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「ただいまぁ」の
声に
信州は
山の緑
空の青
青空一枚で
折った鶴を
浅間のてっぺんから
世界中の空へと
飛ばしてみたいよ
黒のキャンバスに
緑
緑
緑
ふきのとう
春の太秦に
旅をした
ほほほ、と
菩薩が
ほほ笑んだ
これは
念仏だ
天を劈く
蝉の
咆哮
こういう歌が歌が、私の中にあふれるような感動をもたらしたのである。私としてはそれ以外の言葉はなにも言わなくてもいいとも思う。しかし、なぜかということを推し量るのが、この本を読もうとする人々への私の務めかとも思われる。
歌の完成度にもいろいろあって、遊子さんの場合、まずは歌が徹底して短い。ということは、気持ちや思いを絞り込み、極限にまで達したところで歌にしているのである。
彼女のもう一つの特長は技術を用いないことである。
ここまで完成度を出しているのに、技術は彼女の心のなかにない。それがかえって感動を誘うのかもしれない。世人は歌をどう書くかについて考えるとき、技術というものはあると考える。それは確かにある。しかし、ほんとうに自分の気持ちを表そうとする人で、それを使わない人もいる。
人が見たいのは心であって技術ではないから、それも一つの行き方である。
(五行歌の会主宰 草壁焔太 跋文より)
市井社紹介ページもごらんください。
http://5gyohka.com/shiseisha/yuko2017bara.html