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若い世代を想定していると思われる体裁だが、
内容は侮れない。戦争の「通説」を知っている人の方が
読んだインパクトは大きいかも。
詩人である著者の言葉へのセンスが光る。
インタビュアーが優れているからこそ、
戦争体験者の思いも深まり、
聞く人の心憎刺さる言葉が紡がれる。
玉砕をどう訳すかのくだりは
本質をついていると感じた。
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米国人著者による戦中・戦後。語り部たちの悲惨なだけではないひとりの人間としての体験談は、著者が丁寧に尊重して聞き取ったからこそ。
真珠湾攻撃時の米国の様子、広島・長崎以降にも投下された爆弾など、知らなかった事実もたくさん。
日本は戦争の終結のためではなく、アメリカの新兵器の実験場として使われたのか。
知れてよかった。ほんとに。違う視点でものをみる。そして、それから自分の頭で考える。
このインタビューのあと程なくして亡くなった方たちもいた。この貴重な記録を遺してくれたことに深く感謝したい。
著者が作りたいストーリーを持たずに、話者を尊重して耳を傾けたのだろうと推察できるインタビューがとてもよかった。悲しい、悲惨だけではない、全貌もわからずに一日一日を懸命に生きた一人ひとりの人の生き様が記録されている。
――以下、メモ――――――――
これも、ビナードさんの視点の一つであるということは忘れずに、でも日本にいたら見えずらい貴重な視点だと思うのでまずはメモ。
*日本人が思う「戦後」の意味は、postwarでは表現できない。アメリカにとって、戦後はひとつじゃない。こんなにも感覚が違う。
*第二次世界大戦中も、アメリカの一般市民は通常の生活を送っていた。アメリカは戦地ではなかった。言われてみたら当然だけど、気づかなかった。
*真珠湾に空母はいなかった。アメリカは日本の攻撃を知っていて航空母艦を逃がし隠した。そして日本に攻撃をさせて、報復という名の原爆を落とした。
*日系収容所に入れられた日系人たち
*択捉島で、親しくしていたロシア人が一変。
*大久野島で作られた毒ガス
*ちばてつやさんの満州引き揚げ。親しくしていた中国人が一変、襲い掛かってくる。このときちばさんに「日本人がこんなところにいては危ない。一緒に来なさい」といった中国人の徐さん。そんな行動が自分にできるだろうか…。
*戦争に勝っても負けても、対等に渡り合うために英語が必要だった
*ピカ、ピカドン。その境界。
*広島・長崎が終わった後に落とされた一万ポンド爆弾。
*リトルボーイ、ファットマン、パンプキン
*「オリジナル・アメリカ」13州のみがオリジナルアメリカという会員制クラブに加入している
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2022年16冊目。
夏休み中にスローペースで読んでいました。
もしかしたら、日本人以外の視点で書かれた戦争に関する書籍を読んだのは初めてかもしれません。
さまざまなかたちでの戦争体験者に話を聞きながら、自身の考えを深めてゆく著者。
当時の様子を克明に切り取った体験談そのものから学ぶことも多かったけれど、著者の「気づき」にハッとさせられ、新しい発見が多々ありました。
まだまだ知らない戦争の真実があるんだと再認識できました。
また、太平洋戦争を授業で扱う前に、読み返したいと思います。
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いつまで知らないでいるつもり!?
アメリカ出身の詩人アーサー・ビナード氏(1967年生まれ)が、日本人の太平洋戦争体験者たちを訪ね歩き、戦争の実態と、個人が争いから゛生き延びる知恵゛を探ります。
登場する語り手は、真珠湾攻撃に参加したゼロ戦の元パイロット、「毒ガス島」で働いた元女子学徒、戦後GHQで働いた元事務員など、実にさまざま。日本人以上に日本社会に詳しいビナード氏が、自身の受けたアメリカの教育とも照らし合わせながら戦争に対する考察を深めます。日本民間放送連盟賞・2016年番組部門[ラジオ報道番組]最優秀賞を受賞した、文化放送「アーサー・ビナード『探しています』」を採録して再構成した書籍です。
ーー「『平和』って、無知のままでいること?」
「『戦後』って、いつの戦争のあと?」
【編集担当からのおすすめ情報】
近現代史を充分に勉強しないまま大人になってしまった社会人の方々や、日本の戦争のことをきちんと知りたい学生のみなさんに、ぜひ読んでほしい1冊です。ビナード氏の思索を手かがりに、わたしたちも考えてみませんか。