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本書は、世界の様々な地域の作家15人が、編者である英国の作家・批評家ヘンリー・ヒッチングズ(1974年~)の求めに応じて、人生のある時点で個人的な関わりを持った(あるいはいまも持ち続けている)身近な本屋や古本屋にまつわる話を綴ったアンソロジー・エッセイ集『BROWSE(立ち読み):The World in Bookshops』の全訳である。原書は2016年、邦訳は2017年に出版された。
16人(ヒッチングズを含む)の出身国は、英国(4人)、ウクライナ、コロンビア、旧ユーゴスラビア(ボスニア・ヘルツェゴビナ)、中国、エジプト、ケニア、米国、ドイツ、イタリア、インド、デンマーク、トルコと見事なまでにバラバラで、各地域の文化・思想・慣習などを反映し、実に多様な、又それ故にとても魅力的なアンソロジーとなっている。
また、本好きにとって、思わす頷いたり、はっとするような、本や本屋についての印象的な表現も随所に見られる。
ヘンリー・ヒッチングズ(英国)~「そこ(本屋)は薬局の役目も果たすし、いろいろなものが混在する奇跡の場所になり、秘密の花園になり、イデオロギーの火薬庫になり、陳腐で饒舌な世界に異議申し立てをおこなう舞台になり、安全と正気を保証する場にもなる。そして、光の射さない穴蔵であると同時に闇を照らす灯台でもあるという、ほかに類のない場所なのだ」
フアン・ガブリエル・バスケス(コロンビア)~「本屋といえばやっぱり、ほかのところでは絶対に不可能な、自分ひとりだけになれる場所でないといけない。私がお気に入りの本屋~ニューヨークの<ストランド>から、ロンドンの<ドーント・ブックス>を経由して、リマの<エル・ビレイ>まで~に足を運ぶのは、そこでひとりだけの時間を過ごして、何かを発見するためなのだ。いい本屋というのは、本を探しに行って、思いも寄らぬものを見つけて帰ってくるという、そんな場所である」
ステファノ・ベンニ(イタリア)~「詩人で文化人のロベルト・ロヴェルシ・・・名言その一「本というのは生き物であって、雑に扱われるのを嫌うものだ」、・・・名言その二「本は買い手を選ぶ」、・・・名言その三「ねずみは理由もなく本をかじったりしない」」 等々
「本屋の数が減った(特に地方の街の独立系本屋)」、「紙の本が売れなくなった」と聞くようになって久しいが、毎週のように街の本屋に行って紙の本を手に取る私にとって、その時間は心の落ち着く代え難い時間である。
そして、本書のような作品に出会えることが、まさに街の本屋の魅力なのである。
(2018年5月了)
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世界中の書店・古本屋にまつわる小話について世界中の様々な国の人が書き綴った文章が、オムニバス形式でまとめられたもの。それぞれの方の幼い頃、若い頃の忘れられない書店のエピソードを交えてまとめられている。
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この本も面白いなあ。子どもの頃から黄昏るほどに齢を重ねた今でもまだ通い続けている本屋があるという幸せを私は掴み損ねたけれど、これから先を生きる人たちにとっても、なかなか難しい幸せではあるなあ。
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人気作家イーユン・リーは若き日、北京の食品マーケットに隣接する隠れ家のような書店に通いつめ、「あれほど多くの魔法をもたらしてくれた本屋はほかになかった」という。世界の注目作家15人が書店との紐帯を明かした本書は、から集められた原稿を一冊に編んだアンソロジー。ワシントンDC、ベルリン、ナイロビ、イスタンブールまで、万華鏡のような書店の魅力を伝える。(アマゾン紹介文)
翻訳本はほとんど読まないため、この本の作者様15名、どなたも知りません。それでも、タイトルに惹かれて読みました。よかった。
特に『冬の日』(マイケル・ディルダ)がよい。古本好きはどこにでもいるんだなーと嬉しくなりました。
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読書中。「親しみがあること」後半の書店側に私は同感してしまう。売る側が意図しているレイアウトを勝手に乱されることへの怒りが解ってしまうので。作者が書いた手紙は意図が的外れに思える。
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世界各地の作家15人が、個人的な思い入れを持つ身近な本屋、古本屋について語る。ネット通販の影響(私も紙の本とkindleとを併用している身ですが)で、昨今“絶滅”の危機に瀕しているともいわれている本屋ですが、でも本屋でなくては実現しえない素敵な人との出会い、書物との出会いは確実にある。そうしたことを、強く感じさせてくれます。
ご当地の耳慣れない作家についての記述など、少し読み進むのに辛抱がいる箇所もありますが、それは些末なことで、それぞれの筆者による本屋に対するあたたかい眼差し、愛情といったものにひたすらほのぼのさせられました。読んだ後は、絶対に本屋に行きたくなります。
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★学生選書ツアー2018選書図書★
【所在・貸出状況を見る】
https://sistlb.sist.ac.jp/opac/volume/217667
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世界中のあちこちの国の作家15人と編集者、計16人が、それぞれの書店の個人的な体験をつづった本。
イギリス、ウクライナ、コロンビア、旧ユーゴスラビア(ボスニア・ヘルツェゴビナ)、中国、エジプト、ケニア、米国、ドイツ、イタリア、インド、デンマーク、トルコといった、様々な国の書店が、作家たちの思い出フィルターを通して、キラキラと輝きながら登場します。
登場する作家は一人も知らない人でしたが、どのエッセイも愛にあふれておりノスタルジック。
書店と一言で言っても、国や文化が違うだけで、またそれぞれの雰囲気が違ってくるものだなあと気づきます。
作家たちの心に根差すすてきなエピソードを読むにつけ、年々姿を消しつつある書店の必然性について考えずにはいられません。ネットで本が買える便利な世の中になりましたが、見知らぬ本との偶然の出会いや本を通じての書店員さんとの交流など、ネットでは満ち足りない情操面での潤いを与えてくれるのが、本屋という空間であることを、あらためて感じます。
書店という販売形態がそのうちに幻の存在となってしまわないように、一購買者としてせっせと町の本屋さんをフォローしていこうと、改めて思いました。
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色々な作家の本屋に対する思い入れが感じられる。本屋さんで本を買うのは、インターネットで欲しい物を手に入れるのとは、また違った楽しみがある。何気なく手に取ってパラパラ拾い読みをして「あっ、面白そう」っと購入する。ほとんどハズレた事がない。また、そういう本が思いれのある一つに成ったりする。本との出会いが本屋さんにはある。この本には、各種作家の思い出の本屋と一緒に思い出の本が掲載されている。そんな本は、当然の事ながら読みたくなってしまう。また、読みたい本が増えてしまう…すごく幸せだ。この本自体も、本屋さんで何気なく手に取ったものだが、思いがけず良い本に巡り合った。
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本屋に行きたくなってうずうずする一冊!!
わたしは電子書籍を読むことも、ネットで本を買うこともあるけど、やっぱり本屋に行って立ち読みして衝動買いすることに勝る幸福はないな。