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最近多いタイムスリップもの。終戦記念日が近いこの時期にはいい作品。当時、女性もまた苦難を強いられていたのだ。先人たちの苦労を想像することは有意義だと思う、
あらすじ(背表紙より)
夜勤中に地震に見舞われ意識を失った看護師の紗穂。気がつくとそこは一九四四年のマニラで、さっきまで病室にいた老女の若き日の姿になっていた!困惑を抱えたまま、従軍看護婦として戦争に巻き込まれる紗穂。それでも、持ち前の明るさで数々の理不尽に抗いながら、過酷な日々を駆け抜けていく。反戦の意志と、命を背負った女たちのかけがえのない青春が紡ぐ圧倒的感動作。
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この前一緒に藻岩山に登った親友から帰りがけにプレゼント!っていただいた本。過酷な話なのに不思議と爽やかで元気が出る。ドリカムの晴れたらいいねの歌が出てくるシーン、地下鉄だったのに泣けてきて困りました。娘にも読んでもらおう。
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気がつくとそこは2015年の日本ではなく1944年のマニラだった。看護師の紗穂は従軍看護婦として、持ち前の明るさで数々の理不尽に抗いながら過酷な日々を駆け抜ける。かけがえのない青春が紡ぐ感動作。
同じ人間として生まれても、時代や周囲の環境でその人の価値観は全く異なってくるが、戦争なんて理不尽極まりないものの為に、命を懸けることなんかしたくないのは皆同じなのではないだろうか。紗穂の「誰が始めたかわからない、誰のためなのかもわからない、こんな戦争なんかで死にたくないんです」という言葉に胸を打たれた。
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戦争小説と聞くと、なかなか手を出しにくい人も多いかな、と思います。でも、この小説はとっつきやすい。その理由は文章の読みやすさはもちろんですが、登場人物たちの個性が豊かなことが特に大きいと思います。
主人公で戦時下のマニラにタイムスリップしてしまう紗穂はもちろんですが、タイムスリップした先での同僚たちもいいキャラが多い! ちなみに僕の個人的な推しは民子さん。常に皮肉でマイペースな姿勢を崩さず、主人公だけでなく軍の上層部にもそれは変わりません。看護婦になった経緯もいろいろあるみたいで、彼女が主人公のスピンオフも読んでみたい、と思いました。
看護婦さんが主人公ということで、この小説には医療小説の側面もあります。敵の命を奪う戦争で、場合によっては敵になりうる外国人を救わなければならない場合もあります。作中でそうした場面もあるのですが、ここの書き方はカッコいいの一言につきます。医療小説はこうこないとね。
一方で戦争のシリアスさも描かれます。備品や薬剤、食料の不足、助かる見込みのない兵士たちへの対応、さらに終盤は兵士と同じような密林の行進を迫られます。従軍看護婦といっても、後方での治療がメインだろ、などと思っていたので、この過酷さは意外であるとともに驚きでした。
でも何と言っても驚きだったのは、彼女たちのほとんどは、軍の病院に所属しているなど仕事のため、あるいは志願してきたわけではなく、国から召集されてきたということ。
この小説では描かれていませんが、きっと戦地で亡くなった看護婦さんもいるのでしょう。あるいは帰っても、家族が亡くなっていた場合も…
主人公は日本軍の「捕虜になるくらいなら自決をせよ」という考えを真っ向から否定します。それはもちろん、この考え自体のバカバカしさもありますが、それぞれに帰る場所があるということを、考えていたからだと思います。
兵士を主人公とした戦争小説とは、また違った視点から戦争を考えました。
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この著者の作品は初めて読む。
先日、ノンフィクションの『ポツダム看護婦』(https://www.amazon.co.jp/gp/product/B074CGPH1J?ref_=dbs_r_series&storeType=ebooks)をよんでいて、その流れで引っかかってでてきたものだと思う。
現代日本で看護師をしている女性が、高齢の女性患者を看ていると、彼女の青春時代--太平洋戦争末期の昭和19年、しかもフィリピン・マニラに飛んでしまう。
ラノベ界では異世界転生、転移モノが長く大流行りだけれど、戦争モノを描く際にも実はこの転移設定、よく見かける手法だ。
