投稿元:
レビューを見る
ほぼ会ったことも無いロンドンで独り亡くなった大伯母、玉青が雄哉に東京の屋敷を遺したという。会社で若くして成功していた雄哉だが、思わぬ事で職を失う。十六夜荘の住人と、異端児と言われていた伯母の過去を調べるうちに、自分の立ち位置や価値観をも考えていく…。読んで良かったと思える本だが、雄哉が三木や榎本、前の会社の奴らがギャフンといえる転身を遂げる…展開も私は欲しかったなー。だってさ、悔しいじゃん、やられたままってさーー。
投稿元:
レビューを見る
今の自分の価値観は絶対ではないのだな、と改めて思った。
いつの時代も周りの評価や価値観に左右されず、自分の芯をしっかり持って、好きなように生きなきゃね。
戦争や大災害なんかで、世の中いっぺんでひっくり返ってしまうのだから。
月が満ち欠けするように、見えてなくても確かにある大切なもの。
暗いからこそ、周りの輝く星がよく見えるってこともあるのだな。
投稿元:
レビューを見る
すごく好きだった…どの時代も生き抜くって大変だし1人ではできない、そのことに気づけたら素敵だな。誰かが自分のために生きているように、誰かのために生きたい。人生、山あり谷あり、満ちたり欠けたりする月と同じだったんだ…!
投稿元:
レビューを見る
十六夜荘の歴史と大伯母・玉青の一生に、強く引き込まれた一冊でした。
玉青が激動の戦前から戦中、戦後を、華族という身分の時代の変化に怯むことなく力強く生きた様、十六夜荘に込める半端ない想いに、私の中にあるものを全部持っていかれたように引き込まれ、途中から一気に読み終えました。
"満月の後、少し欠けた十六夜。人も月と同じで満ちてくときもあれば、欠けてくときだってある。だからこそ、周りの星の輝きに気づくことができる。"
タイトルに込められたメッセージが素敵で素晴らしかったです。
また、玉青と十六夜荘の歴史を知るうちに、そのことと、もう1つ大事な事に気づいた雄哉の変化する様も大変興味深いものがありました。記憶は自分だけのものではなく、自分が忘れていることが、周囲に影響を及ぼしていることもある。
私も一緒に、これらのことに気づかされました。
さすが、「マカン・マラン」シリーズを書かれた古内一絵さんだなぁ。
なんだか十六夜荘にシャールさんがいるような気分になりました。
投稿元:
レビューを見る
映画を一本観たような。
読み終えた今、頭の中に映像があるし、音もある感じ。
繋がっていく昔と今、人と人、残すべきもの。
投稿元:
レビューを見る
突然、あまり記憶にない、大伯母の玉青から、高級住宅街に建つ「十六夜荘」を相続することになった雄哉。でも、十六夜荘には個性的な住人がいて、平行線のまま。
玉青の生き方と同時進行で進んでいき、最後は謎が解ける。いつの時代も生きるのって大変だな。と思った。引き込まれるようにあっという間に読めた。
投稿元:
レビューを見る
もの凄くよかった。
感覚フル動員で楽しめた小説。
ある建物に関わるひとりの女性をキーに過去編と現在編が収束していき、タイトルの通り一冊の「ノート」でもって結実する大河小説。
全編とても映画的というか、場面の空気・音・色彩が鮮明にイメージできる文章。
特にp55、月明かり差し込む離れで兄妹ふたりが会話するシーンはとても静謐で美しい。
一転してp209〜215、空襲で爆弾が降り注ぎ命の危機迫る最中に玉青とせいちゃんがダンスを踊るシーンは屈指の名場面だと思う。ハードで理不尽な状況に対して「自由」を掲げ膝を屈しない姿は本当に力強く感じられた。
沢山の文献を参照されている通り、戦後闇市の
描写も実に雰囲気がある。バイオレンスで煤けた街の様子がありありと目に浮かぶ。
現代パート・雄哉(と拡)の変化が性急に感じられたのは確か。あんなにリアリストでバリバリの仕事人だったのに、きっかけひとつで急に鳥や虫や草木の美しさ・豊かさに目覚めるのはちょっと笑ってしまった。
拡が本編最後の発言を担当するなんて。しかも当初と印象が全く違う。
p332、淡々とした形で画学生達のその後が明かされるのも却って胸にしみる。ここは一番涙が込み上げてきた。
古内一絵先生は初読みだったが、ぜひとも他の作品も読んでみたくなった。
1刷
2021.9.9
投稿元:
レビューを見る
大叔母の遺した十六夜荘を相続することになった主人公。
そこに住む住人達を追い出すために調べ始めた過去だったが、大叔母の生き様は、ただただ凄かった。
投稿元:
レビューを見る
戦中戦後の世の中で「確かな自分」を持って生きるのはとても難しかったと思う。けれどもそれを貫き通した玉青さん、兄の一鶴さん、離れに集まるみんなの生き様がとてもまぶしい。
