊でした。
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世間の評価はかなりいいみたいだけど・・・
うーん・・・・
読んでいて納得いかないことばかりで、気持ちが沈む。
もうちょっと他にやりようがあるでしょうに、なぜダメなほうダメなほうに行くのか。
夫婦で精神的に病みながらも。
自虐をただただ読まされている感覚で疲れる。
肉体的な繋がりがなくても精神的な繋がりが深くなった、みたいなことを書いてあるけど、それも感じられない。
そう思えるような描写が少ない。
とにかく全体的にモヤモヤ感が残る。
唯一、子供のいない夫婦が世間からむけられる目、には共感できたけどね。
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ツイッターで知り、サンプルから続きを読みたくなり購入。冒頭からして読みやすくて面白いなあと思っていたけど、全編(良い意味で)起伏なく淡々と語る文章が良かった。この文章でなければ読むのが辛くなるくらいヘヴィーな内容だし、それでも世の中の「ふつう」からの圧迫感にはとても共感できてしんどかった。
最後の一文にはこれを読むためにこの本を買ったと思った。最高でした。
読み終えて初めて、この本はこのタイトルでないといけないと思えた。話題書として職場の電光掲示板で見て内心ヒェッとなったところだったので…
ところでこんなに話題になって作者の夫含め登場人物の皆さんにはばれないのか心配(フィクションならそれはそれですごい文才だと思う)
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自分にとっては当たり前でも、世の中では一般的と言われてる事でも、目の前の人にとっても当たり前とは限らない。
どんなに少数の体験であっても、恥じる事はないし周りから非難される立場じゃない。
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ちょっとだけ信じ難かったが
でもやけにリアルな感じがした。
エッセイだった。まじだった。
色々と心に来るものがあった。
どん底を持ってると人は強くなる
確かにそうだと思う。
読み終えたあと、心にズドンと重い得体の知れない物が居座っている。
あとがきはよりもっと「先」を見せてくれた。
全体的に良い本だったけど
自分はこれを読む状態ではなかったなぁと
そこだけ後悔。
元気な時、余裕がある時
また読み返してみよう。