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アメリカ人の富豪の未亡人である叔母から莫大な遺産を相続する事になった主人公弦矢。叔母には6歳の時にスーパーで誘拐された一人娘がいた。叔母の意思としてはもしもその子が生存しているのであれば7割はその一人娘に相続させたいというものだった。弦矢はそれを尊重して、その子の生死を探偵をつかって調べる。そして驚愕の事実が明らかになる。それだけでも十分興味深く面白いけれど、スープ作りや庭づくり、草花の話にも味わいがある。ただ驚愕の真相は、ちょっと気分が悪いものだった。
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叔母の莫大な遺産を相続することになった弦矢。その叔母には行方不明になった娘、レイラがいた。レイラの行方不明の謎解き自体は予想がつく範囲内で、驚く程の真相ではないが、そこに至る母親の心情を慮ると切ない。ただ、弦矢の境遇は、大金持ちの叔母など持たない庶民には羨ましすぎて、素敵な庭付き豪邸の描写にうっとりとした印象の方が強いです。宮本作品にはよく美味しそうな料理が出てきますが、今回は読後スープが飲みたくなりました。それにしても、宮本先生は主人公に起業させるのが好きだなあ……かなりの確率ではないでしょうか。
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亡くなった叔母から莫大な遺産を受け継ぐことになった弦矢。その叔母には娘のレイラがいたが、幼い頃にスーパーから姿を消した以来消息不明だった。レイラ事件の真相は、やるせない苦い気分と母の強さと愛情、そして辛さを感じさせた。スープが美味しそうだった。
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読みながら、自分までパロス・ヴァーデスの素晴しい景色の中に佇んでいるような気分になって爽快。
普通の人にはあり得ないようなシチュエーションなのに、すんなりその情景を受け入れてストーリーの面白さにひき込まれてしまった。
さすが宮本輝さん。
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母から娘、娘からその娘へと伝える心の叙事詩。
花にも草にも木にもある心、そして心は宇宙。
宮本輝にしては珍しいミステリー作だが、人間讃歌の叙事詩です。
ロスの超高級住宅地を舞台としている。グーグルマップでそのランチョ・パロス・ベルデスを確認しながら読み進めるのも楽しい作品です。
―――おばあちゃんはねぇ、花を見てると、心を見てるような気持になっていくの。そんなふうに花を見るようになったのはつい最近のことよ。そんな考えが、心って宇宙のことじゃないかしらっていうふうにかわっていったのよ。(155頁)
菊枝はどう受け取ったかは知らないけれど、「じゃあ、私の心は宇宙なの? だったら宇宙はなんなの?」って返事の手紙に書いてたわ。(155頁)
異国に嫁いで、幼い子を亡くした娘を、祖母は慰め励ましたくて、「心って宇宙のことじゃないかしら」という文章を手紙に入れたのかもしれないが、(156頁)
レイラがなかなか寝ない夜は、庭の花畑に抱いて行ったの。そして必ず、こう言ったそうよ。どんなに怖いことや悲しいことが起こっても、マミーが絶対に助けてあげるから、レイラは安心していたらいいのよ、って。それからキクエは、レイラがどんなに賢くて、どんなに優しくて、どんなにみんなに可愛がられる子かを何度も何度も言い聞かせたんだって。おとなになったら、背も伸びて、みんなが振り返るくらいにきれいになるわ。そうなるようにこのお花畑にお願いしましょうね。花にも草にも木にも心があるのよ、それを忘れちゃいけないのよ。レイラの心と、花や草や木の心とはお話ができるのよ。花も草も木も喋らないけど、心で喋ってくれるの。レイラもいつか花や草や木と話ができるようになるわ。そうしたら、たくさんの人たちの心もわかるようになるのよ・・・・・・(383頁)
内容紹介
ロサンゼルス在住の叔母の、突然の訃報。甥の弦矢が駆けつけると、27年前に死んだはずの叔母の一人娘が、実は死んだのではなく、当時からずっと行方不明なのだと知らされる。
なぜ菊枝はそのことを長らく黙っていたのか。娘はいまどこにいるのか。弦矢は謎を追い始める――。
生き別れた母子の運命を豊かに描き出す長編小説。
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設定がロスの豪邸だったり遺産40億だとか
主人公がエリートであったりとか
ハイソな香りに面喰ってしまったが
その実、叔母さんの衝撃的な過去に出会い
自分の人生そのものも見つめ直す主人公の姿に
好感が持てた。
ラストシーンはすっごく素敵やったなぁ。
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内容(「BOOK」データベースより)
ロサンゼルス在住の叔母の、突然の訃報。弦矢は謎を追い始める―。叔母・菊枝の死を知り、甥の弦矢が渡米すると、巨額な遺産の相続人として彼が指名されていた。また、幼くして病死したはずの叔母の娘が、実は死んだのではなく、ずっと行方不明なのだと知らされる。なぜ叔母はそのことを黙っていたのか。娘はどこにいるのか。
平成29年4月16日~22日
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ミステリーともいえるが,大切な者への大いなる愛の物語である.そして草花たちの静かな誓いというタイトルが,読後にしみじみと心の中に響いてくる.急死した叔母菊枝の秘密が,弦矢の手で(ニコの協力も得て)一つずつ露わになっていくところはワクワクしながらページをめくりました.菊枝おばさんのスープ,とても飲みたいです.
