紙の本
とにかく焦れる
2018/05/26 16:07
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投稿者:バニー - この投稿者のレビュー一覧を見る
帯に一人で読めないほど怖いようなことが書いてあったので、どれほどのものかと恐いもの見たさで恐る恐る読み始めたが、それほどでもなかったな。まあ残酷で不愉快なものではあったけれど…。
というのも、証言をする女性があまりにも落ち着き払った様子で気だるげに話しているから。もっと錯乱とかしていたら違ったかもしれないけど。FBI捜査官の追及をのらりくらりと躱しながら取り留めなく話すもんだから、読んでるこっちは早く核心に触れてほしくて焦れ焦れ…。ほぼ全編取り調べで過去の話だけで終わっているので、あまり動きがなく。むしろ、ガーデンの秘密が明かされた後どうなっていくか書いてくれたほうが面白かったかも。その後は匂わせるだけで終わってしまった。
それにしてもエイヴリーは恐ろしい奴だった。そんなところであきらめない精神を発揮しなくてもいいのに…。
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東京創元社の近刊案内で内容紹介を読んでから期待していた1冊。
ミステリ的な仕掛けやオチがどうこうというよりも、『庭』で暮らす『蝶』たちの描写にゾクゾクした。
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事件を追う特別捜査官のコンビ
事件が終わって取り調べに応じている謎の女
"庭師"と呼ばれる女性達を監禁する殺人鬼
そしてその息子達
取り調べ室の場面と、彼女の語る
庭での監禁生活、事件が交互に差し込まれていく
手法…大好物です。
だんだんと狂っていく雰囲気とか
取り調べをする刑事コンビのやりとりとか
独特な空気を持つ作家さんです。
海外ものが苦手な方でなければ必読
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異様な設定と、大人すぎる語り口に終盤まで馴染めず苦戦しましたが、ラストは大団円。満足できました。読みにくいので一気読みはできませんでしたが。
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いきなり、サイコパスに軟禁されていた少女の事情聴取から始まる。「何が起こるか」ドキドキじゃなくて「何があったのか」ドキドキ。これって叙述トリックの変形版か?珍しい切り口ではあるが、結局、マヤとFBI メンバーやら上院議員やら脇のキャラに助けられている訳で。この手の話はサイコパスの歪んだ論理の吐露がキモだから、そこで勝負でしょう。こっちが辟易するくらいに書き込んでくれないとね。インパクトに欠ける。
その昔は一人の女性を誘拐監禁する、ファウルズ「コレクター」で十分戦慄が走ったけど、21世紀はココまでやるか。まあ、何十年も何十人もの少女を拉致してて全くFBI に気づかれないとか、暗証番号一つで出られるドアから逃げたのが1人だけとか、隣接した家の病弱な妻が何も気づかないとか、長年にわたるホルムアルデヒドの定期的な大量購入が業者の不信を招かないとか、舞台設定は派手な分だけ相応に粗いw。
にしても、これだけアブノーマルな状況で「カインとアベル」やったせいで崩壊するって、どんだけ男のメンツって面倒くさいんだか。
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読むのを止められなかった…何があったのかどういうことかわからないまま彼女の話に耳を傾ける。もしかして、と想像しながら答え合わせをしていく感じ。
面白かった、という感想が適してないように思えるほど苦しい内容ではあるけれど、惹きこまれた。
彼女を迎えに来てくれる人がちゃんといて良かった。何度も出て来た彼女の過去でやっと全てがひとつの線になった。よかった、と心から思えた。
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2018.8.20.「庭師」に監禁されていた少女たち。解放された女性たちが頼りにしていたマヤという女性。監禁された少女たちが背負わされた震撼させる恐ろしい仕打ち。マヤのくちから真実を引き出そうとするとFB I捜査官との攻防。怖いながら前を進まざるをえないという気持ちで読んだ。最後のちょっとしたオチが不自然に思えたので星一つマイナス。
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庭師の全て自分の都合の良いように解釈する、自己欺瞞能力の高さが気持ち悪い。家族の名誉を少女達の命や人生より重んじたデズモンドも責められて然るべき。マヤは優しすぎる。親にネグレクトされ、やっと見つけた居場所から拉致されるという不運続きでありながら、自分を保ち続けたマヤの強さは何だろう。庭師はガーデンを失ったことと、妻に知られたことと、どちらをより強く悔やむのだろう。酷い目に遭っている時に、ポオの作品を暗誦するって、マヤはすごいな。
