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3.5 おそろし第四弾
○迷いの旅籠
逝ってしまった愛する者を、この世に呼び戻したいと願う人々の創り出す危うい世界。
○食客ひだる神
毎年夏場になると休業してしまう弁当屋「だるま屋」
店主房五郎憑いたひだるさんの肥大化対策だった。
○三鬼
嗣子なしを理由に、改易になった栗山藩の江戸家老・村井。妹・志津の受けた暴力の報復に上士を斬り、その処罰として送られた洞ケ森で体験した、鬼との遭遇。極貧に喘ぐ山村の民は何故上村と下村に分かれて暮らしていたのか・・。
村井と共に洞ケ森に送られた砲術師・須加利三郎との数奇な因縁。
○おくらさま
時刻を違え、忽然と現われた語り部は振り袖姿の老婆。話し終わるとやはり煙のように姿を消す。
修行先から戻った次男・富治郎、新たに登場した貸本屋・勘一らと共に、老婆の語った曰く付きの香具屋・美仙屋を探す。
屋敷をあらゆる災厄から守る「おくらさま」。大事の後の代替わりは娘が一人選ばれるのだった。一方、おちかが想いを寄せる青野利三郎が、国許へ帰る事となりおちかの元を去ってゆく。
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三島屋第4弾。
たっぷり読み応えあってうれしい。
表題作の「三鬼」がやはりよかった。
あと今回は聞き捨てだけではないお話もあってわくわくした。
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最高。ものすごいページ数だけど、あっという間に読み終わっちゃって、もっと読んでいたいほど。やっぱりこのシリーズが1番すき!怖いものと優しいものが入り混じって、結局1番怖いのは人間で…。漆黒の籠の中に何も無いっていうのが、うまいなぁと。鬼の顔があるのかと思ったら、それは自分でもあると。すごい!!
青野先生のお別れとこがさらっとしすぎて寂しいけど、いい味出してる新キャラが出てきたし、おちかも気持ちも外へ向かい出してるし、今後も続いていくんですね!でも、次はいったい何年後ですかー??
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三島屋変調百物語シリーズ。
いつもながら、安定の面白さ。
軽々に人に語れぬ話を語る百物語だけに、今回も人のむごさ、哀しさ、やるせなさ、そして暖かさ、思いやりがぎっしり詰まっている。
胸のうちを隠さず語るだけで、心が軽くなること。
人の悩みを聴くことで、思いがけず自分の悩みにも光が見えること。
あるある。
本作から、三島屋の次男でおちかには従兄にあたる富次郎、瓢箪古堂の若旦那の勘一さんが登場。
まだまだ、おちかの心の傷は癒えきってはいないけれど、淡い恋心を育てられるまで、そして恋が破れて泣けるまでになった。
瓢箪古堂さんの語る、『読み物の効用』は、もちろんこの本にもあって、読後爽やか。
読書の楽しみを堪能させてもらいました。
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初読。図書館。シリーズ4作目で4つの話。なのにマンネリ化することなく、抜群の安定感。それは語られる話の切なさだけでなく、おちかの前向きな変化がよいアクセントになっている。が、ここでその別れと出会いを持ってくるのか…。また次の新しいお話をのんびりと待つことにしますか。
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三島屋を舞台に不思議な物語を若い娘が聴き集めていくという宮部みゆきの連作。既に単行本になって4作目。江戸時代の商家が舞台、その時代の文化や仕来り等も正確に織り込みながら奇想天外な少々恐ろしいお話は繰り広げられる。
今回は四話あるが、なかでもこの本の題名にもなっている「三鬼」はこの世の者ではないものが登場するという恐ろしさよりも人間の奥深くに眠っている嫌な部分の恐ろしさである。それが物語の悲劇を増幅させていく。人間とは保身のため、生きていくため、究極の選択をこれほどまでに冷酷に下すことが出来るのだと驚く。しかし最後にはその辛い状況を正していこうという「善」の部分もちゃんとあるのだと感動させられる。辛いお話ではあるが救いようのない結末ではない明るい兆しを味わえる作品だ。
またこの不思議話を聞く娘おちかをはじめ彼女を取り巻く人々の動向も読者にとっては気になる部分である。多彩な人物描写と多様な物語の展開、いつもながら宮部みゆきの細部にわたる表現に感嘆させられる。次作も早く読みたくなってしまうシリーズだ。
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完璧な人間なんていない、そんなの当たり前のことだ。
当たり前のはずなのに、こんなに胸にしみる。
宮部みゆき、得意の時代小説に磨きがかかり、凄みすら感じる中編集
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期待を裏切らない、そして、期待以上の読後感のある作品でありました。起こる事件、事象は理不尽であって構わないのだけれど、そして、理不尽であればあるほど、百物語なのだと思うのだけれど、名づけるのは人だとすると、どうして「三」鬼なんだろう、といろいろ考えました。自分なりの解釈はできたけど、どうなんだろう。でも、自分なりの解釈ができたところでOKなんだとも思います。
そして、「ひだる神」では、あのような者たちにも、重さというか、質量というか、あるんだなあ。だから肩が重くなるのかなあ、なんてあらぬことを考えました。
おくらさまを読み終え、あぁ、ここで終わったとしてもいいな、と思うくらいの終え方。そして余韻。お見事です。
もちろん、お話はまだまだ続くでしょうし、次の作品を読むのを心待ちにしております。
また、こちらの期待を超える読後感を下さるものと信じています。
ああ、面白かった。
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三島屋の百物語シリーズ4作目。
4つの話で560ページ!