そう、それくらい、現代からみたら、70余年前はもう”異世界”であり、非現実なのだ。その時代を生きた人々はまだご健在で、歴史と呼ぶには近く、かといって昨日のこととは呼べない、過去である。
転移してしまった看護師の紗穂は、漫画の仁先生のように、新しい医療知識で人々を救うわけではない。
この時代の人々と、今の我々に決定的に違うのは、ものの考え方の自由さである。紗穂は、唯一知っている歴史的事実、8月15日に戦争が終わること、この時代では許されない、というより自然発生しないはずの考え方、「その日までを生き抜く」という意思をもって、仲間たちと生きていく。
ノンフィクションではないため、少し浅いなと思われる個所も何か所かあったし、なぜ紗穂が無関係の老女の過去に飛んでしまったのか、そして彼女が転移してしまった事実はきちっと未来まで残っていたわけで、仲間たちはどう思って平成時代を迎え、『晴れたらいいね』を聴いたのか…なんて気になる部分も多数。紗穂が戻る部分前後が最も過酷だったはずで、どうやって日本にゴールしたのか、も気になる。。。
戦地の看護を描いていながら、表現もライトで戦争モノをあまり読まない人にとっては導入としていいのかな。私としては物足りない、言いたいことがあまり明確でない感じを感じた。
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夜勤中に地震が起こり、気づいたら1944年のマニラにいた紗穂。しかも、自分のことを皆が「雪野」と呼ぶ。それは、直前に介護していた老女の名前だった!
というタイムスリップものです。
反戦小説とはいうものの、ティーン向けのかなりライトな感じです。
以下ネタバレ含みます。
タイムスリップしたからと言って、さほど現代の医学が活かされるわけではなく、むしろ「平成」という時代の「平和」と「平等」が異質なものとして語られる。
私たちにとってのその人権とかその感覚こそが糧として紗穂を支え、当時の人たちを勇気づけるというまぁちょっとあれですが、このくらいはよいかと。
最後がちょっとバタバタで気になりました。
元に戻った雪野のことをみんなどうおもったんだろうか、とか。
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晴れたらいいねのフレーズが暖かく心に残りました。解説も良かった!岩代伍長への啖呵切るシーンは解説の通りそのためにこの設定にしたんだと思わせるに十分でした。良いお話でした。
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看護師の紗穂は大きな地震で気を失い、目が覚めると1944年のマニラで従軍看護婦・雪野サエになっていた!戦争を知らない世代の目線から描かれた戦争体験は、現代の中高生の感覚と近く共感しながら読めるのではないでしょうか。文庫本も出ました。映画化希望のおすすめ作品です。
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突然、第二次大戦中のマニラへタイムスリップした紗穂。ひとまず日赤の従軍看護婦・雪野として生きることにしたが、傷つき運び込まれる人たちの治療に追われる毎日。
「元の世界に戻れるまでーー」
「終戦を迎えるまでーー」
死と隣り合わせの過酷な環境の中、共に生き抜いてきた従軍看護婦や陸軍看護婦たちとの絆。親友の三津、菅野婦長、佐治軍医の存在の大きさははかりしれない。
時代が変わっても自分を失わず、周りに明るさや希望をもたらす紗穂の強さがまぶしい。
初めて知った親友 三津の思い、
戦友会の写真、
表題「晴れたらいいね」の意味に思いを馳せ、目頭が熱くなりました。
『お国のために命を懸けて』
そんな戦時中の思想に対して、紗穂の言葉が深く、重く、心に刺さりました。
『私は、自決なんて絶対にしません。命が尽きる最期まで、この命を守りますよ。(中略)
私には…私たち班員には、会いたい人が日本にいるんです。まだまだこの先やりたいことだってたくさんある。誰が始めたかわからない、誰のためなのかもわからない、こんな戦争なんかで死にたくないんです。』
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紗穂が言うように、ヘイセイにも(レイワにも)辛いことはいっぱいある。でも、戦時下の辛さを考えたら、我々はなんて幸せなのかっていうこと、改めて知ったし、知らなければならないと思った。
『彼女たちの知らないところで始まったこの戦争で、ひたすら人を救うために働いてきたあなたたちを、私はやっぱり誇りに感じている。あなたたちは戦争に加担などしていない。むしろ人が傷つくような戦いを憎んでいた。それを口にできず、どれほど苦しい思いをしながら立ち向かってきたことだろう。』
