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2017年7月の本。新聞広告で気になって図書館で借りた。
以下メモ。
●一条工務店の家は住宅業界におけるプリウス
●限られたお金の使い方を指南するファイナンシャルプランナーは光熱費についての詳しい言及はない。できるだけ冷暖房は使わないようにレベル。しかしヒートショックなどを考慮すると冷暖房コストを節約するという選択肢はない。エアコンは光熱費や快適性の問題から嫌われ者の代名詞になっているが、住宅の性能が低いことで生じる問題をエアコンのせいにしているから。エアコンほど高性能で費用対効果が高い機器は存在しない。
●ドイツやスイスの住宅で家全体を暖めるよりも、日本のトップランナー基準の住宅で人が居る時にその部屋を暖める方が1.7倍以上の暖房エネルギーを消費する。
●日本の戸建て住宅の8割は無断熱といってよい。外皮性能が劣る住宅のなかで、省エネ設備がてんこもりで搭載された家が「スマートハウス」ともてはやされるのはブラックジョーク。真冬に裸でカイロを10個も20個も貼っている状況。
●イニシャルコストに30万かければよい。
●エアコンだから乾燥するというわけではない。ファンヒーターは乾燥しないかもしれないが同時に二酸化炭素と汚染物質を撒き散らす。ホットカーペットやオイルヒーターはものすごく勿体無い。
●エアコンは性能の割に安すぎるのと、販売台数が多すぎることから、メーカーが自ら方針を変えることは難しい。住宅の断熱性能や、気密性能について自ら定格能力を計算している人はほとんどいない。
●暑さの7割、寒さの6割は窓が原因。アルミの枠は熱が逃げやすい。
●エコキュートなど国家予算で補助すれば発電も少なく済む。しかし今の売電などは、電気を使うのを我慢して太陽光から得た電気を余らせる方にインセンティブが働いてしまっている。
●エアコンの容量設定をできるソフト「ホームズ君省エネ診断」ができた。
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Part.1 エコハウスを知る
暖房負荷kWh/(m2・年) 全館暖房 ドイツ15、日本のトップランナー61
住宅貧乏から脱する6項目
1.1999年基準(次世代省エネ基準)における天井、かべ、床の断熱性能+実質U値1.7以下のサッシ
2.C値が最低でも2以下、理想的には1以下
3.冬の日射取得(南面からの日射取得)
4.夏の日射遮蔽(南面の庇、東西北面の窓の極小化、L ow-E化)
5.給湯器の選択(太陽熱温水器+エコジョーズまたはエコキュート)
6.エアコンで冷暖房(エアコンが効く家にする。エアコンだけで冷暖房、除湿が完結する)
マンションの場合、南向きの中間階の中部屋、省エネ性能向上に内窓設置
既存住宅の省エネ策
1.電気温水器をエコキュート
2.プロパンガスをエコキュート
3.浴室をユニットバス、TOTOの魔法びん浴槽は4時間後の温度低下を2.5℃以内に抑える、TOTOのエアインシャワーは35%の節水
4.窓にはインナーサッシ(内窓)、リビング・ダイニング・キッチンの窓優先、次に浴室、トイレ、洗面脱衣場、LIXILのインプラスなど
5.夏場に日に当たる窓には、よしず、シェード(YKK APのアウターシェード)など窓の外側に、冬場は日が落ちたらすぐにカーテンと雨戸もしくはシャッターを閉める
6.温水洗浄便座は暖房便座のスイッチをオフにして便座カバー、2台て年間390kWh、冷蔵庫(330)テレビ(375)、この3つが一番エネルギーを使う、電気ポットも使用は最小限に。白熱電球はLED電球に消費電力は9分の1、寿命は約20倍
HEAT20のG2グレードは最低限
住宅をシェルターにする8項目
1.25年保管可能な食料を家族1週間分、常時備蓄
2.水はペットボトル用の浄水器を防災セットに入れておく
3.小型のカセットコンロ、ボンベを数本を防災セットに入れておく
地震対策30避難セット、防災防犯ダイレクト
以下はいずれかでもあるとさらに望ましい
4.太陽光発電の非常用コンセント
5.蓄電池(高いが)
6.コンセント付きのハイブリッドカー、プラグインハイブリッドカー、電気自動車
7.電気を必要としないプロパンガス
8.井戸、大型雨水タンク、近隣の清水
Part.2 エアコンの実力を知る