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少女を守るためにはここまでしなければいけなかったことに驚く。ジャンルとしてはミステリーなんだけど、それよりもスープの美味しそうなこととか、庭の草花の美しさの方が印象に残る。草花たちのひそやかなささやきに耳を澄ませるって素敵だな。
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ミステリーだとは思いますが…謎解きというより、登場人物の歴史、アメリカの瀟洒な邸宅の庭に咲き乱れる花と緑の空気、海の見える風景に引き込まれて一気読みです。
キクエさん、弦矢、レイラ、ニコ、庭師のダニー。
現実離れした遺産と住まい。
ガーベラ、桔梗、ブーゲンビリア、バラ、夜の庭で草花たちのささやきが聞こえてくる描写のステキなこと。
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ロスの大邸宅が舞台で40億の遺産を叔母から相続した若い男性、弦矢が主人公。謎解きもあり、ちょっと意外でしたが、ミステリー作家ではない作者のストーリー展開はやはり素晴らしく、予想外の結末でした。引き込まれて一気読みでした。
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娘が預けられた理由に少々ガッカリしたにゃ
ジワジワ味わいながら読んにゃのに
急に短絡的に感じたにゃ
①読者の勝手な感想にゃ
宮本輝さん大好きにゃ
人にに勧めたい作品いくつかあるにゃ
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宮本輝はもういいかな、と思っていたけどまた読んじゃった。
今回はなんだかミステリーぽい。
主人公は日本の若者なんだけど舞台はアメリカ、アメリカで暮らしていた急死した叔母さんの後始末と謎を解くために手を尽くしていくうちに、いろいろな人物との関わりあい、物事の意味といったものでストーリが膨らんでいく。
ストーリーが膨らむ分、人物の掘り下げが少なく、今回は今までとはちょっと違った作風になっている。
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「花にも草にも木にも心がある。
嘘だと思うなら本気で話しかけてごらん。」
主人公・弦矢。
LA在住の叔母・キクエが日本への旅行中に突然亡くなってしまう。
彼女の遺産を相続することになった弦矢は、
27年前から行方がわからないキクエの娘の消息を調べ始める───
著者には珍しいミステリー調の作品でした。
ランチョ・パロス・ベルデス。
舌を噛みそうな、この超高級住宅街。
そこの大邸宅、美しい庭園、
美味しそうなスープ、いかにもアメリカっぽい探偵のニコ、
心やさしい登場人物たち。
物柔らかな空気がとても心地良い。
ただ、事件の真相がどうにもやるせなくて…
静かに咲く花々。
娘の齢と同じ数のガーベラの鉢。
娘の幸せを願い慈しむように育てたのでしょう。
キクエの心の叫びが聞こえるようでした。
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読みやすかった。
内容的には割とあっさりしてたかなとも思う。
どんでん返しとか少し期待してたけど、中盤からは予想どおりの展開。でも嫌な終わり方ではないし、読了後はすっきり。登場人物が好感の持てる人たちが多くて良かった。
ミステリーとしての面白さもあるが、個人的にはアメリカの富裕層の豪邸や暮らしぶり、街や海などの風景の美しさ、庭の花々の美しさなどもこの本の見どころだと思う。文章でそれらが巧みに描写されているので、思わずうっとりしてしまいます。