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初めは、個人の紹介が多くて、退屈した話が続き、戦闘がない日の軍隊の退屈な生活の日々、便所の便を受けるドラム缶の処理などは、如何にも嫌な任務だった。初めは、退屈だったが、戦闘が始まり、記述がそこに行くとそこに居合わせた人しか書くことができない。緊迫した状況が伝わってきた。また、まだ、20代で、若いのに、戦闘で足をズタズタにされて、満足に歩くこともできなくなり、また、20代で、戦闘で、命を落として、戦争とは、悲惨と思った。しかし、この著者が書いているように、相手のタリバンの死体を見ても、何も感じないと書いているが、色々理由があるだろが、他人の国に勝手に上がり込んで、戦争を始めて、人殺しをして、また、時に、民衆を巻き込んで、人殺しをして、敵のタリバンがどんな悲惨な死体でも、何も、思わない。また、どんな傷でも、何も感じない。これが、アメリカの考え方、あるいは、兵士の考え方と思った。しかし、この戦闘が終わってから、この悲惨な結果について、分析して、この現場の責任者だった司令官の責任をきちんと問題にするということは、ここにアメリカの合理性とアメリカの軍隊の強さの理由を見た気がする。どこかの軍隊みたいに、下にばかり厳しくて、上の指揮官に甘かった、どこかの軍隊とは、大違いと思いました。
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アフガン物の戦記。兵士レベルの視点での生の戦闘体験。読んでいる者を戦場のど真ん中に置くようなリアリズム溢れる戦記ものだった。仲間がどんどん撃たれて死んでいく中での兵士の精神状態や極限状態での行動など非常に克明に描かれていた。米軍軍人特有の考え方なのかもしれないが、仲間の遺体を絶対に確保する、そのためには生きている兵士を犠牲にしても構わないという価値観は日本人である我々には少し馴染めない価値観かもしれない。まさに文化の違いだろう。
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激しい戦闘の中でよくもこれだけ正確に記録が残せたものだと感心する.まるで自分が戦場の中にいるような臨場感!何をいえば,日露戦争時代に日本に近代戦が生まれたときに作られた術漏斗孔とか砲掩体壕とか難しい言葉が多い.言葉の使い方もちょっとおかしい.強いものが弱いもののところに来て暴力をはらうことを蹂躙というが,軍隊が敵の基地を攻撃するのは蹂躙とは言わないと思うけどなあ.
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手に汗握る戦争もの.この本の内容は素晴らしいの一言に尽きる.写真もたくさんあって一人一人の兵士が生きていることを実感させられる.だけどそもそもよその国にこんな基地を作ることの是非を問いたい.
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すでに目的が何なのか分からなくなっているがやめられない戦争。タリバンがアフガン全土を掌握したあとに読むとますますそう感じられるが、本書の舞台である2009年時点でも「おれたちのキーティングでの任務は、このMRE(携帯口糧)をクソに変えることだ」というくらい泥沼化も見えていた。それでも前線の兵士にとっては上官に疑問をぶつけるのが仕事ではない。
第二次大戦後の日本でも戦友会は一種のセラピーとして機能しているとの指摘(保阪正康?)があったが、本書も著者にとって、戦場の霧を少しでも晴らし、あの日に何があったかを整理・記録して外に吐き出す意味があったのでは。
異常に好戦的なやつとか、隠れていた自軍のアフガン人通訳を見つけて撃っていいいか聞くやつとか、日常生活では関わりたくない連中が優秀な兵士とされる。限られた人数の職業軍人(それも貧しい出自が多い)を何度も繰り返し海外派兵しなければならない状況。それでも極限状況下での兵士たちの連帯は単純に胸を打つ。
しかし四方八方から好き放題に銃火を浴びても持ちこたえるのだし、そんな前哨を何年も維持していただけでも彼我の戦力差はとんでもない。タリバンはどんなつもりでキーティングに全面攻勢をかけたのだろう。航空支援が来たらそこまでなのは百も承知のはず。もっと短期決戦にすべく果敢に突撃できなかったのか。そんなこと考えても仕方ないが。
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絶対に映画になるでしょ!と思ったらあとがきにもソニーが映画化と書いてあった。
アフガニスタンで50対300の現代版スリーハンドレッド状態から、14時間戦って生き延びた兵士のノンフィクション。迫力が凄い!!
