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プラザ合意以降のGlobalization, Capitalization, Degitalizaitionを踏まえての、日本企業のあり方を示唆してくれる。凄くわかりやすい。さすがは平野先生。
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日本のビジネス界における突出した「頭脳」の1人でいらっしゃるであろう著者がどんなことを語られているか興味を持って読んだのですが…残念ながらわたし的にはキレはややイマイチ…かな…
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グローバル、キャピタル、デジタルを軸にして過去30年間の社会経済の変容と足元で起きている変化、(著名人の予想なども参照しつつ)今後30年間の変化の大きな方向性、日本企業の経営のあり方について考察された本。
各所で見聞きしたトピック・論調も多く散見されるが、昨今の企業経営をとりまく状況変化について体系的かつ(データに基づいて)論理的に説明されている点で(自身の頭の整理を行う上でも)大変有益であった。
日本企業の経営に対する示唆は抽象的でありやや具体性に欠ける(頭では理解できるが実際に各ステークホルダ(特に「改革」に反対する勢力)とどのように折り合いをつけて具現化していくのかが見えにくい)印象。(タイトルにある通りこれは「進路」であって具体策は個別具体の企業・政府が考え抜くべしという趣旨であるかもしれないが。)
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ビジネスにおける世界的な潮流について本質を捉えて論じた本。グローバル・キャピタル・デジタルという大きい潮流の切口で展開
<メモ>
・グローバルを取り込むために必要なのは、複雑な管理システムが発達した統制型組織ではなく、人々の内発的な動機付けを重視したフラットでシンプルな組織。
・メタナショナル組織として、グローバル市場に散財する知識、技術、市場情報、専門能力などの知的資産を組織内に取り込むことでイノベーション能力を高めて、世界に商品として提供できる組織
・社会経済活動のインフラ3つはエネルギー・モビリティ・コミュニケーション。このインフラの上に全ての産業活動や人々の社会生活が成立している。
・アマゾンは人と商品、グーグルは人と情報、フェイスブックは人と人との結びつきをインターネット上で介在することで大成功する。ウーバーやエアビーは人の空き容量や空き時間を情報化してネット上で結びつけるシェアリングを世界に問うている。マイクロソフトはソフトウェアの再生産を、アップルは洗練されたインターフェイスの提供をアマゾングーグルフェイスブックは無数のユーザーへのリーチをコストゼロで実現することで巨額の富を生み出している。
・市場は分析するものでなく、イノベーションを通して創造するもの。戦略は想像した市場をいかに拡張していくか。
・戦略思考とは企業独自の存在価値を見極めて、誰に向けてその価値を訴えて、長期的な自社の成長に結びつけるかを考え抜くこと。
・資金というハードキャピタルを生かした戦略的な事業投資と技術や知財などのソフトキャピタルを投入したシナジー創造を組み合わせた戦略事業投資会社であるべき。戦略や理念という企業としての最上位の概念をガバナンスの中核に据えて、組織や国境を超えた共有価値観を浸透させることで求心力を高めることが重要になる。
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マッキンゼーに20年以上勤務して日本支社長まで務め、今はビジネススクールの教授となっている著者が、現在を「経済秩序の転換期」と捉えて、日本企業がどこをめざすべきなのかを著した本です。
サブタイトルは「世界の転換期で日本企業はどこを目指すか」ですが、本著の半分強が「世界の転換期」として何が起きたのかについての解説となっていて、「日本企業はどこを目指すか」には、そこまでページは割かれていない印象でした。
今まで起きたことはデータも含めてロジカルに整理されていて、これ1冊をしっかりと読み込んでおけば、取りこぼしは無くなるのではないかと感じました。
とは言え同時に感じたことは、何か物凄く新鮮な気付きというものは個人的には無かったので、言わば日々の仕事等で何となく感じていたものを言語化していただいた点では貴重なのかもしれません。
日本企業への提言は、国内で安定的にキャッシュを稼ぐ体制を作って海外へ進出すべし、人材開発にもっと投資すべし、人事制度を変えるべし等、整然と説いています。(コンサル会社さんのお世話になる必要がありそうな話で…)
細かいことで気になったのは、2017年出版の本として、トランプ政権なんかにも触れてはいるのですが、日本企業ってもうちょっと変革進んでなかったっけ…ということ。描かれているのは旧態依然とした旧い会社で、今はデジタル化なんかももうちょい進んでるような…。
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2019年8月読了。
