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読了時に温かい気持ちになれる。
ミステリータッチの作品で、アメリカに住む叔母が日本で急死し、その遺産を相続した甥が行方不明になっているいとこを探し求める…。花をながめたり、食べ物、タバコを楽しむシーンが多く出てくる。登場人物が少なく、どれも魅力的。続編が出たらおもしろいのでは。
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大作の『流転の海』と比べてはいけないのかもしれないが、キャラが今ひとつピンと立っていない印象。
それでも芥川賞を受賞した『螢川』のように自然や風景の描写は圧倒的だし、読んでいて安心感すら覚える。
宮本輝の作品には“悪い人”は出てこない。が自分の中での最大のポイントだったのだか、出てきちゃったナ。
ある意味、新境地かも。
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主人公の独り言がどうも気になり私には合わず序盤は読み進めるのがしんどかった。
読み進めるうちに、主人公と同じように「なぜ?」と思い引き込まれていく。
どこまで人に寄り添い過酷だけども、あたたかい本だった。
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珍しくミステリーっぽかったけど、非常に深い話でいつも通り思いっきり引き込まれた。知らない土地だけど、情景描写が相変わらず素晴らしい。
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ロサンゼルス在住の叔母・菊枝が旅先の日本で亡くなった。巨額な遺産を甥の弦矢に残して。幼くして亡くなったと聞かされていた菊枝の娘レイラは、実は行方不明のままであること。レイラを見つけることを託された弦矢は、レイラ失踪の謎に挑むが・・・
謎は早々に察しがつくし、その原因も想像に難くないが、主人公の弦矢がいささか鈍くてやきもきする。でも、そこはやはり輝さんの作品。弦矢の周りにいる人たちが皆親切で、協力的で、安心して読める。
レイラ失踪の真相は哀しくて辛いけど、幼い娘を守るための皆の行動が、優しい気持ちが胸を打つ。
大学を卒業するメリッサを遠くから双眼鏡で見つめる菊枝の姿を思い浮かべると胸が熱くなるし、娘と離れ、美しい中庭の草木と対話する菊枝の心境を思うと涙が出てくるのだ。
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宮本輝さんらしい小説
とてつもない遺産を残されても
人として、死んだ叔母の気持ちに寄り添い
正しいことをするために努力する
信じて良い人は必ずいて
でも、人には裏の顔も理解できない習性もある
人間を描いた物語なのかな
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莫大な遺産、予想もしない出会い、展開、
ふつうに見える人にある隠された別の顔、
迷い、疑い、不安…。
人は、出会うこと、めぐりあうことによって
さまざまな感情に揺さぶられるけれど、
正しく生きるために、
よりよく生きるために、
必要なこと。
それは、言葉にしなくても、自然に訪れる
黙って咲く草花の声に耳を澄ます心の余白を
もっておくと、やがて聴こえてくる…。
心配しなくてもいい。
そんなやさしい読後感が得られた。
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最近の宮本輝作品には悪い人が出てこない。
だからと言って物語が単調であるかといえば全く逆で、人生の深みや哀しみが詰まっている。早い段階でレイラの消息については察しがつくのだが、その真相についてどこまで向き合うべきなのかは弦矢ならずとも読者の多くが戸惑うことになる。
キクエは弦矢に背負わせた訳でも託したわけでもない。ただ、知っていてほしかったのだ。弦矢はそれを受けとめることのできるただ一人の人間だった。ある意味で、レイラと弦矢はキクエにとって同等の存在だったのではないだろうか。
この小説には悪い人が出てこない。悪い人が出てくる要因がたくさんあるにもかかわらず、キクエがそうであったように、弦矢がそうしたように、まっすぐに自分の気持ちに正直に正しいことをしようとする人たちだけが登場する。
ドラマチックではないかもしれないが、読後に優しい気持ちが広がる良作である。誰かが自分の哀しみや希望を受け継いでくれると知れば、人は強く生きていくことができる。
