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ディヴァイン9作目の長編。本書の刊行で未訳作品の残りは2作になったようだ(巻末解説より)。
基本的に、事件やトリックを始めとして、派手さとは無縁の内容だが、個々の描写が丁寧なので引き込まれる。
ディヴァインの良さをじっくり噛み締められる1作だと思う。
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町役場のタイピストが、職場で拾ったメモのことを警察に話すと言った矢先に殺された。そのメモとは不正の証拠だったのか、それとも…自らも秘密を抱える副書記官のジェニファーは、事件の背景を探ろうとする。
考えなしの娘が口封じに殺された?というオープニングはありがちだが、登場人物それぞれが野心や秘密を抱え、怪しく見えてくる人間ドラマはさすがにうまい。
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著作の特徴としてツイストの魅力が大きいように思うけれど本作にはそれがない・・犯人像にさほど意外感がない(失礼)。それでもおもしろく読んだのは語り口の巧さ、登場人物たちを的確(魅力的)にとらえる描写(筆致=注意力ともなう丁寧さ)にある。舞台設定として役所やその人間模様(力関係)など退屈極まるものではというこちらの危惧を見事払ってみせる。地味ながら知性を感じさせる魅力ある等身大キャリアウーマンの主人公に惹かれた。終幕に用意された場面などベタだがよい読後感を残す。他著作の特徴的魅力を欠くもののこれはこれで佳品。