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FBI捜査官のヴィクターは、つい先ほど救出されたばかりの少女マヤの取調べをしている。マヤを含めた20人以上の女性たちは、ニューヨークの一角にある屋敷の庭に監禁されていた。マヤは取調べに真実を語っているのか。
いわゆる「信用ならない語り手」ジャンルで、マヤの一人称パートとヴィクター目線の三人称パートで構成されています。ミステリの掟として、三人称パートの地の文では絶対に嘘を書いてはならないことになっているのですが、一人称はセリフと同じで、登場人物が話している内容なので、嘘やかくしごとがあるかもしれない、というルールに基づくジャンルです。
表紙がキレイだよね!中身も、やばいですがそこまでグロくはないです。年頃の女子ばかりが集まれば、不仲だったり反りが合わなかったり親友になったりと色んな関係性が生まれるわけですが、そのことについて、「ある意味家族」というのがわかりやすい例えだなと思います。
庭師と長男はソシオパスなので無視して、次男はなあ。自分だったらどうかなと思ってしまいますね。子は親を選べないからなあ。。
マヤのかくしごとは、むしろ「わざと捕まった説」だったらびっくり仰天だったような。。もちろん真相もびっくりしたけど、それ隠し通せるかなって。。それでも何とか隠そうとしたことと、それよりもソフィがマヤを案じていたことがラストの感動につながるわけですが。事件そのものは最悪だったにしろ、事件が、マヤにもたらしてくれたものが素晴らしい愛であった事が救いになっております。
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「おぞましくてグロテスクで美しい…」
訳者の方の評どおりでした。
研修中の移動やホテルでの時間潰しにと思ったのですが、時間つぶしどころかのめり込んてしまって困ったくらいでした。
残酷なことが書かれてるんだけど、直接的な描写はないので気持ち悪さはあまりなかった。
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FBIの取調べ室。特別捜査官のヴィクターが対峙する一人の女性。彼女の呼び名はマヤ。マヤは何年も拉致監禁され、救出された10名以上の女性の中の一人。
彼女たちは庭師と呼ばれる男によって拉致され、ガーデンと呼ばれる秘密の庭に「蝶」として監禁されていた。背中にそれぞれ蝶の翅のタトゥーをされて。
一体ガーデンで何が行われていたのか?一体何人の女性が拉致されていたのか?そして、そこから逃げのびることができた理由は?
全編ほぼ捜査官ヴィクターの取調べに答えるマヤの独白という形式で進む。
「美しい世界でどんなおぞましい地獄があったのか…」といった感じの宣伝文句が付けられてますが、最近のサイコパス系の犯罪のフィクションや、ノンフィクションに比べて、この小説が特におぞましいという事はない。
しかし、独白系の進行と、マヤのキャラクターが読者を惹き込む。また、最後に明かされる事実が、そうだったのか!とさせる佳作。
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このミス2019年第9位。
軟禁された少女たちの軟禁した庭師との生活が、一人の軟禁女性から淡々と語られる。
ちょっとエログロな作品であり、自分的にはあまり受け入れがたかった。
最後のソフィアのエピソードはいるのか?
ただ単にハッピーエンド?でよかったのでは。
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耽美で、とてつもなく残酷な雰囲気の作品。
でもご安心ください。
この作品の猟奇的な部分は、文体によってかなり緩和されています。
執拗に暴力要素を細かく書くこともありません。
時に作者にそういう趣味があるのかと訝しむ作品もありますが、この小説の描写は必要最低限のものにとどまっています。
それでも、女性たちに起きた信じられないような出来事は、確かに残酷だと感じさせる。
酷い、おぞましい、その狂気が確かに感じられる作品です。
すでに被害女性たちは救出されていて、なんだかわからないままに、リーダー格の女性を、FBIが取り調べをするという、なかなか斬新な形式が特徴です。
リーダー格の女性、通称マヤが、また魅力的。
取り調べに協力的と言うわけでもなく、非協力というわけでもない。
一筋縄ではいかない、とても強かな女性です。
彼女が体験した”ガーデン”での出来事は、耐えがたい異常な場所。
