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『死んでしまう系』と『夜空は』がシリーズだと知らず、全三巻を読破。今回も最果ワールドが広がっていて、どの詩も愛着が湧いてくる。『愛の縫い目はここ』には今までの詩集よりも、言葉の届け先が明確になっていた気がする。好きな人、好きなもの、世界。最果さんの見えている世界を、私たちも少しだけ覗かせてくれているような気がする。
きっとまた、何年後かにこの詩集を読んだら、今と違う言葉に胸打たれるかもしれない。だからまた言葉をなぞって新しい発見が何度でもできるんじゃないかと思える、そういう詩集だった。
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技術としてのヒステリー。救いがないのに救いがある。愛への絶望が極まって、とても冷静な希望になっているというか。
前作までの着眼点が「死」だったのに対して今作は「恋」かな。ここまでリズムと見目の綺麗な言葉に絞ってものごとの核心をつけるなんてほんとうにすごい。読み応えありました! 最果タヒ、すごい。彼女はこの本で新時代の詩人になっちゃいましたね
最果タヒのいる中学時代を過ごせる子がうらやましい
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「スクールゾーン」と「グーグルストリートビュー」と「赤色の詩」。
それと、「ブラックホールは死にかけなのにね」が好きでした。
最果さんの言葉がすとんと沁み込んでこないときは、まだ心がそんなにヤバくないんだなと思えるので、「精神のバロメーター」として御守りにしたい詩集です。
ここに救いや落ち着きを感じ取り始めるときはかなり病んでいる、というのがわたしのこれまでなので。
何も遺さず死んでいく事も赦してくれる感じがするのは最果さんだけだな。
なんだかんだ言いつつ、「世界は美しいし君も美しい」なのも。否定や拒絶の強い言葉があっても「愛している」が透けてる。
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なんだか泣きたくなってくるんだよね。
時々刺さって、時々許される。
そして、あーわたしの感情はこんな不思議で綺麗な言葉になるのかーってなったりする。
どこまでも近い存在の詩。
いい意味で、ライトなのかもしれないね。
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詩は声に出して読むものだとあらためておもった。
音に出して読むべきものだとおもった。
この本全部を声に出して読んでみて、自分が詩を好きなのは、音が響くからだと実感し、言葉は生きて私の中に入ってきた。日常の中の言葉がこんなにも生き生きとしている。
詩はいいものだ。
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書かれている詩の内容をきちんと理解できている訳ではないのですが、愛しさや切なさ、物悲しさのようなものが伝わってきて、胸がひりひりして苦しかった。読むのをやめられなかった
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詩歌づいている二冊目
いただいた本
詩は小説とは違う頭の使い方。同じようなこと考えていた、ような気になる、たぶん同世代だからか。
花椿や他の雑誌に掲載された作品も載っていて、でもちゃんと覚えているわけじゃないので、「読んだことあるような気がするけどどこでどう読んだのか思い当たらない」という状態に時々なった
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私の、曖昧さを抱きしめる、その一瞬になってくれてありがとう。この詩集に出会えて、よかったです。
心に残った詩や言葉
ビニール傘の詩
恋とは呼べない関係が、川とともに流れている。
私たちの気配を潰していくように雨が降り、
まるであなたが遠くにいるように思える。
ワンシーン
僕の瞳にすみついた、君の欠片を、ぼくは覚えているよ。
12歳の詩
昼間、口のなかに夜がひろがり、甘い気がした。
…
生きるとは星空の真似事をしているみたいだ。
糸
赤い糸は、体の底から何かを取り戻そうとするように伸びて、地上からおよそ5センチのところを彷徨っている。
金の愛、銀の恋、
愛は金色の糸でつながっている、恋は銀色の糸。
ふたつはくるくると絡まりながら、どこかへと向かう、
地球を一周して、わたしの背中に繋がる気ではないだろうか、金銀の水引で、地球をお祝いするつもりかな。
BABY TIME
死後、名前は溶けて光になるよ。だから泣かないでほしい。
誕生日のし
長く、続いていく列車の音を聞いて、
今日も明日もこんなふうに生きていくんだろうと思った。
ガラスの詩
春色とは何色なんだろう、
たぶん透明なんじゃないかなあ
年末の詩
夜は世界が終わるのを待っている子供が、
毛布の中でうずくまっているから始まる。
ひとりでも、明日はいいことがあるかもしれないと、
期待する子がいるから朝が来る、
