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紙の本
素晴らしい
2018/12/15 13:05
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり。
花染町を舞台にしたオムニバス。
交錯する人たちのエピソードがどれも良い。
表現方法も本当にいろいろあって毎回アッと思わされる。
ネット掲示板のとかこの時代を知っている人じゃないとわからない雰囲気だよなー。
紙の本
傑作だ……。
2018/03/11 21:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:休暇旅行 - この投稿者のレビュー一覧を見る
連作長篇です。くらもちふさこさん、はじめて読みました。奇跡じみている。天才じゃないのか。
最初数篇のうちはオムニバス風に見えます。他篇の登場人物がわずかに姿を見せるものの、基本的には単独で読める。
この段階では(つまり単独短篇として)とくにエピソード3のレベルの高さに呆然としました。このエピソードは主人公が小学生なのですが、子ども視点からの世界の魅力が各ページ各ページ、感動的なまでに活き活きと表現されています。作者の、説明的にならない表現力、装飾のない柔らかい息づくようなセリフ使いがもっともわかりやすく発揮されている作品。そのうえで、ストーリー展開もあまりに見事。
しかし単独短篇としての完成度を極めたあと、(各話の質は保ったまま)エピソード5、6あたりから一気に〈各話のつながりが導く町全体の物語〉が浮かびあがってくるのがすごいところです。既出の短篇、登場人物にあらたな印象がどんどん重ね描きされ、その深さに目まいがしそうになります。エピソード2、3あたりですでに短篇単体内でも現れていた、〈他者の重層性〉〈他者への想像の及ばなさ〉を、読者は何度も体感、立体視することになる。そしてその想像の及ばなさを想像できてしまう作者、何者なのか。
わずか文庫2巻で信じられないほど濃密な人生たちを示しながら、しかし本作にはたとえば圓城陽大の二年間の休学など、(描き足りないという意味ではなく)おそらく描き残された部分もまたある。その一部は、あるいは本作のスピンオフだという『花に染む』で描かれているのかもしれません。だとすれば『花に染む』を読むことで、私はさらにまた、重ね描きによる変貌を体験することになるのでしょう。そして私はその変貌をとても見たいと思う。
しかしそれは、『花に染む』を読んで物語を完成させる、ということではないのだと思います。〈真実の構図〉の獲得、という傲慢な欲望からは遠く離れたところで、ときどきに不意に訪れる、他者と世界の奥行への気づき。他者を完全に把握しきれることなどない、人間理解が完成することなどないという倫理と表裏の豊かさ、それが本書の中核をなしているのではないでしょうか。
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