“庭師”と呼ばれる男が作り上げたガーデンは、美しいけれど、そこに囚われた女性たちは蝶の翅を背中に彫られ、外の世界には出られない。
徐々に明らかになる彼女たちの残酷な運命、庭師の家族、とにかく酷い出来事が、マヤの口から語られていく。
読み手はそこで起こった出来事、彼女たちに起こった残酷な運命を知りたくなり、どんどん読んでしまうのですが、マヤの話は時系列が飛び飛びで、時折、マヤ自身の出自の話も入り混じります。
読み進めるに従い、マヤという人物の過去を知り、彼女の人柄も理解できてくる。
なにかびっくりするような、ミステリ的な魅力的謎があるわけでもないし、女性たちが救出されていることも明らかであるのに、どんどん読みたくなる感覚はとても新鮮でした。
レイプ、誘拐、殺人、暴力、といった猟奇的で気持ちの沈む要素が含まれながら、さらっと読めたのは驚き。
囚われた女の子たちの個性や、マヤの性格、語り口のおかげか。
ガーデンに囚われた女の子たち、どの子も反応や性格が違って、人物の描き方がとても良かったと思います。
取り調べをしているFBIの冷静なヴィクターと、熱くなりやすいエディソンも。
会話劇がユニークで、酷い事件なのに時折クスッと笑える場面も多い。
読後感もなかなかよかった。
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注:内容に大きく触れています
確かに、“読むのを止められない”。
でも、特に怖くもないし。また、読んでいて、謎を(も)感じない。
自分は、本は面白くないと思ったら、即、読むのを止めちゃう方だ。
だから、最後まで読んだんだから、面白かったんだろう。
でも、「面白かったか?」と聞かれたら、「面白い」とは、たぶん言わない気がするw
物語においては、読んでいて、湧き起こってくる「謎」というのが、読ませるための大事なエンジンだと思うのだけれど、たぶん、自分は読んでいて、その「謎」が全く形を成さなかったからだと思う。
少女…、といっても、アメリカのハイティーンだから、日本人のイメージする“少女”ではないのだろうけど。
「庭師」称する(される?)50すぎらしい男が、少女たとをさらってきては、少女たちに蝶の入れ墨(タトゥーとはあえて書きません)をして。
家の敷地に造った「ガーデン」に少女たちをはべらせ、愛玩して、やりまくりw
その「ガーデン」が警察にバレちゃったことで、FBIの捜査官が、そこにいた少女の一人のマヤから話を聞くというストーリーなんだなーというのは、読み始めてすぐわかる。
でも、その「ガーデン」はもうないわけだ。
だからこそ、マヤはFBIの捜査官と話をしているわけで、そうなっちゃったら、後はもう「で?」と言うしかなじゃんw
それでも、「ガーデン」でのことを語るマヤの語りが思わせぶりに描かれているから、あぁー、これはどんでん返し的な何か大きな謎が隠されてるんだろうなーと思ってしまうんだよなぁ~。
でも、話が終わってみれば、事件は終わりました。全てめでたしめでたしとはいかなかったけど、それでも終わりました、みたいな?w
もっとも、謎はやっぱりあって。
それは、ラストでちゃんと明かされて。明かされる過程で、救いのあるエピソードがある(そこはよかった!)のだけれど、
物語の「謎」としての感想を言うと、イマイチだなぁ~ってw
いわゆる「ミステリー小説」ではないと思う。
現代を舞台にしたサスペンスの体をとった、一種の「ファンタジー」なんじゃないのかな?
著者の美意識だか、現代人が心の奥底に持っている美意識なんだか、知らないけれど。
その美意識でもって創られた「ガーデン」という異世界に、これまた、著者の美意識だか、現代人の心の奥にある美意識なんだか知らないが、
美しいハイティーンの少女たちをはべらせ、ご丁寧にも、その少女たちに蝶の入れ墨をコラージュしちゃって。
そんな、伝説の悪の領主様たる「庭師」が“やりまくる”というディストピア。
そんな、そのディストピアにある時、ほころびが生じて……、という。
そんなファンタジーの最後は爆発で、拳銃まで出てきちゃうというのは、アメリカらしいと言うか、ハリウッド的と言うかw
いっそ、その“らしさ”ついでで、この前段の話、つまり、“ジェフリーはいかにして「庭師」になったか”で、エピソード1~3としてw
エピソード7~8で、「庭師の覚醒」「最後の庭師」「マッキントッシュの��明け」とかやったらいいんじゃない?(爆)
いや、失礼。さすがに、そこまでつまらなくなはないw
ただ、これがテレビドラマになったら、大ヒットするだろうなぁ~とは思った。
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ミステリ。サイコサスペンス。
一冊のほとんどが事情聴取という構成。
残酷で幻想的で耽美。
正直、"庭師"の長男以外の全ての主要登場人物に感情移入できてしまう。
正義とは何なのか、ずっと考えさせられた。
サイコな感じの作品が好きな自分としては、かなりの高評価。