それだけでしかない365日。
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再読。
ある講義で使うために一つ詩を選んでいたんだけど、いいのがありすぎて迷った。最終的になにを選んだかは内緒。
共有しなくていい感情に同意されるのがわたしは大嫌いで、痛みとか孤独とかに対して簡単に「わかる」って言われると本当に腹が立った。
わからないよ。
少なくともあなたがわかっているそれとはたぶん違う。
あなたが同調した時点でそれは別のものだ。
わかりあえない部分を尊ぶべきだと思うし、大切にしたいし、あるいはしてほしいと思っている。
タヒさんの言葉はそういうものを簡単に理解せずに理解から離れた場所から突き放してくれるから好きだ。
そして抱きしめてくれるから好きだ。
言葉にした時点で自分が前以って持っていた意味とはかけ離れてしまうから。
「千年後、ぼくは泣いている。孤独などなかったこの人生をどうか終わらせないでください。」
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この詩人の詩集を読むのは4冊目です。
今までに読んだもののうちで、先に刊行されたものより、マイルド感が出てきて、鋭さは薄れたような気がしました。
「あとがき」より
あなたの痛みに、わかるよ、と言うことはできない。
でも、誰にもわからなくても、あなたの痛みはそこにあるよ、と伝えたい。私などないまま、あなたの中に、あなたのものとなって、溶け込んでいく言葉を、書いていきたい、私にあるのはそれだけです。あなたの曖昧さを抱きしめる、その一瞬になりたかった。この詩集に出会ってくれて、本当にありがとう。
この詩人が特別、孤独であったり、悩みがたくさんあるわけではなく、そこにいる見知らぬ誰かに向けて書いてくれているのだと思いました。
この詩集の中でそれが一番わかりやすく表現されていると思う詩を1篇紹介します。
「映画館」
映画館で観られるものは全部、きみの隣に座る、一人
で来ている女の子のために作られたものだ、としたら、
その女の子のために花でも買ってあげればきみは世界
一の映画監督になれる。かならず、だれかを幸せにで
きる人になりますようにって幼いきみに、ママが願っ
たから。だから、すれちがっただけだけれど、私はき
みにであえて幸せだったとおもいこむことにした。
ひとはひとを見てはいない。花と花瓶と人の肌を同列
に見て、それでも死はかなしいものだと思うとき、そ
れはすこしだけ願いに似ている。不安だから、その人
が尊いのだということを死ぬまで、信じていたいから、
すべての人の人生が、映画になっていてほしい。
光の束をかきあつめるようにして映画を観る人。きみ
の瞳から光が映写されて、だれかを照らしているとき、
それこそがきみの映画なのだと、気づくまで、生きて。
「ワンシーン」「ハイスピード」「赤色の詩」「ガラスの詩」「年末の詩」「白い花」もよかったです。
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「私などないまま、あなたの中に、あなたのものとなって、溶け込んでいく言葉を、書いていきたい、私にあるのはそれだけです」という作者のあとがきがすごく好きでした。
詩を読んだ人が何かを思い浮かべることや、誰かを思いやること、そういうことを全て含めて作者は愛と呼んでいるのかもしれないな、と思いながら読みました。
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タヒさんの言葉はわたしにとって、陽が沈む前の空に似ていて、そこには切ない光と晴れの日の明るさと夜の静けさが混在するような、そんな言葉たち。
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2021.11.12
好きだろうと苦手だろうと関係があろうとなかろうと、全ての人に対して「あなたはあなたの世界でどうか幸せに生きてね」と思うし「私も私で勝手に幸せになるからね」と思うんだけど、それをより強く感じたなぁなぜか
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2021年の年の瀬、池袋ジュンク堂で出会った。
ピンホールカメラの詩を読んで、涙がでた。
私の中にある、あっていいのかよくわからない感情を肯定するでも否定するでもなく、包み込んでくれる気がした。
そういうことばを届けてくれる最果タヒさんというひとがいることがわかって救われた気がした。
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〝ここ〟ってどこ?
読みながら縫い目を探したけれど、
けっきょく見つかりませんでした。
もしかすると、
ほころびたままなのかも。
だけど、それでいい。
愛なんて求めると悲しいだけだし、
失うのも辛い。
だから、ふりをするだけ。
愛がなにかを知っているふりを。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2