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途中まですごく好きだった。
まだあひるは未読なので、今村夏子さんの本はこちらあみ子ぶりなのですが、この作品、静かで、淡々としているのに内容はちっとも穏やかじゃなくて、けれど日常的で、読んでいてなぜか心が乱れなくて。すごく好きでした。
身体が弱かった主人公、ちーちゃん。ひょんなことから父は不思議な水の力を同僚から教わり、新興宗教にどっぷりはまってしまう。姉のまーちゃんだけ馴染めなくて、けれど家族のことは好きだしと心身穏やかではないのだけれど高校生の時に家を出てそれっきり。ちーちゃんはおかしいのかもとどこかで思いつつも当たり前の日常、習慣である環境から出ようとしない。
面食いのちーちゃん。南先生の失恋のシーンがピークでよかった。張り裂けそうなくらい。普通の失恋じゃなくて、あんな風に終わらせる著者はすごいなと思った。告白もしていない。振られてもいない。けれどもあれは正真正銘の失恋、他ならない。
最後のシーン。家族3人で同じタイミングで流れ星を見ようとするんだけどなかなか見れないまま終わる。呆気ないというか素っ気ないんだけどそれはそれでいいのかなとも思う。けれどもう少しパンチが欲しかったかなー。南先生をあんな風に攻撃的に描いたのだから、もっと静かな破壊的に描いて欲しかった気もする。
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星の子
今村夏子さん。
第161回芥川賞受賞作家。
主人公の謎の湿疹を治す為、
謎の新興宗教に心酔していく両親。
主人公の少しづつ変化する心の様子が、
坦々と描かれていた。
面白かった。
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病気がちの主人公ちひろの身体を心配して救いを求め、新興宗教にはまり込んでしまった両親と思春期に成長して丈夫になったちひろはそんな両親と宗教と同級生のはざまで生きている。
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第157回芥川賞候補作(受賞は沼田真佑の「影裏」)
前々回の芥川賞の候補にもなった「あひる」もそうだが、どこかやさしさを感じる文章が特徴的。
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読んでるあいだはずっとずっと心臓をギュっとつかまれた感じになってた。なぜか食欲が落ちた。最後の数ページでその緊張してた内臓がゆっくり元に戻っていった。てかこの方の文章も、拾う題材も、物語と語り手の距離感も、全部、好きです。
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『あひる』で芥川賞候補になった今村夏子の最新作。
一見、ほのぼのとしていながら、背後に控える闇は深い。ちょっとホラー的というか、そういう傾向が強い作風だと思う(〝あひる〟の時も似たようなことを書いたような気がするが……)。
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主人公の「ちーちゃん」が虚弱体質で生まれてきたことをきっかけに、マイナーな宗教(仏教やらキリスト教やらではない)にハマった両親。他人から見ると、怪しい宗教にハマっている一家、ということになる。しかも、ちーちゃんの姉はこの状況を嫌って家出をし、行方不明という状況だ。親戚からも、距離を置かれたり、または「目を覚まさせよう」という働きかけを受けたりしている。でも、一見特異な状況にあるちーちゃんは「普通」の子で、ごく自然体で、両親を愛している。
親戚が心配をするのは当然だし、親切かとも思うけれども、本当に彼らは「異常」なんだろうか?こういう宗教は「悪」なんだろうか?
とても読み易く、サクサク読めてしまったが、ずっしりと心に留まる一作だと思った。
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両親を不審者に間違われ、二匹、と数えられたり、と、また細部でざわざわさせられる。
たまたま奇跡のように感じられたことで、信仰に繋がるというのは、恐ろしいけどリアル。
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あれ?この結末は?
