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バリバリと音がしそうな程に働く大崎雄哉は、大伯母「玉青」の遺産として、十六夜荘の相続人となる。十六夜荘には訳の分からない住人がいて、雄哉の記憶にない大伯母は、親戚から「変わり者」と評されている。
戦中の玉青の話と、現代の雄哉の話が交互に進む。
パワハラで仕事を失った雄哉は、相続のための手続きを進めるが、疎ましく思っていた十六夜荘の住人と関わるうち、亡き大伯母の想いを知る。
戦時中の軍人たちの振る舞い、戦後の食糧不足や混乱、ショックな表現も多かったけど、最後の小野寺教授の告白では涙が出たなぁ。
雄哉は仕事無くなって大変かもしれないけど、遺産だけではない大きなものを得たのでしょうね。
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十六夜荘というお屋敷を巡って
現代と昭和初期の第二次世界大戦あたりの時代が
交互に進められています。
本当の豊かさとは何なのか、人生とは生き方とは
などエリート人生まっしぐらの雄哉と
大伯母にあたる玉青の物語を通じていろいろ
考えさせられました。
戦後大混乱の中、家族を背負っていきぬいた
玉青さんや家族、仲間達
平等でもなく理不尽すぎる世の中に
押さえ込まれながらも温かさや、人としての尊厳を曲げず一歩一歩歩く姿に惹かれ
今現在
そこに住む奇妙だけれど、真っ直ぐに生きている住民達にいつしか心動かされ、雄哉も自分の心や
居場所を見つけていく
そんなお話です。
毎日毎日追われるように生きる人生だけど
一度しかない人生
たまには
空に向かって大きな深呼吸をしよう。
それだけでも幸せな気分になります。
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とても面白かった。中盤あたりから止められなくなりあっと言う間に読み切ってしまった。戦前、戦中、戦後、そして現代。みんなみんな、悩んで藻掻いて愛されて生きている。人も月と同じで、満ちてくときもあれば、欠けてくときもある。とても刺さった言葉だった3.7
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力作ですね!
現代青年の雄哉は 仕事バリバリ人間
無駄は嫌い 出世と仕事だけの人
そこに東京の一等地 十六夜荘が 大叔母によって譲られる
面識もない人 と思う
そこから雄哉が会社を辞める
周りで働いている人たちの気持ちを理解するゆとりもなかった。
現代の生活と
大叔母の玉青が生きた 戦中戦後の世界が交互に描かれる
会社を辞め 自分が認められている存在だ という
プライドは なくなっていく。
十六夜荘に住む人たちは超個性的で 雄哉には理解できなかった。
自分のプライドがなくなっていく分 十六夜荘の人たちを受け入れることができるようになっていく。
玉青さんの生き方はかっこいい
最後に ひとりで生きてきた気になっていた雄哉が
実は 愛されていたんだ と気がつく
ドラマになっても映画になっても よさそうな本です。
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図書館で。
遠い親せきが残した不動産賃貸業をいきなり受け継ぐことになるって大変だな、と思いました。その場所を残して行きたいのであればもっと早くアクションを起こすべきなんじゃないのかなぁ?外国にいるオバサン?が無理なら代理人でも、住民でも。でも多分そういう話ではないんだろうな、という事は分かったので途中で断念しました。
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戦時中や戦後の華僑の人たちの様子がよくわかる感じで書かれているなぁと思って読んでいたら、著者は中国語の翻訳者をされていたのですね〜。
人も月の満ち欠けと同じで、ずっと同じではいられなくて、欠けていく時期っていうのもとても大事なもんなんだなと。
欠けていく時期だからこそ気づけることもあって、人の評価を気にするのではなくて、自分にかけられた想いを感じていくというのが大事なんだなと思った。
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『百年の子』を読んでからこれを読んだら、過去と現在を交互に描いて、主人公が(読者が)知らなかったことを読み解いていく方式が同じだった。
雄哉が生きる現代と、玉青の生きる昭和、戦争の時代がフラッシュバックしながら、物語が進む。
雄哉が疑問に思っていることや、困っていることが、玉青の時代にスイッチされると理解できるようになっているので、混乱することはない。
もちろん、物語の素晴らしさがその手法によって損なわれることはない。古内さんならではの、魅力あふれる個性的な人たちが次々と現れて、ドラマを作っていく。
以下、ネタバレあり。注意。
玉青と雄哉が出会うこともなければ、雄哉が玉青の人生を知ることもないまま、物語のラストで意外な人物が現れる。
安心した。この人物が大叔母のことを知る限り雄哉に語ってくれるだろうから。
安易に恋愛で幕引きしたりしないところ、雄哉の人生を決めつけない終わり方にも好感が持てた。