空調とは空気調和の略、エネルギー消費量が多い順に暖房、冷房、除湿、加湿
エアコンは4大要素のうち加湿以外の3要素を兼用、ダイキンのうるさらのみ加湿機能がある
光熱費が一番安い、ドリーム空調機
気密・断熱性能を高めるとエアコンは強運転しなくて良い
床置き型エアコン、ダイキンのフローアなど風対策も可能
光熱費の安い順、エアコン9円、灯油ファンヒーター11円、ガスファンヒーター13.3円、電気ストーブ・ホットカーペット・オイルヒーター・こたつなど28円
除湿もエアコンのドライがベスト
再熱除湿するエアコンが減っている、現在も残っているのは日立と三菱、パナとダイキンはそれぞれ、ちょっと機能が劣るハイブリッド方式、快適除湿モード。
しっかり除湿したい場合は多少光熱費がかかっても再熱除湿は有効
高性能住宅なら間欠運転と連続運転の暖房熱量の差はわずか、カビ、ダニ対策で24時��連続運転が望ましい、連続運転は自動車の5速運転
正しいエアコンの選び方は、定格能力、もしくは定格能力より少し余裕があるくらいで運転するのが最も効率が良い、畳数で選ばない、基準が50年前から変わってなく、高性能住宅なら機能が過剰になる
コスパが良いのは200Vで14畳用の機種
1台で40坪(80畳)くらいは家全体を暖房可能
暖房時は定格能力の0.7倍から0.9倍あたりで運転すると効率的
人の乾燥・湿りの感覚に近いのは絶対湿度
温湿度の夏の目安は27〜28℃で湿度60%以下
温湿度の冬の目安は20℃で湿度50%以上
最も湿っているのは8月
夏冬両方に効果ある対策は2つ
1.潜熱の交換率が高い、全熱交換換気システム
2.できるだけ広い面積を吸放湿性が高い素材で仕上げる
どちらもしっかり数字データが明らかになっているものならば、相対湿度で10%近い改善効果が見られる
ただし、あくまで緩和策であり、理想的な状態にするには加湿除湿は必要
Part.3 窓の強みと弱みを知る
窓の性能はU値が低いものを
暑さの7割、寒さの6割は窓が原因
サッシは樹脂に
スペーサーも樹脂で
YKK APのAPW430(0.91)、330(1.48)、三協アルミのトリプルスマージュ(0.86)、LIXILのエルスターX(0.79)
ビル用の窓は木造住宅用より4倍ほど高いのに低性能
外付けブラインドは必須
オスモ&エーデルのヴァレーマ、YKK APのアウターシェード、サッシのメーカー問わずに取り付け可能、LIXILのスタイルシェード、ケースによっては穴を開けずに設置可能、三協アルミのラグシェード
パッシブデザインとは太陽に素直な設計という意味
庇が無いと窓がコタツになる
屋根と天井の断熱が重要
通風には限界がある
出来ても10月だけ
Part.4 改修に効く断熱と住宅設備を知る
暖かい家に住むと病気になりにくくなるのは世界の常識
戸建の断熱リフォーム290万、マンション中部屋150万、角部屋220万
レンジフードは24時間換気よりも多くの熱をロスする
リビングに給気口があると、冷気を感じることも
同時排気型レンジフードが解決策の1つ
気密性能が並だと、レンジフードが作動していると玄関ドアが開けにくい
IH専用で室内循環式もあり
大手キッチンメーカー2社に提案している
食洗機は日本製だとほとんど45?幅6人分、海外製は60?幅12人分、リンナイのRKW-601Cだと60?幅で10万以内
給湯接続じゃないと安くならない
実用的な衣類乾燥機はガス衣類乾燥機、リンナイの乾太くん、RDT-52S、50分で完全乾燥、1回約50円、60℃以上の加熱でダニ死滅、洗濯機のやつは2時間半で120円
Part.5 設計の本質を知る
断熱のコスパが高い順
窓、第3種換気を第1種換気に、外壁の断熱
快適な温度は頭部が22℃、足元が26℃
ISOでは室内上下温度差を3℃以内としている
床下エアコン暖房が結論、暖房の室温は2℃ぐらい下げられるのて、省エネ
松尾設計だと、晴れた日の昼間は無暖房で20℃、深夜の時間帯別契約だと夜間は昼間の3分の1程度の電気代で、エアコンを動かせ朝から快適
実現には最低でもQ値1.9以下、C値1以下、南からの日射取得を多くし、���西北面の窓は小さくするといった基本ができた上での話
床下エアコンの暖気が大量に床上に出るように大きなスリットも必要、床置き型エアコンを半分床下に埋め込む(耐震への影響は?)