会社での課題図書のため購読。
第一部で「グローバル」、「キャピタル」、「デジタル」の三つの切り口から企業経営の特質を解説し、第二部で日本企業が如何にこの三つの経営要素の発展に対する反応が鈍かったか(そして今も尚鈍い)を示し、第三部で今の経済や社会の変化を踏まえた今後の企業経営の方向性について解説している。
28ページ
(バブル崩壊後の世界と日本の経済活動について)「世界が米国を中心に新自由主義的な経済政策と民間によるイノベーションにより飛躍的な変化を遂げた1990年代に、日本は世界に背を向けて内向きのバブルの後遺症対策に追われることになり、変貌する世界経済と企業競争に取り残されることになるのです。」
→バブル後に世界と日本で何が起こっていたのかを端的に言うとこういうことか。仕組みを変えてドンドン新しいことに取り組んでいったところと、ツケを払うのに汲々としていたところ。その差が出ている。
43ページ
所得水準別世界人口分布の推移のグラフ。1990年から2015年の20年の間に、最貧国の経済レベルの国が格段に減って、陸続と中所得国に成長していった。台頭する中間層を取り込めないと貧しいまま。
47ページ
世界規模で展開している企業の新興国市場に対するスタンスの段階的な変化について。第一段階では「安価な労働力を確保するローコストセンター」、第二段階では「個人消費が高まりつつあるので開拓市場として捉える」、第三段階では「自社の中核拠点の一つとして商品開発や研究開発部門を設置するなど、いまやイノベーションセンターとしての機能が与えられるようになっている。」
→「海外で安く物を作る」とか「人件費の安い所に進出する」とか、その発想って何年遅れなんだよ、と言いたい(業態によってはまだそんな考えが有効な会社もあるのかもしれないが。でもそれって中間層の取り込みに失敗しているような気がしてならない。)
49ページ
受託生産専業で拡大する会社(鴻海)、受託生産だけに留まらずに自社製品を提供するようになった会社(タタのソフトウェア部門)、ファブレスで生産は完全に外部委託する会社(クアルコム)、等々の新業態の会社が成長した。製販一体の会社では逆立ちしても追いつけないようなことをやっている会社が成長している。
53ページ
またしても「標準化」の話。「匠の技」頼みはホントにマズいと思う。
54ページ
標準化や集約化は「人事、経理、あるいはITなどの業務も可能な限り手法や手続きの標準化を行い…(以下略)」、ということで管理部門だってその恩恵がある。エンジニアだけが標準化を課題にしていれば良いわけではない。
56ページ
グローバルキャンバスということで、母国の地域優位性のみに拘って機能を割り振るのではなく、世界各地の拠点の優位性をうまく利用して競争力としているのが先進的な企業。
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【1990年前後~2010年:ポスト冷戦 のパラダイム(世界)】
1.グローバル経済
WWⅡ後、自由主義経済の拡大により世界経済が統合されてきた
ローコスト生産→グローバルキャンバス上に立つ超国家企業
2.キャピタル経済
経済活動を市場原理にゆだね政府が金融緩和を実施
マクロ:国家(Demand)-投資家(Supply)
×ミクロ:金融イノベーション(証券・M&A)
★貧富の差の拡大、経済の不安定化
3.デジタル経済
冷戦後、軍事技術の民主化×シリコンバレー
情報の産業化→アイデアのマネタイズ
情報の民主化
★人は何をするのか?
【ポスト冷戦のパラダイム(日本)】
WWⅡ後、米国へのサプライヤーとしてモノづくり大国
(朝鮮戦争がよい起爆剤)
→◎調和、安定、現場
×集団的な経営組織思考の停止
★戦略事業投資モデルの企業づくりへ組織改革
ガバナンス、経営ボード、個人オーナーシップ、アウトプット
【2017年~:ポストトランプのパラダイム】
#反グローバリズム(経済ナショナリズム)
→企業=株主重視・法律順守+「社会倫理性」
#デジタルによる社会構造変換(シンギュラリティ)
→共同体型社会、エコシステム、マッシュアップ
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ベルリンの壁の崩壊は1989年。そこから、加速度的に東ヨーロッパ諸国の民主化が進み、東西冷戦が終結した。
それから30年、世界経済は、グローバル化、金融経済化、デジタル化という大きなフロンティアを開拓する形で拡大、グローバル企業も、フロンティアを活用しながら発展してきた。
一方、日本企業は、その間、それまでの成功体験から抜け出せず、また、経営を進化させることが出来ず、このフロンティアの活用に出遅れ、欧米の先進企業に業績面でも、経営管理能力という面でも、水をあけられた。
今後、日本企業が再び成長するための処方箋として、筆者は、戦略思考の徹底、取締役会改革を含む経営組織改革、そして人を中心とした経営の3点をあげている。
東西冷戦が終わったのは、約30年前。現在の世界のありようを、そこまで遡って歴史の中に位置づける考え方は、深く納得した。
日本企業の経営者、あるいは、経営に興味を持つ人にとっては、すごく示唆に富む一冊。