その生き様は世代を超えて、姪孫の雄哉につながり、雄哉は自分を見つめ直し、「自分」を取り戻そうと一歩を踏み出せた。
自分自身「確かな自分」を持って生きているだろうか?と自問自答した。
周りをかえりみずにがむしゃらに働いて、ただひたすら上を目指す。そんな毎日は薄氷を踏むようで少しでも踏みはずしたら終わる。
自分は体を壊して思い知った。
文中で特に印象に残った言葉
「人生は所詮気のせい」
「人も月と同じで、満ちてくときもあれば、欠けてくときだってある
満ち欠けがあるのが自然
欠けていくのも満ちていくのも、結局は同じこと」
「他人の判断のほうがよっぽど曖昧だ」
「有名とか無名とかってのも、結局他人の判断」
これらはスッと自分の中に染みこみ、気持ちが楽になるのを感じた。
これからも人生は続く。「確かな自分」を持った人生を送れるよう、自分なりに進んでいこうと思えた、素敵なお話だった。
投稿元:
レビューを見る
他のブクログの方の評価を参考に、図書館で借りて読んでみた。涙ながらに読了。実に深くいい話だった。
バリバリやり手のサラリーマンの雄哉の元に突然都内のお屋敷の遺産の話が舞い込む。大叔母の遺産だ。
シェアハウスになっていた古屋敷を、最初は住民を立ち退かせ即座に売り払うつもりでいたが、そのための調査を進めるうちに真実が見えてくる。
並行して、別の話も描かれる。
昭和初期の貴族の娘は、まっすぐな生き様を示しつつも、戦時、戦後の時代の流れに翻弄され、愛する兄や友人と離れ離れになり、家屋敷も奪われてしまう。
気丈にも家を取り戻すために、当時の理不尽と闘っていく。
あまりにも異なる二つの話が合わさっていく。
得ることで満ちる月、失うことで欠ける月。
十六夜に込めた意味は物語が合わさった時に、人生の考え方として読む人それぞれの中に違った形で落ちるのだろう。
投稿元:
レビューを見る
今、現在進行形でウクライナの戦争のニュースを見る時、この小説の80年前の第二次世界大戦中の日本での戦時の描写がすごく身近に感じていたたまれなくなりました。百年近く経っても戦争は似たような状況で、苦しむのは市井の民で、人間って愚かしいと、なんにも変わらない結果に胸が痛くなりました。
投稿元:
レビューを見る
あらすじ
現在。飲食店プロデュース会社で働く雄哉は、知らない大叔母から遺産を継ぐ。高級住宅地の大きな屋敷、十六夜荘だ。しかし、シェアハウスとして住んでいる住人はバックパッカー、学生、外国人、売れないミュージシャン。さらに建物自体は古すぎるため、退去させようと画策する。
戦時中の改装。屋敷の住人、玉青は華族の娘であるが、教職に就こうとしている。兄が伯爵を継いでいるが、屋敷を若き画家達に開放し、自分もピアノを好む。しかし、だんだん戦況が厳しくなってきた。
面白かったー。柔らかい文体で書かれているのですいすい読めるけど、こうして振り返ってみると、玉青パートでの画家達が印象深い。売れない、認められない、戦時中だから展覧会にも来てもらえない。でも自分の描きたいものに向き合っている熱意がすごい。作品の終わりになると、玉青の兄の戦死、他の仲間の別れが書かれていて、やるせない。作品全体は希望のある終わり方。
投稿元:
レビューを見る
ある日突然、面識のない大叔母・玉青の遺言で、高級住宅街に建つ"十六夜荘"という屋敷の相続権があると知らされた主人公・雄哉。
しかし十六夜荘は現在、ほぼ利益など出ないシェアハウスとして運用されており、雄哉は住人たちを追い出そうとする。
一方、謎の大叔母・玉青の若かりし頃が、雄哉の生きる現在と交互に描かれる。
果たして、玉青が雄哉に十六夜荘を遺した真意とは?
華族に生まれ、戦中にあっても芯を失わず前を向く玉青には、気高さと強さを感じました。率直に凄いなと。
ただ、自分の祖父母らの第二次大戦の話をかつて聞いた身としては、やはり玉青の環境は一般人のそれとは違うよね……と感じ、なんだかなあと、もやっとした読後感になってしまいました。
古内さんの他の著作はとても好きなんですけどね。
投稿元:
レビューを見る
文章が好き ◯
作品全体の雰囲気が好き ◯
内容結末に納得がいった ◯
また読みたい ◯
その他
本当に自由に生きるための勇気。
「乙女チック」な内容かと、さらっと読み流すつもりが、後半予想外の展開。
投稿元:
レビューを見る
歴史のつながりと人のつながり。見えなかったものが、見えるとき、そのぬくもりを感じることがある。知らないことは、悪くないが、知ることで前に進める。過去の人とのつながりは確かにある。