読みでがあります。切ない話が多かったように思います。
三鬼。ちょっと怖ろしく、やるせない思いです。
おくらさま。切なさでいっぱいでした。
今後の展開が楽しみ。新聞で連載されているので本になるのが楽しみです。
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待ってました百物語シリーズ♪
この厚さを見たら怯みますが、読み初めると厚さが気になるどころか「もう終わっちゃうのか!?」と思うくらいあっという間に読んじゃいます。とにかくどの話もテイストが全然違ってすごく面白い。
そしてゆっくりではあるけれど主人公の身辺にも現実的な変化や怪異が現れはじめ、きちんと本筋も進んでいるのがまた面白い。
宮部さんの頭の中にはおちかの最終形(?)がちゃんとあるのでしょうけれどまだまだ百話には程遠い、予測もつきませんね。
そうか、あの人は去るのか…と思ったのは私だけじゃないだろうな。
ひだる神の話は声を出して笑いながら読みました。食べられないのが辛いのは神様(妖怪?)も同じだなぁとひだる神に同情しながら我が事のように(!?)読みました。
しかしこれ、本当に百話やったら何巻になるのか(笑)すごく楽しみだけどちょっと怖い気もします。(怪異じゃなくてお金とスペースが 笑)
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おちかちゃんがひとつの別れとひとつの出会いを経ることで、また一歩進めてほんとうによかった。
隔離された村に現われる鬼、<おくらさま>に守られ滅ぼされた美人姉妹。
ぞっとするなかにも語り部の心残りが消えていくさまが見て取れて、ただの百物語ではないしただの懺悔や告白でもないその人の魂や人生に直接触れるような感覚なんだろうと思うと、おちかちゃんにいつか来る黒白の間から踏み出す日を願っていたい。
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「あんじゅう」や「ひだるさん」本物の妖が出て来る話はほんわかしているのに、妖ではなく人間が起こしてしまった事の方はなんとも切ない。
…だからこそ、鬼が必要なのか…
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4編の物語が収められています。どの話も読み応えがありました。個人的には「食客ひだる神」が好きでした。
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三島屋シリーズ四 それぞれの話が重く辛く でも温かく心に染みいる物語だった。「人の世は思うに任せぬ。悲しい悔しい腹が立つ。..でも後ろばかり向いていたら後ずさりで生きる事になっちまう」宮部さんの現代物は同じように重く辛いものが多いけれど 時代物はその辛さのあとに 救いやぬくもりが残って 好ましい。そして やはり日本語 大和言葉は優しく綺麗だと心から思う。
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三島屋シリーズ最新刊。
今、新聞での連載もあってるので、あと一巻はでるもようですね。
このシリーズは暗い話もあるけれど、百物語を名乗るわりには温かい話も多くて好きです。
しかし、宮部さん、何かあったのかなーと思うほど、最近お別れネタが多いような。
杉村夫婦しかり。このシリーズのおちかと若先生しかり。
まぁ、次のヒーローっぽいひとが控えてからの入れ替わりですが。
食客ひだる神が好きでした。読後感もよい。
表題の「三鬼」は悲しい話ですが、大女であるというだけで辛い目にあった志津さんが救われたのが良かったです。