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狼と香辛料.第二世代の冒険の3作目。徴税権と新大陸を巡るゴタゴタに巻き込まれる話。現在も手形がぐるぐる回る話はあるが、国が徴税権を売り払う話は昔からあったんだなあ。
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『狼と香辛料』という壮大な絵巻を描き切ったからこそ、この『羊皮紙』でホロとロレンスが歩いてきた軌跡をなぞるようなこの物語は胸にくるものがある。さらにこの3巻では『香辛料』では描かれなかったもう1つの世界が存在することが明かされる。辛い世界からは目を逸らす老獪さを持っているホロとは違い、ミューリはどんな世界だってこの目に納めてやろうというお転婆ぶり。僕はこの物語を、中世ヨーロッパの動向をなぞりつつ宗教改革の中でコル坊とミューリの奮闘を描いていくものだとばかり思っていたため、今回描かれた新たな可能性にはワクワクしないわけない。でもね、もし新大陸編を書くならこの物語が完全にファンタジーになってしまいそうで。『狼と香辛料』の魅力って中世ヨーロッパの商業を舞台に、その裏で存在したかもしれない"人ならざる者"とそれに惚れた青年とが人目を偲びながら育んだ言わば背徳的な恋愛模様だったわけ。それが"人ならざる者"が当たり前に存在している世界のお話になってしまったら、それはなんか違うなぁって。まあ、ファンの勝手な戯言なんだけど。
エーブ、ヒルデと懐かしい面々が登場してきて、『香辛料』をより感じられるようになったこのシリーズ。早く4巻をば。
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最近定番の水戸黄門の印籠のように奇跡を起こして何とかするパターンではないのはよかったのですが,今回最後まで成り行きと他人頼みで特にコルもミューリも役に立たず,旧シリーズのような緊張感の中での逆転劇のような展開が無いのが残念.
コルはロレンスほど狡猾さはなく,ミューリはホロほど老獪さもないので仕方ないのかもしれないけど,旧シリーズからのファンとしてはちょっと物足りない.
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前巻がなんとも苦しかっただけに、今巻に流れる前向きな雰囲気がとても嬉しい。
うん、こういう話が読みたかったのだ。
それにしても、当初からの宗教改革に加え、新大陸とさらには月を狩る熊とは。
なんだか一気にスケールが大きくなってきたなあ。
二人が新大陸にわたって月を狩る熊と対峙するなんて展開がもしかしてある?(さすがにないか)
やっぱり若い二人の物語なので、「狼と香辛料」に比べ、冒険の無謀さ加減も大きくなってくるのかな。
しかもコルに二つ名まで付いちゃって!
これはもしかして英雄物語になってしまうのだろうか?(笑)
ちなみに今回のコルはヘタレでは無かったので名誉挽回だ。
こうやって人は成長していくんだね。
最後の危機は、まあ、すんなり終わると思ってなかったので予想通り。
この後、羊さんとの絡みもまたあるのかな?
あと、いろいろ懐かしい名前が出てきてそれも嬉しかった。
半分は商人の話だったところも、ある意味懐かしい。
ということで、次巻も楽しみに待とう。
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青臭い理想だけを胸に旅立ったコル坊と、兄様への想いだけを胸に彼の後を追ったミューリですが、聖典の俗語翻訳や聖職者の結婚などの宗教改革、そして新大陸など、ホロとロレンスが旅をしていた頃はぼんやりと「中世」だった舞台が、現実の世界史とうっすらとリンクし、そこにどうやら新大陸に渡ったらしい「月を狩る熊」が絡んで、話がずいぶんと大きくなってきました。
そんな中でも、ミューリのかわいさは相変わらず…どころではなく、一層パワーアップしています。これまでは単に元気に跳ね回っていただけだったのが、この巻では恥じらい、例えば裸で髪の毛を洗われるのはなんとも無いのに尻尾を洗われるのは恥ずかしい、だとか、コルとのこれまでの関係を改めて一歩前に進むことを望むのならば、まず「兄様」って呼び方を変えてみよ、と言われて試そうとして「うぅぅぅ……こんな、だって……コっ……トっ……!」と口ごもる様子とか、そんな気持ちの萌芽が見られて、読んでいるほうとしても一緒に恥ずかしがったり歯痒かったりして転げまわるなど、ラノベを読む楽しみを満喫させていただきました。
一方で、夢見がちなワナビーという典型的なダメンズだったコル坊ですが、「立場が人を作る」の例のとおり、「薄明の枢機卿」という二つ名が一人歩きしている後ろを付いて歩いているうちに、人を疑ってみることや人脈を十分に活用することなど、まだまだ途上ではあるものの世慣れてきた様子が見えます。特に、やられた相手にやり返すその方法が秀逸(おそらくロレンス譲りですね)で、絶妙に意地悪です。
ただ、プロットが「旅行先で起きている問題を解決する」という「水戸黄門」モードなのは相変わらずです。これと、ミューリが食べているものがいつもいつも美味そう(骨せんべいはビールがいくらでも飲めそうです)なのはもう様式美として受け入れたほうがいいのかもしれません。
あと、この巻では「あの金髪」に加えて魅力的な羊娘(イラストの虹彩が羊の目になっているのが笑えます)が登場し、一方でデバウ商会のヒルデさんとか、エーブ・ボラン(名前だけですが)といった懐かしい名前も現れて、新旧のキャラクターが充実してきました。羊娘が出てきたんだから、羊飼いのノーラさんも出てこないかな…とか、エーブ・ボランは、そう言えば羊毛で勝負して財を成したんだっけ、と思いを馳せたあと、当時の女性キャラは、みんな結構な年になってることに気がついて愕然としました。今後、ご本人達が出てくるのかどうか気になります。ロレンスはおっさんが結構板についているようですが、女性キャラたちはどう年齢を重ねているのでしょうか。
さて、ミューリとコルはいよいよ英国国教会のお膝元、「メイフラワー号」の出航地であるイングランド(を模したと思われるウィンフィール王国)で活動を開始します。
1巻の時点で、旅立ったコル坊の動機と、「禁欲の誓い」から「プロテスタントとして新大陸に渡っちゃうんじゃね?」なんて思っていましたが、本当に新大陸の話が具体性を帯びてきました。ただ、足跡が地形に見えるほどの「月を狩る熊」も新大陸に向かったそうで、そんなに風呂敷を広げ��ゃって大丈夫なの?どうやって畳むの?って思います。イレニアさんは腹を括っているようですが、コル坊もミューリもそこまでの固い意志はないようですし…。
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ようやくすこし面白くなった。したたかで可愛い羊の商人と、クジラ聖人、それに鳥たちも活躍。ミューリとコルのキャラが弱めなので、周りを濃いので固め、コルもミューリも周りに助けられて問題を解いて行くというパターンが安定。これだったら続きも読みたい。