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経済と芸術に何の関係があるんだろうと思って読み始めた。また、水野さんのいう「蒐集」という概念が気になっていたことにもよる。二人の専門家による対話は興味深く、大変勉強になった。素晴らしい!
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日本で最初の、現代美術専門画廊「東京画廊」。
その2代目社長である山本豊津の著作『アートは資本主義の行方を予言する』が、「興味深い内容だったなあ」と強く印象に残っています。
https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4569826172
その山本が対談した内容が新書になっていると知り、読んでみることにしました。
まず第1章では、対談相手であり『アートは〜』に感銘を受けたという大学教授水野和夫が、利率の長期的なトレンドグラフを提示して、「近代資本主義は終焉を迎えている」という自説を提示しています。
第2章から第7章が、二人の対談。
経済と政治体制、そして芸術を中心に、主にヨーロッパの歴史を追いながら、話が展開していきます。
そして最終第8章で山本が総括する、というのが全体の構成。
以下に、特に印象に残ったキーワードを書き出します。
・宗教と自我
・蒐集と利子
・芸術が扱う題材と、芸術家の評価の変化
・永続性および空間の無限性と、資本主義との関連
自分自身これまであまり関連が見出せていなかった事柄について、点と点が線になり、線と線が面になるような”気づき”を、かなり得ることができました。
経済や美術について、このような視点で考えることができるのですね。
知的好奇心を、大いに刺激された一冊でした。
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借りたもの。
経済の流れを見れば世界史が分かり、それらをアートは描き出している。アートの価値はそこにある。
私は美術史を学んだ身だが、政変と美術の流れはあまり密接に感じていなかった。それがこの本を読んで経済という流れによって繋がっていく…!
ウェストファリア条約によって、近代国家の基礎が作られる…
富の蒐集からビジネス――資本主義による利益、利子の増殖――という概念への変化が、アートにも影響、反映されていることを読み解いてゆく。
閉じた世界と開けた世界、陸と海という対立構造は、
蒐集が価値を生み、信用が価値を増速させるという視点から、アートの価値が紙幣経済の変化系となる様を映し出す。
蒐集の象徴であったアートが、投資・投機対象になる。
ダブついたお金の使い道、使いどころとしての“ビジネスモデル”となっていく様が映し出される。
正にアートは“今”を映していた。
徳光健治『教養としてのアート、投資としてのアート』( https://booklog.jp/item/1/429540294X )とも併読。
映画『アートのお値段』( http://artonedan.com/ )の根底にあるもの。