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【感想】
こんなめちゃくちゃな戦いがあるのか……というのが、まず最初に抱いた感想である。言うまでもないが、戦闘においては高さが絶対的正義だ。低地よりも高台、高台よりも山、山よりも空中。上を取ったほうが勝つと言うのは弓と剣で戦っていた時代から今でも変わることない常識だ。
そういった要素を踏まえれば、本書の舞台であるキーティング前哨基地は、まさにその常識を逸脱した「死の罠」だった。パキスタン国境からの距離はわずか22.5キロメートルで、ヌーリスタン州カームデーシュ地区でもっとも深い谷間の底にある。四方は標高3600メートル以上の険しい山で、敵は尾根の木立や岩に隠れて、前哨に弾丸を浴びせることができる。タリバンは、隘路――補給物資を弾薬を運ぶのに使っている、尾根の向こう側の踏み分け道――に沿って進み、陣地を築いて、前哨の敷地内を撃ちおろすだけで、攻撃できる。軍事用語でいうなら俯瞰射撃をくわえられるわけで、敵を制圧するのはきわめて難しい。しかも二本の川があり、ヘリコプター高着地点と基地を隔てているため、毎回毎回、ヘリコプターが接地する前に、敵地にあるランディングゾーンを奪回しなければならない。そしてもっとも近い米軍基地から車輌で駆けつけるのに、一本しかない細い道を6時間走らなければならない。
以上のとおり、戦闘が始まる前の時点で基地に問題があるのは明らかなのだが、いざ戦闘が始まってからも、最悪の状況が更新され続ける。友軍であるアフガニスタンの国軍と治安警備隊が防御区域二カ所を完全に放棄したために、キーディング東側のワイヤ穴(そもそもこんな裏口があるのが論外だが)から敵が自由に出入りできる。また、頼みの綱の迫撃砲は二か所あるのだが、一か所は敵の攻撃に晒され続けて到達することができず、もう1カ所には味方5人がいて、焼け焦げた装甲車のなかに閉じ込められている。航空支援も要請してから到着まで2時間以上かかるため、当分支援爆撃は見込めそうにない。
こんな戦況では数時間もしないうちに全滅してもおかしくないのだが、この状態にあっても敵兵士を150人以上殺して味方のヘリが来るまで耐えきった、というのだから驚きだ。
加えて、戦闘の様子をここまで鮮明に描写できるのか、という点でも驚いてしまった。敵の位置はどこか、敵がどの場所にどのような攻撃を加えているか、それを踏まえてレッド小隊はどのような迎撃態勢を取ろうとしたのか、といった細かい戦術が克明に記録されており、実際には5分間の戦闘であっても、ページにすれば50ページ近くを割いて記述している部分もある。戦闘中の動きは、関係者への聞き取りと無線通信の記録をもとに再現したと述べられているが、断片的なピースをよくここまでつなぎ合わせたなぁ、と感心してしまった。
余談だが、本書は『アウトポスト』というタイトルで2021年3月12日に映画化されている。
↓のサイトから予告映像が見られるため、キーティング全体の雰囲気や規模感を映像で知りたい場合はこちらを参考にするといいと思う。想像していたより狭く、隙だらけということが実感できるはずだ。
https://eiga.com/movie/94424/
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映画『アウトポスト』の原作本。
アフガニスタンの辺境に設置された前哨基地でタリバン兵の強襲を受けた兵士の記録。映画だと後半1時間で描かれたタリバン兵強襲を本では9割以上をその描写に使われているから、読むと映画後半シーンの理解度が跳ね上がる。
映画では分からない部分と文章では伝わらない部分の両方があったからセットで楽しめるのが良い。映画初見時でも壮絶な戦闘だなと思ったけど本で読むと更に壮絶で、本を読んだ後に映画を見るとちょっとあっさりし過ぎと感じてしまう。
改めて本で読んで「危機を予測して備え、緊急時の制限がある中でそれぞれができることを実行する」っていうのが規模は違えど非常災害対応に通じるものがあるなと思った。