冷房は小屋裏に1台冷房専用のエアコンを設置すれば家全体を冷房可能
小屋裏エアコン24時間作動していれば1階まで効果は届くが、帰宅直後、風呂上がりなど1階をより強く冷やしたい場合は1階の床置き型エアコンを併用
冬至は12月22日ごろ、夏至は6月22日ごろ、最も寒い時期は冬至ではなく1月末から2月上旬、最も暑い時期は8月10日前後
冬至は30度夏至は80度、春分・秋分は55度
配置図に方位と境界線がきちんと描けているだけで上位10%の良識な工務店、既存の隣家の配置がきちんと記載されて、できれば2階の形状、さらには窓の位置までかけているところは1%切る
松尾設計室では、最低でも東、西、南に隣接する建物はプランニングの段階で図面に必ず落とし込んで設計、必要であれば、隣家が落とす影の日影図を書いてシミュレーションする、その上で最も日当たりが良い場所に計画建物を配置し、最も日当たりが良くなるようにリビングをプランニングする
東、西、南側が更地の場合、建築基準法的に最も影が大きい建物が建つことを想定して設計する
建て替えの可能性まで想定してプランニングしている
暖かさを構成する要素は日射取得5割、Q値4割、気密1割、夏は日射遮蔽が大事
太陽に素直な設計3つのポイント
1.建物の外周ラインがやたら凸凹していないか?4辺が理想6辺以内
2.南側が凸凹していないか?建物自体が影になって日射が減る
3.総2階に近いか?最低でも2階床面積が1階床面積の7割以上
夏の日射遮蔽と冬の日射取得をプランニングのよりどころに
浮いた時間を省エネを計算する時間、隣家の状況を詳細に調査する時間、より深くぷらを考える時間、日影図を作成する時間などに割り当てる
南側の窓を増やすと日射取得量が増える
断熱と気密ありきだが
冬は仕様、夏は設計のウェートが高い
パッシブハウスクラスの断熱性能で日射遮蔽がきちんとできていると夏は洞窟みたい
Part.6 対策の効果を確かめる
設計者の力量の差が出やすいのは、自然温度差と実効COP
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大好きなちきりんさんのお勧め本。もうすでに北海道に住んでるので、二重窓や寒さとの関係は、クリアできていた。ただ湿度や暑さ対策では、考えなければいけない事がある。これからの事を考えて、エアコンを設置したのは正解だった。
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著者がYouTubeでも本書の内容を公開している
夏と冬の日射しを考慮し、高気密高断熱な家ならば光熱費はかなり抑えられる
読めば納得
快適な家は確かに存在する。しかし、初期費用に意識が奪われてしまい、そこまで思いが至らない。
建売住宅という選択肢は消えて、注文住宅の一択しかないと背中を押してくれる