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見慣れた光景のはずなのに、いつもとぜんぜん違って見える。
海外のひとが日本を扱う作品は、どこかそういう部分があります。
少しだけ位相のずれた場所に立っている、そんな感覚。
著者さんはフランス人の2人組で、媒体は漫画。
そして題材は、身近な身近なご近所。徒歩10分(笑)。
スーパーのロゴとか、背景の交差点とか、すごい見慣れたもので、なじみのある風景が漫画に使われてて、それだけで楽しかったです。
で、絵自体が、なんというか……不思議なタッチでした。
欧米の方の絵ってこういう感じなのかなぁ。
リアルな部分と、デフォルメの部分が混じってて。それが一つの世界になってました。
著者さんの見た景色がこういうものなら、私が見ているものと大分違う。
扱っている題材は『日本の怪奇』っていうか……『不可思議なモノ』達。
現代になって、舗装された道路や街灯が夜を覆い、
こういうモノはいなくなったと思っていたんですが、
フランス人の彼女たちの視点で見た『現代日本』には、しっかりと『不思議なモノ』達がいました。
それが、何だかすごく納得できてしまって、……ああ、ここにも『いる』んだなって、思いました。
アレとか、コレとか、ソレとか。存在感があって、心の中に居座られてしまった感じ。
ちなみに、フランスって原子力大国ってイメージがあるのですが、
……あの辺の題材が使われていたのって、やっぱり関心が高いからかしら。
切り口としてはオーソドックスなものですが、なんかぞわぞわしました、あのあたりの章。