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特にIPOを目指すベンチャー企業向けの法務のテキスト。会社の設立から創業株主間での契約、会社法の基本、ビジネス上必要となる秘密保持契約や販売代理店契約などの文書のチェックポイント、資金調達の注意点、労務管理など広範にQ&A方式で解説されていた。執筆を担当する弁護士たちはアーリーステージのベンチャー企業の法務実務に精通していることが十分に窺えた。IPO実務に携わる職業会計人であれば必読の書となるであろう。
P72
増員取締役の任期
取締役の任期は、原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで(会社法332条1項)ですが、公開会社でない株式会社の場合には取締役の任期は、上記「2年以内」を「10年以内」まで伸ばすことが可能です(同条2項)。そのため、ベンチャーでは取締役の任期が10年となっている会社も多いです。もっとも、VCから投資を受ける際には、任期を2年以下にするよう求められることも多く、あまり長い任期を設定していると役員を辞めてほしい場合に任期満了で退任してもらうことも難しくなるので、役員の任期は2年程度にしておいたほうがよいと考えられます。
本件のAさんのように、増員で新たに選任された取締役の任期については、会社法上は特に規定がありませんが、多くの会社の定款では「増員または補欠として選任された取締役の任期は、他の在任取締役または前任取締役の任期の満了する時までとする。」といった規定が設けられていることが多いです。こうした規定がある場合には、増員で選任された取締役の任期は、既存の他の在任取締役の任期と同じになりますので、在任取締役の任期が切れるタイミングで、一緒に再任の決議を行う必要があります。この点を失念していて、途中から入った取締役だけ再任の決議をしていなかったというケースが稀にありますので、注意してください。
P116
課税文書であれば、契約書の原本を数通作成した場合にはそれぞれに印紙税がかかりますが、原本を複写機でコピーしただけものについては印紙税がかかりません。そのため、当事者の一部はこのような「写し」を保管するものとすることで印紙税を節約することができます。
ただし、契約の成立が裁判で争われた場合には、「写し」は「原本」よりも証拠としての価値が低いと判断される可能性もあるため、自分が「写し」を持つことでよいかは慎重に検討する必要があります。また、原本をコピーした「写し」についても、「写し」に署名·押印がなされていたり、「正本や原本と相違ない」との契約当事者の証明がなされていたり、「写しであることを証明する」との記載がなされているような場合には、契約の成立を証明するものとして印紙税がかかるため注意が必要です。
P189
例えば、「発行会社の知る限り、○○のおそれがない」などとします。このような形にすれば、自分が知らなかったことについては免責されることになります。表明保証条項の中には、このような「知る限り」を挿入するべき事項も数多くあるので慎重にチェックしましょう。
これに関して、投資家側から「知り得る限り」に修正するよう求められるケースもあります。これは、会社側として「知り得��=合理的に調査すれば分かった」事項については保証してくださいというものです。
「知る限り」では、知らなければ免責されるのに対して、「知り得る限り」では知らなかったとしても、知らなかったことについて調査不足などの落ち度があった場合には免責されないということになります。
この点、どの程度の調査をするべきかは、対象事項の重要性や調査に要する一般的な費用や時間などを考慮して、発行会社の当時の具体的な状況に即してケースバイケースで判断されるので、多少曖昧な概念といわざるを得ない面があります。しかし、妥協点としては、「知り得る限り」で妥結しなければならないケースも多いのが実情です。投資家と起業家の双方が上記の意味の違いを理解して合理的に交渉を進めることが望まれます。
P289
(3)年俸制における「賞与」の取扱い
年俸制において、年俸額の16分の1等を毎期支払って、残額を賞与という形で支払うといったケースも多く見受けられますが、割増賃金の算定基礎額(時間単価)の算定にあたっては、このような賞与の取扱いに注意が必要です。
すなわち賞与は、通常 「1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」(労働基準法施行規則21条5号)に該当し、割増賃金の算定基礎額から除外されます。
しかし、厚生労働省による労働基準法の解釈上、「賞与とは支給額があらかじめ確定されていないものをいい、支給額が確定されているものは賞与にみなさない」とされています(昭22-9 .13発基第17号参照)。
したがって、あらかじめ年俸額を確定してその一部を「賞与」として支払う場合には、「賞与」を割増賃金の算定基礎から除外することができずに、「賞与」を含めた金額を年間の所定労働時間で除して割増賃金の算定基礎額(時間単価)を算定する必要がある点に注意が必要です(平12・3・8基収第78号参照)。
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ベンチャー企業ならずとも企業人としてカバーしていきたい法務が一通りまとめられており、かつQ&Aベースで纏められているので、学校のお勉強ではなく非常に実務的な視点で、体系的に法務の知識が学べる。
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起業に必要な業務に関して実務視点で書いてくれている。
起業後の各フェーズで重要な内容、業務が詳細に記載しており
懸念点や手法などについてまとめてくれている。
その都度調べるような本の使用方法が良いと思います。
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タイトルの通り、ベンチャー企業にとって最低限必要な法務知識から、ベンチャー特有の契約知識まで幅広く掲載されている良著。
ベンチャー特有出ない部分は基礎知識として、若い一般社会人が読んでも良いレベル。わかりやすく端的に整理されている。
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ベンチャー企業の法務に必要な知識が一通り書いてある良書。
一部改正等に対応していない部分があるので星4つ。
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ベンチャー法務に関わる法律に詳しくない人専用
ベンチャー法務あるあるをかなり解決してくれる
ベンチャーで法務に関わってる人は辞書代わりにあると非常に便利
ただ、普通の人にはまったく役に立たないので、ニッチにめちゃくちゃおすすめ