この時代に生きた方々が戦後の復興を果たし、今の日本を形成してくれたことに敬意を示したい。
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夜勤中に地震に見舞われ意識を失った看護師の紗穂。気がつくとそこは一九四四年のマニラだった。従軍看護師として戦争に巻き込まれながらも、何事にも前向きに取り組む主人公に感動します。
何より史実に基づいて書かれているのでリアリティがあります。従軍看護師に関して、戦争末期のフィリピンに関して調べてみたくなりました。
藤岡陽子さんこ作品は初めてでしたが、もっと読んで見たいと思いました。
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どっちが先かわからないけど、大学の文学部と看護専門学校を卒業した、と著者の略歴に書いてある。看護師さんたちを題材にした作品が多い人みたいですね。初めて読みました。
毎年8月には、梯久美子さんとか、大戦を扱ったノンフィクションやルポを読んでいますが、これはフィクション。現代の女性看護師が、過去にタイムスリップして太平洋戦争の現場に巻き込まれるっていう設定なので、ちょっとファンタジー(?)でもあり、いやいやいや…タイムスリップって…と思ったけど、だんだんと引き込まれて読むことができました。
従軍看護婦の若い女性たちは、お国のために尽くそうと、マニラで奮闘している。そこへ紛れ込んだ、平成からやってきた紗穂。「万が一の時にはこれで自決せよ」と、手りゅう弾を渡されたときも、「そんなことしません!」と宣言。他の看護婦たちは、だんだんと紗穂の影響を受けていく。
戦争は、老若男女問わず、あらゆる人を巻き込んだけれども、従軍看護婦という形で戦争に巻き込まれたということ、命を救うために従軍した看護婦が、命を救えない状況にどう立ち向かえばよかったのかということ。そして、紗穂が未来からやってくるという設定は、読み終わってみると、ただのファンタジーではなく、「あと〇日で戦争が終わる」と知っていれば、死なないで済んだかも知れない命がたくさんあったということだ、と気づかされる。その夏。「この戦争に終わりがある」とか「降伏する」という考えを持つことが許されなかった、弱き存在の人々が、無意味に命を落とし続けていた。
ほかの作品も読んでみようと思います。
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看護師の紗穂は夜間見回り中に大きな地震に襲われ、見回り中の部屋にいた患者の雪野サエとなって1944年のフィリピンへとタイムスリップする。
日赤の従軍看護婦として、友人の美津に助けられて過酷な日々を生きていくことになる紗穂。
間もなく終戦がやって来る。それまでは何としても生き抜いて日本へ帰るのだと言う強い気持ち。
タイトルの「晴れたらいいね」はドリカムの歌らしい。山中を歩いている時に紗穂が歌ったこの歌が、仲間たちの励みになった。
友人の美津の日記の最後のページに書かれていたのは
「わたしたちの未来は、晴れたらいいね」
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読みやすいはずなのになぜか、一気読みできず読み終えるのに2ヶ月ほどかかってしまった。
現代にいきる看護師紗穂が、戦時中のマニラにタイムスリップし、従軍看護師として生きていく話。SF小説と思われるかもしれないが、そうではなく、現代を生きる女性の目を通してみた戦争の悲惨さ、そして無意味さを訴える小説である。
しかしながら、主人公紗穂の持ち前の性格から、常に前向きに生きようとしている姿に心を打たれる。
「晴れたらいいね」って、その「晴れたらいいね」だったんだね!と、途中、はっとさせられる。
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子ども向けかと思うようなスタートでしたが、途中からは涙が止まりませんでした。やっぱり良い人がたくさん登場して、悲惨な状況の中でも深刻なトーン一色にはならず、前向きなエネルギーが途切れることのない感動的なストーリーでした。
この本は日本人から見た戦争の話ですが、以前マニラに行った際に現地の方から聞いた話しを思い出しました。「フィリピンはスペイン、アメリカ、日本と3回外国に支配されたが、スペインはキリスト教を、アメリカは英語を残してくれた。日本は…」とても恥ずかしい思いをしました。
戦争大好きな極右政党自民党の皆さんはこの本を読んだらどんな感想を持つのでしょう。安倍晋三さんも高市早苗さんも自分に命の危険が及びようなことはないでしょうし、子供もいないので最前線の兵隊の命なんて考えたこともないのでしょうね。