困難があったとしても、まっすぐに生きようする人間に人生は優しいのだ。
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著者はじめてのミステリーらしい。
6歳の時に白血病で死んだと思っていたレイラ(いとこ)が
実は名前も変えてカナダで生きていた。
ロスに住む叔母が急死したことでその莫大な遺産を託された弦矢がその謎に迫る。どうやってスーパーから連れ出されたのか、その真実が明らかになっていく様とどうしてそのような事態になっていったのかが早く知りたくて読み進む。
あの豪邸に漂う邪気みたいなものを弦矢は最初から感じとっていて、何かそこに原因はあると思ったけど、そういうことだったのね。
でもその事実(我が子に対する性的虐待)がわかってからもよく夫婦でいられたね。
それを除けば完璧な夫だったみたいだけど。
あー、でもロスに住みたくなった。アッパータウンも最上級のとこが舞台だったからかな。
それと菊枝おばさんが作るスープが飲みたくなったよ。
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最愛の娘とやむなく生き別れた一人の女性の、愛にあふれているが孤独な人生を感じ取り、切ないようなやるせないような気持になるが、アメリカ西海岸パロス・ヴァーデスの美しい風景と、色とりどり咲き乱れるたくさんの花々がそんな気持ちを中和してくれる。
宮本輝作品でたびたび登場する、事情あって生き別れた母子の物語。私の知っている限りでは何らかの形で再会がかなった親子もいれば、面と向かって会うことはできず遠くからわが子の成長した姿を隠れて見ている母親もいる。
いずれの女性も、確かに孤独な人生だが、自分の運命を受け入れ、一本筋の通った凛とした表情を見せる。今作の菊枝さんもそうだ。
前半は壮大な景色や屋敷の描写が多くてなかなか話が前に進まないが、後半は次々と事実が明らかになり一気に読める。
読後感はサンフランシスコの風のように(行ったことないけど笑)爽やかな優しい感じです。
『花たちの声を聴き、花たちの心を知り、花は心であり、心は宇宙なのだ。。。』
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伯母の死後、過去に起こった伯母の娘の誘拐による失踪を知り、探偵を雇って調査をする。莫大な伯母の遺産を伯母の娘に渡したいと考えるが、事情がそう簡単には許さない。
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アメリカ人の富豪の未亡人である叔母から莫大な遺産を相続する事になった主人公弦矢。叔母には6歳の時にスーパーで誘拐された一人娘がいた。叔母の意思としてはもしもその子が生存しているのであれば7割はその一人娘に相続させたいというものだった。弦矢はそれを尊重して、その子の生死を探偵をつかって調べる。そして驚愕の事実が明らかになる。それだけでも十分興味深く面白いけれど、スープ作りや庭づくり、草花の話にも味わいがある。ただ驚愕の真相は、ちょっと気分が悪いものだった。
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叔母の莫大な遺産を相続することになった弦矢。その叔母には行方不明になった娘、レイラがいた。レイラの行方不明の謎解き自体は予想がつく範囲内で、驚く程の真相ではないが、そこに至る母親の心情を慮ると切ない。ただ、弦矢の境遇は、大金持ちの叔母など持たない庶民には羨ましすぎて、素敵な庭付き豪邸の描写にうっとりとした印象の方が強いです。宮本作品にはよく美味しそうな料理が出てきますが、今回は読後スープが飲みたくなりました。それにしても、宮本先生は主人公に起業させるのが好きだなあ……かなりの確率ではないでしょうか。
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亡くなった叔母から莫大な遺産を受け継ぐことになった弦矢。その叔母には娘のレイラがいたが、幼い頃にスーパーから姿を消した以来消息不明だった。レイラ事件の真相は、やるせない苦い気分と母の強さと愛情、そして辛さを感じさせた。スープが美味しそうだった。
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読みながら、自分までパロス・ヴァーデスの素晴しい景色の中に佇んでいるような気分になって爽快。
普通の人にはあり得ないようなシチュエーションなのに、すんなりその情景を受け入れてストーリーの面白さにひき込まれてしまった。
さすが宮本輝さん。