これで終わりか。そんな印象。
残念ながら子は親を選べない。
ハッキリ言って怖いです。人間は簡単に洗脳されてしまうのですね。
主人公のクラスの子達が案外、主人公に対して普通に接しているのが意外だった。
最後に出てきたツダさんが、一波乱起こすのかと思いきや。何もなく。南先生は、まぁ不快だったけど毎時間似顔絵はなぁ。
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こと日本においては宗教の話題と言うのは非常にセンシティブな話題であって。さて、今村夏子さんの本を読むのはあひるに次いでこの星の子で二冊目になった。宗教絡みの本と言うことで非常に楽しみにしていた。あひるを読んだ時の、なんとも言えないぞわぞわさがあまりにも強烈で、今回はどんなぞわぞわを感じるのだろうと期待半分不安半分。結論から言うとぞわぞわしなかった。あひるよりも長編と言うこともあり、描写が比較的丁寧であったこともあり、得も言われぬぞわぞわ感を感じなかったのだろうと思った。
内容に関してだが、この展開から一体どんな最後が待っているのか?と、終盤は気になって仕方がなかった。最後のページを読み終えた後に(ははぁ…こう終わるのか)とやけに感心してしまった。この本に出て来る登場人物の中で、明確に「悪い人」として書かれているのは(あくまで個人的な見解だが)南先生だけだった。(二人ばかし若干怪しい人がいたが…)他の登場人物はみな「良い人」であった。無下に他人を否定する事もなく、自分に従っている人間ばかりだった。だからこそあの終わり方ができたのだなと。個人的にはとてもきれいな終わり方だと思う。宗教と言うフィルターはあるのかもしれないけれど、家族としての愛を感じるラストだった。
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あやしい宗教にのめりこんでいく両親、歪んでいく家族、周りの人の目…。一見ほのぼのしていても背後に歪みや毒があって、心のざわつきが止まらなかったです。ラストのシーン、無邪気なやりとりかと思いきや修復不可能な怖さが出ていて、ほんと怖かったです。
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病弱だった「わたし」を救ったのは、特別な「水」だった。健康になったわたしと、少しずつおかしくなっていく父と母。物語は宗教にのめり込みひずんでいく家庭の中で、無自覚なのか自覚しているのか、とにかく少し違った「普通」のなかで生き、育つ少女の視点で描かれる。
自分が分かっていないということが、分からない。
知らないということを知らない。
気付けていない、ということにすら、気付けない。気付きようがない。
そんな私の「普通」。
それこそ流れる「水」のような淡々とした文体、柔らかくもするどい言葉で。
でもほんとうにこの小説のすごいところは、その小さな漣のような言葉に、どうしようもなく胸がかき立てられることだ。小説自体が秘めた熱よりも、読む僕たちのほうが、どうしても熱っぽくなってしまう。底知れない静かな力が、文字の裏側に隠れている。
日本で「宗教もの」と言えばこういう語られ方になってしまいがちであることには少し反感を覚えるけど、それはまあ作品の評価とは切り離して考えるべきだろう。
それに、この作品における宗教はあくまでモチーフであって、本当に描かれていたのは、ただ純粋に家族がわかり合えなくなってしまうということの、どうしようもない切なさなのだと思う。
ただ、いい小説を読んだという感覚が、強く残っている。
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なるほど、なるほど…。
今回の芥川賞候補作として発表されたこちら。
何より装丁が素敵。
色が良い。
内容は新興宗教ものなのでだいぶデリケートなんだけど、
切ない暖かさがつまっている。
友達、みんなこんな風なら良いのにね。
そうしたら色んなこと乗り越えられるね。
愛するひとの信じることを自分は信じられるのか。
お友達の、みんな騙されてるのかもしれないという話のくだりに哲学を感じた。
ラストの余韻が凄い。
きっとあの夜のあと、色んなことが大きく変わるんだと思う。
良い方向だけでは無いだろうけれど。
あえて描かれない部分に深い奥行きを感じる作品だった。
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テーマがテーマゆえに
ずっと常に
薄気味悪さを感じる物語
最後の場面も私は読んでいて怖くなってしまったのだけれど
結局
どうなってしまったのか
読み取るのが難しかった
たぶん
正直、読み取れてない
とにかくすごくすごく怖かった
不気味で
もう読み返せないかも。
ただ、
「ぼくは
ぼくの好きな人が信じるものを
一緒に信じたいです」
この一文は
とても好き
せつない
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話題の?今村夏子さんの『星の子』読了。台詞が多いし、文量も多くないので、あっという間。面白いけど、あの辛口選者の芥川賞は難しいんじゃないかなあ。著者の意図というかロジックはわかりやすいし、設定もそこまで斬新ではないし。装丁が綺麗。
著者の他の作品を読んでみるか。